9.近道とプライド
若くてかわいくて、スタイルもよくて優しいリリアンを、相馬はすぐに好きになった。アーサーはあきれてグイタラ(相馬にはギターに見えた)奏者のカイトと世間話を始めてしまった。
「でね、俺東の大陸に行ってみるところなんだ」
「東の大陸……私達もまだ海を越えることができないの。めずらしいものがたくさんあるんでしょうね」
「うん。きっとそうだよ。俺にとってはここにあるもののほうがずっとめずらしいし面白いけどな」
「ソウマ君は東の大陸の人の子孫ですものね」
「え……」
一瞬相馬は詰まったが、あわててうなずいた。そのほうがいいとアーサーも忠告してくれていた。異世界から飛ばされたなどと話した所で、行き先がとある施設のみに絞られるだけで何もいいことはない。
「その前にもし時間があったら、レヴァ魔法王国に寄ることをお勧めするわ。とてもいいところなのよ。女が夜中に一人出歩いても安全だし、勝手に動く馬車があったり……」
相馬がほんのわずか身体を緊張させたのに、リリアンは気づかなかった。
(勝手に動く馬車……?)
自分の世界の自動車を連想して、彼はすぐに心の中でそれを打ち消した。ここは異世界なのだ。こんなに近くに日本があるわけはない。
(でも、もしかしたら手がかりがあるかも。なんたって『魔法』王国なんだし)
あとでアーサーに話してみようと考えた瞬間。
空間が、不自然にゆがんだ。
「この姿になるのも久しぶりだ」
マキシにも少しはなじみのある、簡素なチュニックとマントという服装になって部屋から出てきたメーマは、例の古文書を片手に何やら床に描き始めた。
「おい、そんなとこに落書きしていいのぶほっ!」
「落書きなものか。もっと注意して見るがいい」
殴られた顎をさすり、マキシがもう一度メーマの手元に視線を戻すと、円の中に何やら模様やら文字が次々記されていく。
「魔方陣?」
「そう。お前の持っていたこの本には、二つの世界をつなぐための魔方陣が描かれている。一人だけ、それも魔法の心得のある者ならばわざわざ地面に描かずとも転移できるのだが、今回はわたしとお前同時に戻らなければならぬ。<星天流>の時、発動してしまう大いなる力の流出に伴い異世界に魔導師を派遣しておくこと、そしてこの魔方陣が迷える同邦人の手に必ず渡るようにしたのは他ならぬ我が主様のお優しいお心遣いだ。感謝するのだな、マキシ・スターゼン」
「……」
彼女の主礼賛は適当に聞き流すマキシ。何せ、この彼女の住まいに来るまでの会話の大部分が彼女の主についてだったのだ。崇拝し、心酔するのは彼女の勝手だが、えんえん同じような話を聞かされるほうの身にもなってほしい。
「なあ、メーマ。俺はまだ<星天流>とやらについて聞いてねぇんだけど? 説明してくれるって言ってただろ」
「ああ。そう言えばそんなこともあったな」
魔方陣を描く手を止めず、メーマは流暢に話し出した。
「我々魔導師達は、世界というものは大きな球の中に無数に浮かんでいると考えている。大きさの限られた場所にひしめき合っているのだから、当然世界と世界がぶつかったり、すれ違ったりすることがある。ぶつかり合った世界は消滅するから、なんとしてでもそれを防ぐべく、魔導師というものがいる。といっても、せいぜい衝突を接近にするくらいのちからだが。そして世界と世界がすれ違う瞬間のことを<星天流>と呼んでいる」
なんとも妙な論理だが、マキシは納得するしかなかった。何しろ他でもない自分がこんな数奇な出来事を経験しているのだから。
「<星天流>では、とてつもない力が働く。言葉通り流れが生じるのだ。それに巻きこまれ、世界を越えてしまう者がいる。主様はそれをたいそう憂いて、転移の魔方陣を編み出されたのだ。そうして同郷の者を見つけ次第送り返す役目を、このわたしが拝命したのだ」
「……なるほど」
