サトゥルノ話あれこれ
(2005.03.07 手直し)

●まずはご説明から
2001.04.20。突然、以前遊びに伺ったa2 Gallery WAVERの中村氏からメールが届いた。
なんでも“マンスリーM”という雑誌の取材で、サトゥルノデザイナーの
萩原氏の特集が組まれるのだが、編集部の希望でサトゥルノの写真が欲しいのだという。
条件はスタンダード(std)とTTのノーマル車。幸い私のサトゥルノstdはノーマルに近いので、
全てノーマルに換装しなおしてお貸しすることにした。
(※後日談:残念ながらえるまぁのstdはボツになった)

04.22。新宿のギャラリーにバイクをお持ちした。すると…え?萩原さん、いらしてる!!
TTを貸すことになったKEiNさんはお帰りになったあとだったが、
KEiNさんと一緒に午前中から遊びに来ていたサトゥルノ好きさんとでいろいろ伺うことができた。
そこで、デザイナーご本人から伺った貴重な話と、以前a2 Galleryで中村氏から伺った話を
あわせて書き記しておきたいと思う。
(午前中は萩原氏のテストライダー時代の話などで盛り上がったそうだ。
ご一緒できなくて残念だった。)
尚、(中村氏)と行末に表記の場合は、萩原氏の代理店である、
a2 Galleryの中村氏からうかがった話。

●萩原直起氏について
氏は1965年新宿生まれの新宿育ち。中学を卒業後すぐに渡米。

日本において、レースに持ち込んだ自作マシンを見た伊藤忠商事の人に
突然イタリア行きの切符を渡され、
イタリアに到着してジレラ社を訪問すると、その場で責任者に任命されたという。

どのような展開であったのか、興味は尽きない。是非お話を伺ってみたいものだ。
●何故対馬なのか
以前は都内にファクトリーがあったのだが、近所からの騒音クレームや機密保持の問題等で
対馬にしたのだという。(中村氏)
なお、突然ファクトリーを訪ねてくる人がおり、島の警察等に場所を聞くそうだが、
機密保持等もあるので見学には応じかねるという。
●サトゥルノ話
○生産台数
部品用の予備も含めて10000台分、製品としては8000台分程。
日本は年1200台づつ輸入された。(なんだかんだで6000台ほどになるかも、とも)
イタリアには300台しかないのだという。また、カナダ等には日本から再輸出された。
とある調査では、都内で頻繁に見かける車は10万台、ちょくちょく見かけるのは5万台、
ちらほら見かけるのは3万台生産された場合だという。

○車体カラー
12色もの色バージョンの発端は、フェラーリオーナーから黄色(多分ディノだろう)のサトゥルノを
ランボルギーニディアブロオーナーから紫のサトゥルノを注文された事からである。
タンクはもともと全てが赤色塗装なので、色を削ると下地が赤いとのこと。

○タンク
通常白い文字とマークが入っているが、白塗装をしていないタンクが小数生産された。
塗り忘れたわけではない(笑)

○フレーム
緑、白、赤、黒他の順で塗ってあるので、やはりフレームを削ると赤が出てくるのだという。
また全て手作業で溶接しているため、溶接の巻き方などが微妙に違い、
右カーブや左カーブでの挙動(剛性に起因する)は各車微妙に違うとのこと。
ベルリッキ製であるクロモリフレームは焼きの入っているモノと入っていないものがあり、
叩いて高い音がするフレームは焼きが入っている。

○カウル
現在のバイクがタンクやシートにも剛性を負担させているのと違い、サトゥルノはフレームで
剛性が保たれている。スタンダードのリアカウルが二本のプラスチック素材で留まっているのは
カウルで衝撃を逃がしてフレームが逝かないようにする事を狙ったものである。
なお、フルカウル仕様のサトゥルノが三台だけ存在(それも日本)する。
(※後日談:SIREBURAXサトゥルノオーナーズバージョンで1台、
        サトゥルノオーナーズクラブ通販で6台分追加。)

