●第7の粘土板●

 こういう夢でした。
 「巨大な鳥アンズーが、ライオンの手、ワシの爪で自分の髪を掴んだ。ギルガメシュ王よ、助けてくれと叫んだが、彼は恐れて逃げた。暗黒の家に連れ込まれた。祭司たちと神々がいて、冥界の女王エレシュキガルが訴状を手にしていた」

巨大な鳥アンズー:紀元前2400年頃:テレオ出土:ルーブル美術館
巨大な鳥アンズーの銀の器:紀元前2400年頃:テレオ出土:ルーブル美術館

 それは、メソポタミア全域の主神エンリルが、自分が派遣していた森番フンババを殺した責任はエンキドゥがとるべきだと主張し、死罪が決定された神々の会議でした。25行も欠落しているので詳細は不明ですが、愛と戦争の女神イシュタルがいたら有罪に賛成したはずです。

 ところで、二人とも同罪になりそうですが、ギルガメシュ王は無罪でした。神々は、エンキドゥ抜きではフンババも天の雄牛も殺せなかったから、主犯はエンキドゥだと判断したのでしょうか。あるいは、現王が死ねば、ウルクの長老会も人々も神々に黙っていはいない、でも元野人ならOKと考えたのでしょうか。あるいは、愛と戦争の女神イシュタルに天の牛の腿を投げつけた事が、ひいては、神々への不敬行為だと受け取ったのでしょうか。

 エンキドゥは親友の幸運を呪うわけにはいかず、逆恨みします。曰く、ニップールに建てた門から名前が外されるのだろう、私を見つけた狩人はならず者で、聖娼シャムハトの誘惑さえなければ、こんなことにはならなかったと、わめきちらします。
 ギルガメシュ王は、神々の決定になすすべがありません。うろたえないでくれ、俺がちゃんとした葬式を出してあげるから、と、なだめるだけです。気持ちの乱れがおさまったエンキドゥは、静かに死を受け入れます。
 無力なギルガメシュ王は、12日間、衰弱していくエンキドゥに付き添いました。