富山和子がつくる−日本の米カレンダー
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いつの間にか、店頭にカレンダーが並ぶ季節が、またやってきました。
来年に向けて買ったのは、『日本の米カレンダー』。
編集は富山和子。富山は日本の水と農業について語り、提言を行なってきました。
米についても、どこからでも入手可能な農産物としてではなく、
日本という風土によってはぐくまれ、また風土をつくり上げてきた体系として評価しています。
米つくりとともにある美しい日本の景観をカレンダーにまとめたものが、このカレンダーです。
2004年の『日本の米カレンダー』は、最初から数え15周年となります。
この間、有機無農薬農業が広く支持されるようになり、米つくりには田んぼだけではなく、
それを取り囲む身近な自然がいかに大切なものであるかが知られるようになってきました。
このカレンダーは営々と耕して天に至る棚田の保全運動が広がるきっかけともなりました。
米と日本人とは、母と子のように、太いきずなで結ばれています。
日本の文化は米づくりの上に築かれ、自然は農民によって支えられてきました。 ところが今、農業は危機に瀕しています。 それはとりもなおさず、私たちが日本文化の土台を失うということであり、山や川など自然の環境も危うくなっているということです。
先祖達が営々として育んできたこの美しい自然と文化を、次の世代へ送るために、どうしても農業を守りたい。
そんな願いをこめてつくったのが、このカレンダーです。
2004年カレンダーの写真
1月 「初日の出」(千葉県銚子市)
2月 「合掌造りの白川郷」(岐阜県白川村)
3月 「稲淵棚田」(奈良県明日香村)
4月 「春爛漫の小川」(宮城県蔵王町)
5月 「行燈山古墳」(奈良県天理市)
6月 「水田はダム」(熊本県産山村)
7月 「関東平野の大動脈、見沼代用水」(埼玉県さいたま市)
8月 「浦島伝説の里」(京都府丹後町)
9月 「実り」(山形県上山市)
10月 「大蕨棚田」(山形県山辺町)
11月 「カラマツの黄葉」(長野県穂高町)
12月 「琵琶湖畔のハザ木」(滋賀県志賀町)
私も生態系を重視する農業で食の安全を確保していくべきだと考える一人であり、 他方で保全管理された田畑山林が国土保全に役立っていると信じています。
しかし、江戸期や昭和三十年代以前の農業基盤や生産管理法では、時代の要請に応えることが出来ないこともわかります。
有機肥料に頼っていた頃の農地は、都市から搬出される人糞、近海で採れた干鰯、
そして田んぼに数十倍する原野山林から刈りだされ田に鋤き込まれる刈草が無ければ成立しません。
現在、雑多な排水が流入する下水汚泥の農地還元はほぼ不可能です。
近海漁業は細る一方で、安価な鰯サンマ類は養殖漁業に不可欠であるように需要は増大し、農業利用は望めません。
そして、田んぼが草刈に依存しなくなって以来、台地は灌漑用水敷設により緑の田んぼとなり、
近郊では住宅地や工業団地が立地し、ゴルフ場があまねく拡がっています。
かつて日本の里山は草一本、枯葉一枚残すことなく刈り取られ、田んぼに鋤き込まれていました。
誤解されやすいのですが、各地で山論を呼び、村同士の争う的となった山野の入会権は、煮炊き燃料を得るためではなく、
このように、田んぼの窒素肥料を確保するための山野の下草刈権です。
下草といいながら、実は枝を払い雑木を切り倒した結果、近郊里山はほとんど禿山でした。
「山へ芝刈りに行」くその労働は、大変な重労働だったということです。
今更、そのような農業システムは再生出来ません。
美しい日本の四季風土を懐かしむ里人も、過疎化、都会集中で絶対数、国民に占める比率のいずれでも少数派となりました。
たまに自然に触れたいだけの気ままな都会生活者にとって、過去のシステムは想像を絶するものでしょう。
日本という域内で消費・再生産される有機物の循環から、なんとか日本国民の食生活を賄うだけのものを得たい、
という方向を定め、従来の技術を再評価し、新技術を導入することで達成したいものです。
環境と農業を組み込んだ、新しいリサイクルシステムが求められています。
環境と農業のリサイクルシステムが求めらる一方で、米消費の落ち込みによる減反が進められています。
そんな中、中国の高級食材である上海ガニを、日本でも転作水田で養殖しようという動きがあるようです。
一見、好もしい提案であるように思えますが、環境汚染物質のリスク評価の専門家である中西準子は、
それに対し
警鐘を鳴らしています。
戦後、生産性を高めた全国の水田の土壌には、そのために使用した農薬の有機塩素化合物がまだ多く残留しています。
収穫される米に吸収残留するダイオキシンを含む有機塩素化合物が、問題のあるものではないことは最近証明されてきていますが、
中西によると生物濃縮されて上位の水生生物に蓄積されるダイオキシン類はまた別の評価が必要なようです。
同様に、日本に多いといわれる砒素の濃縮残留も無視できないようです。
方向は明確でも、試行錯誤は続くようです。
「水田を油田に変えよう」。そんな構想が動き出しています。 コメを原料にバイオエタノール燃料をつくり、減反調整にあえいできた農村を活性化する狙いです。 最大の課題はコスト高。採算が合うコメづくりの道は険しいようですが、 「瑞穂の国」ならではの環境にやさしいエネルギー生産は広がるのでしょうか。
消費がなかなか増えないコメに、新しい需要が増えそうです。しかも数千万台の車の食料だから、大量需要です。
三条市と見附市の2ヶ所、計83アールに超多収米の「北陸193号」を植えた。 牛の飼料用に開発された長粒種で、あまりおいしくないというが、10アールあたりの収量はサンプル試算で800キロ以上。 食用米は500〜600キロで、差は歴然だ。
「とにかくたくさんつくればいいのだから、戦後の楽しかった食糧増産時代を思い出すね。 何せここ20年は、コメは作るなと言われ続けてきたから」。 実験に参加した三条市の安達宰さん(68)の表情は明るい。
倍の肥料を与えても弱らず、「ほったらかしでよかった」。収穫時期は食用米とずれ、作業が分散しやすい。
現在、国内には調整水田が71万ヘクタールあるそうです。これは高知県に匹敵する広さです。
これだけの農地が、空しくなっていることが恐ろしくなります。
国土保全のためにも耕作に利用していきたいものですが、まだ高いハードルがあるようです。
コメのエタノール化で最大の課題は、コスト削減だ。全能によると、食用米の販売価格が1キロ平均350円なのに対し、 燃料用は、ガソリンや外国産エタノールとの価格競争を考えると20円にする必要がある。
単純に、同じ売上げを得るものとして、17〜8倍の作付けをしなければならなくなります。 逆に言えば、これは生産拡大、生産性向上のチャンスであるわけです。 是非とも実現して欲しい夢です。
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