○エンジン&マフラー
オーナーズBBSで話題になったエンジンのメーカーであるが、
エンジンはジレラ社とフェラーリ社の共同開発である。サトゥルノ専用とのこと。
シリンダーヘッドやコグドベルトまわり等はフェラーリ社の技術。
フレームが白いサトゥルノは、エンジンを開けてバランス取りなどの手が入っている。
また、マフラーは各色につき一台ほど、萩原氏が手を加えた「当たり」がある。
赤いフレームの車体にはバラツキはあるかもしれないが、その意味で当たりのものは無い。
一台だけ?ポート研磨やバランス取りなどをしたスペシャルな車体が
普通の車体に混じって販売された。萩原氏がお遊びで手を加えたそうだ(笑)
(追記:Engはジレラ・ダコタ('86)のシングルキャブ化('87)でサトゥルノ専用、となる。
    サトゥルノ専用Engのみをフェラーリと共同開発したわけではなく、母体となったEngを
    共同開発したので注意。ジレラ社の親会社フィアット社の傘下にフェラーリがある。)

○生産地
ないしょ。(爆)
(補足:アニバーサリーは塗装後、日本国内で組み立てられた。)
●サトゥルノとグースの違い
萩原氏にとって、サトゥルノとグースは特に思い入れがあるバイクとのことである。

サトゥルノはマン島TTレースを念頭に置いて製作された。
ライダーはイギリス人を想定していた。タンクは給油回数を減らすために大きくしたが、
イギリス人は体格がいいのであのようなライディングポジションでゆくことになった。
イギリスではクラッシックレースが盛ん。従って、クラッシックなバイクに慣れたイギリス人が
乗り易いよう、クラッシックなスタイル(ライディングポジション)を狙ったのだそうだ。
クラッシックを最新技術で武装…これがサトゥルノであった。

日本でレースに参加していた時、ポップ吉村氏が萩原氏のバイクの近くに来て音を聞き、
「これは何処で組んだの?」「自分で組みました」。
ポップ吉村氏が、スズキと萩原氏の仲立ちをしたのだという。
グースは当時の最先端の技術と理論で作られた。しかし、わざと新しい形にしなかった。
最新技術・理論をクラッシックなスタイルでまとめた…これがグースである。
サトゥルノとは正反対のアプローチである。
サトゥルノのマン島に対し、グースは筑波をイメージしたそうだ。

サトゥルノはFR。グースはミッドシップなイメージだという。
後輪荷重のサトゥルノは、フロントからすべることはまずない。リアがすべる。
カーブでの立ち上がり時に後輪が空転したり滑ったりするのは後輪への荷重不足だそうだ。
サトゥルノの実力を知るライダーのリアタイアは溶けている、いや、溶けていないなら
サトゥルノの実力を出し切っていないのだ、と萩原氏は語る。
対してグースは限界が非常に高い。そのかわり、滑り始めは前後とも同時だという。
感覚的には前輪が滑り出したような感じになるという。ミッドシップ車と同じく、滑り出すと
立て直すのは難しいとのこと。
グースに慣れた人がサトゥルノに乗ると、対応できないかもしれないね、だそうだ。

なお、サトゥルノ開発時はダンロップのライディーン派とミシュランのハイスポーツ派に分かれた
そうだ。ライディーンは起きようとするタイヤ。ハイスポーツはその反対だという。

ポジションについてはえるまぁが愚問をした。
べベルギア時代のドゥカティ(900ss等)と似ているように見えるが…と聞いたところ、
それは気のせい、といわれた。
あの時代のドゥカはエンジン自体が長く、あのポジションしか取れなかった。
サトゥルノはわざとあの配置にしたのだ、乗り味は全然ちがう、サトゥルノの様には
曲がらないよ、とのことだった。
●最後に
サトゥルノオナーズクラブとグースオーナーズクラブ合同の座談会などを是非企画したい
と萩原氏にお願いしたが、沢山の人の前で話すのは好きではない、少人数でなら構わないが…
と断られてしまった。
いつもバイクの知識をあまり持ち合わせていない私がこのような機会に恵まれ
お世話になっている両オーナーズクラブの皆様には、誠に申し訳なく思う。

取材記事は「マンスリーM」のVol.15号 2001.5.24発売 を見ていただきたい
萩原氏の記事とコンセプト自転車が発表された。
(追記:同誌は現在刊行されていないため、上記リンクに記事データをupしておいた)
サトゥルノ好きさんのサイトにもレポートがアップされました。
私のいなかった時にした話、聞き逃したところ、忘れたところなどが沢山書いてあります。
                    GILERA SATURNO TT-FAN

感想等はウチよりこれらのBBSに書き込むのが良いかと(^^;
TT−FAN BBS
Gilera Saturno BBS
えるまぁ宛の感想ならウチのBBSに(笑

顛末記メニューへ
バイクメニューへ