クリスタル・アイとは
測色の意義と実際
機械による測色は一般工業界では古くから行われており、インダストリアルデザインの世界や自動車産業では色調の数値化はもとより、色調の持つ感情への影響なども深く研究されている。
歯科においては、製作ロットが最小限である事、そしてその一つ一つが別個の色調を持つ事などの理由により、長い間目視によるシェードガイドとの比較により、色調が伝達されてきた。
シェードガイドそのものの欠点もさる事ながら、目視と、言葉(文字)による伝達により解決出来ない問題が数多くあり、再製作という方法に全ての解決を向けられていたのが現状であった。
オリンパスクリスタル・アイは7バンドというマルチバンドのスペクトルでの測色を可能にし、秀逸な付属解析ソフトでその色調情報を表示して見せる。
患者の歯牙色調情報と制作補綴物色調情報を並べ合わせ、その色差をΔEの数値で表すことも可能で、概ねΔE3.0以内であれば臨床上口腔内での違和感は無いといわれている。
的確な色調情報の伝達と確認作業が出来ることで、シェードマッチングにおける確率は飛躍的に高まる。
天然歯と補綴物の比較
天然歯とジルコニアクラウンの対比
この症例はおおよそ左側の2番の色調に合わせて1番を製作して欲しいという依頼であった。
グレーズ前にステイン液を塗布した状態で測色した。
全ての項目がΔE3.0以内であり、臨床的には充分マッチングすると思われる。
左右半々に表示
歯冠を半分づつ表示し比較
画面上で歯冠を半分づつに表示し、対比させる。
この時点で、修正の必要があれば細かい修正を施す。
範囲で指定
ΔE3.0以内を表示
歯冠のどの範囲がΔE3.0以内であるか表示させることも出来る。
ΔEの値は変更も可能で、より厳しくマッチングを目指す場合ΔE1.0などというセッティングも可能である。
シェードタブとの比較
シェードガイドとの対比
通常のシェードテイクのシェードタブでの指定の場合、クリスタルアイ内部に取り込まれているシェードタブとの比較が可能である。
初期状態で、
vita clasical・vita pan 3D master・ノリタケAAA・松風ハロー ・ivoclal クロマスコープが取り込まれている。
又、オールセラミックス等のために支台歯の色調比較も出来る様、
ivoclal スタンプガイドとフィネスのガイドの色調も取り込み済みである。
オールセラミックスコーピングの測色
各種オールセラミックスコーピングの測色
それぞれの透明度により、支台の色調による影響がどの程度なのか、クリスタルアイを用い測色してみた。
今回掲載しているのは歯冠中央部のデータのみである。
尚、全てのデータは3回測定後平均したので、必ずしも色差式にて同じΔEになるわけでは無い。
支台歯の色調
レジンにて支台を制作
左よりA2/A3/A3.5/A4
その他に、メタルコアの色調の測色も試みた。
ジルコニアコーピング
セルコン0.5ミリの場合
各メーカーのジルコニアはそれぞれ透明度に違いがあるが、今回は一番遮蔽能力の高いと思われるセルコンブロックによるフレームを使用した。
各支台色よりメタルコアまで、ほとんど誤差の範囲内でしかΔEの変動が無い。
よってメタルコアの症例に充分な遮蔽力があると言える。
当然各支台色による完成物の色調の影響は、ほとんど無いと言える。
インセラムアルミナ
インセラムアルミナ0.6ミリの場合
インセラムアルミナもかなり遮蔽性が高い素材と言える。
よってメタルコアには充分の対応が期待出来るが、歯冠中央に透明感がある歯牙等自然感に欠ける仕上がりになる症例もあるであろう。
面白いデータであるが、ベースの色調がA2とほとんど誤差が無く精密にマッチしており、さすがにVITAの製品と思わせる。
プロセラアルミナ
プロセラアルミナ0.6ミリの場合
プロセラアルミナもかなり遮蔽性が高い素材と言える。
しかし、メタルコアの場合はデータ上の影響は出ている。
よってメタルコアにはマスキング材を使用した対応が期待出来るが、やはり、歯冠中央に透明感がある歯牙等自然感に欠ける仕上がりになる症例もあるであろう。
エンプレス2(e.max)
エンプレス2100番0.8ミリの場合
今回の素材の中で、一番透明感のある素材がエンプレス2であった。
支台歯の色調の差による変化も出ているが築盛陶材にてカバー出来る範囲と思われる。
しかしメタルコアに至っては全く色調が異なってしまい、どれだけのマスキングしても、目的の色調にたどり着くのは難しいであろう。
メーカーの指示通り、メタルコアの症例は適応から外すべきと再認識出来るデータである。
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