夜桜

 

 

 ――勇気がなかっただけ。

 いつもあまり感情を表さないあの人の、微笑んだ顔がとても素敵だったから、もう一度見たいと思ったのが最初。あの人の好きだと言った山吹の花を、文に添えて送ったら、私の願いどおりあの人は笑ってくれた。

 その後、私はあの人の笑顔を何度も見たいと願うようになっていた。戦うときも、いつもあの人の望みどおりに振る舞った。そうすることであの人は微笑むから、私はそのためだけに与えられた力を使った。

 

 私は間違ってしまった。本当にあの人に笑っていてほしいと願うのなら、ただあの人の心に忠実なだけじゃ駄目だったのに。もっと別な方法は、きっとすぐ近くにあったのに、見つけようとしなかった。楽なやり方に頼っていた。

 だから……だから、最後のときにもあの人の心からの微笑みは見られなかったんだ。

 後悔はまるで嵐のようで、私はあのときからずっと夜を泣いて過ごしている。いつのまにか、窓の外に再び桜の花びらを見ることができるようになった。丸くて、恐ろしいくらいに静かに輝く月の下で、淡い薄紅が舞っている。

 その不思議な美しさが、私の心にあの人の面影を彷彿とさせた。

 臆病だったせいで、もう二度と会えない大切な人は、思い出の中でさえ心からの笑顔を見せてはくれなかった。

 

 

 


初っ端から暗いです……。第一回プレイをもとにしてるので……。

次は、指紋くんとのお話になります。言ってみればリプレイ小説です。

もちろん、それ以外も書きます。

今回あえて名前出しませんでしたが、誰のことかわかります……よね?

 

 

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