「しかし、主様の崇高な理念を理解せぬおろかな輩も多く、正直わたしが主様の側を離れるのは心配だった。それでも主様たっての頼み、断るなどという恐れ多いことはできぬゆえ、涙を飲んで世界の壁を超えてきたのだ。……主様、息災であられるだろうか……」
切ない呟きと同じに、魔方陣が完成した。マキシはメーマの隣に並び、発動に備えて大きく息を吸い込んだ。
「我が願うは帰郷、懐かしき面影。心の生まれし場所へ、いざや導かん。我の描きし思い出に、この手で再び触れんことを!」
世界が、ゆがんだ。
もとに戻ったその空間には、先程までは影も形もなかったはずの二人の人物が現れていた。
薄紅色と表現すればいいのだろうか、得もいわれぬ色の髪を長く腰まで伸ばしている、小麦色の肌の超絶美人と、体格のいい茶色の髪の青年だ。相馬は健全な少年の常として美人のほうにだけ目がいっていたので、青年が身につけているベルトが自分に馴染み深い品だとは夢にも思わなかった。
「……お前が異世界の人間だな? まったく、転移した最初の場所でおとなしくしていればよいものを。おかげで何度魔法を使ったことか」
「……魔法?」
小麦色の肌の少女から、きつい言葉が飛び出たことで相馬は正気に戻った。
「こいつがお前と同時期に世界転移をした、マキシ・スターゼンだ。さあ、元の世界に戻してやる。魔方陣を描くからそこに入れ」
「ちょっと待て」
一方的に話を進める少女――もちろんメーマである――を遮り、アーサーが相馬を背にかばうように前に進み出た。
「まずはそちらの素性を明らかにするべきだろう。ソウマが困っている」
「……ふん」
メーマはそこらへんに転がっていた木切れで早くも魔方陣を作りかけていたが、アーサーに言われて素直に木切れを放り投げた。
「わたしの名はメーマ・ラトゥだ。レヴァ魔法王国、<クルオーネ>の長であるセイリオス・ラトナ様の第一の側近。世界を越えた哀れなる同郷の民のために、異世界で看視者を勤めていた」
そしてメーマはマキシに語ったのと同じことを相馬達にも説明した。自分の役目である以上、相馬を元の世界に返すのは義務だとも。
喜ぶべきことだ。この先旅をしなくとも、ここでうなずきさえすれば家に帰れるのだから。けれど、相馬はうなずけない。
(家に帰ったって……)
母は、結局自分に冷たくするに決まっている。父は仕事が立て込んでいなければかばってくれるが、そんなときは本当に少ない。まだ幼馴染のところへ逃げこめればよかったが、ガイとは喧嘩別れしたままだ。
(帰る場所なんて、ないんだ)
「……」
「ソウマ」
初めて聞く声が、少年の上から降ってきた。同時に、大きくてがっしりした手に肩をつかまれる。マキシ・スターゼンと紹介された青年だった。
「ここまで旅してきたんだろ? いきなりいろいろ言われたら混乱するのもしかたないから、今日はもう休もうぜ。な、メーマ」
「……まあ、道理ではあるな。では明日改めて、転移を行うぞ」
溜息をついて、不承不承という様子を隠しもせず、メーマは踵を返した。どちらに宿があるのか知っているのだろう、迷いない足取りで去っていく。アーサーも同じように、戻っていった。
「ソウマ君、今日はゆっくりおやすみなさい。……その、疲れてるでしょう?」
リリアンの言葉も少しぎこちない。それが悲しくて、相馬はマキシの手を振り払うと一目散に走り出した。
眠れなかった。かといって、話す相手もいない。もう真夜中をとっくに過ぎている。相馬はベッドの上で、膝を抱えていた。
(帰る場所がない……)
胸が痛い。どこにいることも許されていないとは、なんと苦しくて切なくて、泣きたくなるほどつらいのか。
アーサーといる間は、本当に楽しかった。自分の身の置き場所のことなど考えることもないくらいに、楽しかったのだ。初めて身体をいっぱいに伸ばして眠れたような、開放感がいつも側にあったのに。
「俺……」
「ソウマ」
ノックがして、返事もまたずに大きな人影が部屋に入ってきた。マキシである。
「……マキシ、さん」
「起こしたか?」
