旅のしおり3枚目…トルコ料理

 世界三大料理の一つがトルコ料理で、ヨーロッパとアジアが融合して醸し出される味わいがある、と多くのガイドブックに書かれてあります。私は、ホテルの西洋風の朝食を除いて、五つ星ホテルのレストランの昼食と夕食、町中の目立たない食堂での昼食、ドライブインの昼食で、20食ほどのトルコ料理を食べました。その結果、「世界十大料理選抜コンテスト」でもトルコ料理に投票するのは見合わせようと決心しました。

 羊のシシカバブは、堅すぎて、ナイフをなかなか受け入れてくれません。のこぎり使いの忍耐心が試された後に、薄めにスライスしたそれを口に含み、干しすぎたスルメを連想しながら咀嚼しました。

 ビーフ・ステーキに、レア、ミディアム、ウエルダン、という種類はなさそうです。トプカプ宮殿の奥のレストランで、単にステーキと注文したら、ウエルダンが出てきました。それに懲りて、アンタルヤ湾が見えるレストランで、私はレア、隣の人はウエルダンを頼みました。私の前には、ウエルダンが置かれました。隣を見ると、私のよりもさらに乾燥して縮こまった牛肉が出されています。完全に火を通すのが遊牧民族の文化なのかもしれません。

 野菜の煮込みは、まるで、野菜をお湯に浸しただけのようでした。

 フランスならバター・ソース、イタリアならトマトとオリーブオイル、中国なら骨と野菜のスープ、日本なら鰹節や昆布があります。私が食べたトルコ料理には、それらの「出汁」に相当するものが感じられません。

 ホテルの夕食は基本的にバイキングです。デザート・コーナーは立体的なパッチワーク状態で、常に30種類ぐらいのケーキが並べてあります。約半数のバットには、薄い透明の膜がはっています。メープル・シロップでした。ケーキは十分に甘く、美味しい。シロップも甘美で滑らかです。メープル・シロップにひたったケーキを口に含むと、異常なまでの甘さを体験できます。 お勧めは紅茶類です。

 エフェソスからアンタルヤへ行く途中で、サルダ湖に立ち寄りました。雪解け水の湖です。レストランがあり、チャイが振る舞われました。小降りスプーンにのった可愛い角砂糖。受け皿にのった、優美で華奢なグラスを手に取ると、チャイの暖かみが指先に伝わります。五月の乾いた光を透していました。

 イスタンブールのグランド・バザールです。離団して歩き回っていた私には、ここでのグループとの合流まで時間がありました。喫茶店に入り、アップル・ティーを注文しました。香りが素晴らしい。


 郊外のスーパーマーケットで、一箱120円ぐらいで売られているのを見つけました。お買い得です。アップル・シナモン・ティー以外の種類も試しましたが、私には香料がきつすぎました。

 トルコ・コーヒーは、リッチな苦さが美味です。カイロで飲んだエジプト・コーヒーと同じです。ギリシアでは、ギリシア・コーヒーと注文しないと出してもらえない、と聞いています。

 帰国して、私はほんとうにトルコ料理を体験したのかどうか、不安になりました。ちょうど、国賓待遇でトルコに招待された方が飯坂温泉におり、お尋ねしました。

「そうなのよねえ。トプカプ宮殿の迎賓館で晩餐会があったんだけど、美味しいって感じなかったもの」という、ご感想でした。