しばし迷ってから相馬は首を振った。マキシは静かに相馬の横へやってきて、ベッドの隣に腰を降ろした。
「俺、お前の家に厄介になってたんだ。飛ばされた場所が、お前の部屋で」
「……」
「お前の両親に、世話になった」
胸の痛みが、別な形を持った。嫉妬だ。相馬は自分の母親がどれだけ外面がいいか知っている。きっとこの青年にさぞ優しく接したのだろう。自分には決して見せない顔で、絶対にかけてくれない言葉で、彼をもてなしたのだ。
「なあ、ソウマ」
そろそろと、マキシの手が髪に触れるのを感じて、驚いて彼は顔を上げた。マキシの目が深い色をしていて、それだけでマキシの言いたいことを悟ってしまった。
「マキシさん……」
「俺は母親が早くに亡くなって、お前の母さんが本当に母親のように思えた。優しくてさ。でも、あんなこと聞いちまったら黙ってられなかった」
「俺のこと?」
「ああ。あんなこと、言うべきじゃねぇよな……」
涙腺が緩んできて、相馬は再び顔を伏せなければならなかった。こんなふうに誰かに言ってもらえたのは、初めてだった。自分の想いに共感してくれたのは、マキシが最初なのだ。
「なあ、お前さえよければだけど」
少年の涙に気づかないふりで、マキシが言葉を続ける。
「俺と一緒に暮らさないか?」
「え?」
「いや、な。俺も今失業中何だけど、一人暮しだから少し金も貯めてある。それに仕事の当てもないわけじゃないし、二人でも生活できるぜ。お前はそうだな、また学問所……いや、学校だっけ? ……に行きたければ行ってもいいし、俺の仕事手伝ってくれてもありがたいし、とにかく、好きにして暮らせばいいさ。俺は口出ししない」
「でも……」
「ま、いきなり俺みたいなむさい男にこんな話されても、困るだろうけどな。そういう選択肢もあるってことで」
ぽん、と相馬の頭を軽く叩いて、マキシは立ちあがった。
「もう寝ろよ。メーマのことだったら俺が引きとめておくからさ、ゆっくりどうしたいか考えればいい」
来たときと同じようにマキシは足音も立てずに出ていった。扉に阻まれて見えなくなってしまったが、相馬はずっと扉の向こうに消えた背中を見つめていた。
翌朝の朝食は、マキシ、アーサー、メーマ、相馬の四人でテーブルを囲んだ。しかし会話は弾まず、宿の食堂でもっとも静かにもくもくと皿の上野料理を片付けている彼らを、他の泊り客たちは不思議そうに眺めていた。
「……ソウマ」
起き抜けの気だるさがなんともなまめかしいメーマが、やっと口を開いたのは、彼女の分の料理がすっかりなくなってからだった。ちなみに話しかけられた相馬の方は、かなり前に食事を終えて気まずげに椅子の上でもじもじしていたところだった。
「荷物はまとめてあるか? 私もあまり暇ではないんだ、他にもあちらの世界に流れてしまった者がいないとも限らないし、早く用事を済ませたいのだが」
「うん……」
「メーマ、その話は――」
「これは私の仕事だ」
口を挟んだマキシをぴしゃりと遮って、彼女は席を立つ。
「表に用意をしてくる。なるべく早く来い」
有無をいわせない口調だった。相馬は黙って部屋のある二階に戻っていった。
「……あんた、ソウマと一緒に旅してきたんだよな?」
「ああ」
残された青年二人は、自然に会話をはじめることとなる。
「何だってまた? 知り合いなわけはないだろうし」
「これも俺の仕事のうちだったからな。俺は王立治安維持部隊の一員だ。名はアーサー・フェイルド」
「メーマが紹介してくれたが、俺はマキシ・スターゼン。仕事は今はない。失業してね」
それにしても、とマキシが続けたので、アーサーは首を傾げた。なんとなくだが、責められている気がする。
「身寄りのない子供の世話をするのに、どいつもこいつも二言目に『仕事』って言いやがる。同情のかけらもなかったのか?」
「……同情など、強い者から弱い者への優越感から生まれるものだ。いい気はしない」
「人それぞれだろ。それに、心細いときは誰かの優しさが支えになるんだぜ」
完全に責められている。マキシにすべて――ソウマに内緒にしておいた自分の事情まで――見透かされているようで、アーサーはうつむいた。
(自覚はしてるさ。自分の卑怯さはな)
わかっていた。自分がただ逃げているだけだということ。親切なそぶりで、あの少年を口実にしてしまったこと。
(俺は……)
「アーサーさん、マキシさん」
相馬が降りてきた。旅の荷物のほとんどがアーサーのものだったので、彼は手ぶらだった。しばらく部屋にいたのは、やはり――。
「ソウマ」
「俺、帰る。……ありがとう。すごく楽しかったし、メシうまかった」
笑ってはいるが、相馬は悲しげだった。
「……嬉しくないのか? 自分の家に戻れるのだぞ?」
「……」
無言のまま、相馬は出ていってしまう。出入り口が完全に閉まってから、マキシが呟いた。
「誰もが自分の家を好きなわけじゃねぇよ」
「……っ」
事実だ。現にこの自分も、『家』というものからほど遠い場所にいる。家族を厭っている。ともに過ごした数日で、あの少年は時折ひどく孤独な眼差しをしなかったか?
「ソウマと話してくる」
「待て」
無意識にマキシを呼びとめてしまったのに一瞬驚いたものの、アーサーは心を変えなかった。
「俺も、話がしたい。最後でもいいから、あいつと」
後悔するだろうという予感が、確信になっていた。マキシは何も言わなかったが、アーサーは彼のあとに続いた。
メーマは魔方陣を完全に描き終え、相馬はぼんやりとその中に立っていた。
「少し話してもいいか? それくらい許せよ」
「……しかたないな。ただし、あまり長くするな」
もはや無駄だと悟ったか、メーマは存外素直に宿屋の中に戻っていった。
「ソウマ、俺は」
思いは焦るのに、言葉がついてきてくれない。アーサーは賢明に考え、考えながら一言ずつ紡ぎ出した。
「俺は……お前を利用していた。それを謝っておきたかったんだ」
「利用って?」
「逃げるために、お前を口実にしたんだ。あのとき俺は、親父の跡を継げとしつこく迫られていた」
アーサー自身は王立警備隊に所属しているが、実家は成り上がりの商人で、最近爵位を買い取ったばかりだった。貴族に仲間入りした途端、彼の父は古くからの高貴の一族――正真正銘の貴族たちに媚を売り、社交界でさらにうまい汁を吸おうと画策するようになった。あまつさえアーサーに次々に貴族の娘たちとの縁談を持ってくるようになったのが、彼には我慢ならなかった。父の爵位は一代限りだが、アーサーがどこかの姫と結婚し婿養子となれば、さらに権力や富を手に入れられるという父の欲望は、あまりにあからさまで彼はそれを嫌悪するあまり実家に寄りつかなくなったのだった。けれど、跡を継げ、どこそこの姫と一度会ってみろ、という父からの手紙は途切れることなく送りつけられてきており、うんざりしているところに相馬がやってきたのだ。
「それで、俺を東大陸に送るっていう理由であの街を離れたんだ。……そっか」
この少年にも、きっとなじられる。アーサーは甘んじて受けとめる覚悟をして罵倒の言葉を待ったが、相馬はゆるく首を振っただけだった。
「それでも、俺は楽しかったし、親切にしてもらって嬉しかった。俺、兄貴っていないから、アーサーさんが兄ちゃんみたいに思えてさ。だから気にしないでよ。……ほんとに楽しかったから、またあっちでもやってけると思うし……」
「無理をすることはない」
自分に言い聞かせているようにしか見えない相馬の呟きを遮って、彼はがっしりと相馬の両腕をつかんだ。
「痛いってば、アーサーさん――」
「帰りたくないならば、俺と暮らせばいい。知ってのとおり俺の家は広いし、お前一人増えても不都合はない。無論、いきなりのことで決心はつかないだろうが、考えればいい。俺は待つ」
「おいおい、求婚じゃないっての。しかも昨日俺が言ったのと同じことだし」
苦笑まじりにマキシが会話に入ってきて、相馬はアーサーの手から解放される。呆然とする彼に微笑んで、マキシは言う。
「だからさ、捨てちまってもいいんだよ。家族ったって縛られる必要はねぇんだし、どんなに結びつきの強い家族だっていつかはそれぞれに散らばってくんだ。それが今だって、何にも不思議なことはないんだ。それに、家族ってのは血の繋がりだけで繋がってるもんじゃないんだぜ」
「血の繋がりだけじゃない……」
今までいろいろなことをあきらめていたようだった相馬の表情に、迷いが生じた。だがそれが答えを得る前に、少女魔導師が出てきた。
「もういいだろう、ソウマ。さあ、帰還の法を使うぞ」
メーマは言いながら自分も魔方陣に入り、詠唱にかかろうとしたが。
「俺、まだ帰れない……!」
相馬は魔方陣から飛び出して、か細い声で叫んだ。メーマが眉を寄せたが、相馬は言い募った。
「駄目なんだよ。アーサーさんやマキシさんが優しくしてくれて、家族になろうって言ってくれたんだ。俺どうしていいかわからないから、まだ帰れないんだよメーマさん」
「……最後に話したいことというのは、それだったのか」
半眼になって二人の青年をにらむメーマだったが、にらまれたほうはそっぽを向いていた。
「それに、それだけじゃなくて。俺、ここまでアーサーさんと一緒に旅してきた。まだ少ししか目的地に近づいてないけど、俺が初めて自分で何かしようって、がんばれたんだ。だから、近道したくない。レヴァ魔法国っていう手がかりだってちゃんとある。俺は自分でそこまで行って、そこの魔導師さんに元の世界に返してもらう。帰ろうと思ったら、だけど」
「よく言った、ソウマ」
マキシが肩を怒らせている少年に声をかけ、アーサーも深くうなずく。
もはやメーマはこめかみのあたりを激しく震わせて爆発寸前だったが、理性の力で何とかそれを抑え、口を開いた。
「………では、私だけで戻るぞ。好きなようにすればいい。もともとお前に義理があるわけではないしな」
それから彼女は大きく溜息をついて、どこかからシャープペンとメモ帳(言うまでもなく、女子高生のときに購入したものだ)を取り出して何かをさらさらと書きつけて相馬に突き出した。
「紹介状だ。<クルオーネ>の誰かに見せれば、帰還の魔方陣を発動させてくれるはずだ。ついでに、本当についででいいんだが、我が主セイリオス様に私が元気であると……いや、お前達が面会できるはずはないか」
苦笑して、メーマは改めて詠唱に入った。魔方陣が光りだし、彼女の姿が覆い隠される。
光りとともに魔方陣が消える瞬間、旅の無事を祈る言葉が耳に届いたのは、幻だったのだろうか。相馬は渡された手紙を丁寧に折りたたみ、アーサーを見た。
「これ、預かっててくれない? なくすと困るから」
「わかった」
アーサーが手紙をポケットにしまうのを目で追って、相馬は元気よくある方向を指差した。
「行き先が決まったんだし、リリアンさんにレヴァ魔法国に行く道を聞きに行こうぜ! アーサーさんマキシさん、早く!」
「そうだな」
「あ、おーい」
走り出してしまった二人の背に、マキシの声がむなしく跳ね返された。
「……それ、俺が知ってるんだけど……」
けれどすぐにマキシは気を取り直し、旅の連れを追いかけた。
相馬が自分の足で歩きたいと望むのなら、それを妨げてはいけないのだ。
少年の転機です。アーサーさんちの
家庭の事情は、まあよくある話ですが
本人は悩んでいるのです。家族って、
難しいんだなぁと思います。最近幼児
虐待とかがよくニュースになるし、親のほうが
子離れできないという話も聞きます。
私はまだ養われている身だし
偉そうなことは言えないんですが、考えたり
書いたりするのは許されると思うんです。
全然関係ないですが、マキシさんが某ゲームの熊さんの
ようになってるのは……なぜ(単に力不足なだけ)!?
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