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現代の悲劇をユーモアでやさしく包むミステリー
「いつまでたっても七十四歳ぐらいという、なかなか老けない女性」波川まつ尾が主人公で、近所の婆ちゃんたちが集まって事件を解決するという、名古屋弁満載の「やっとかめ探偵団」シリーズ第5弾(ぐらい)である。
今回は、中編が2本立ての構成になっている。
名古屋で興行した芝居のために書き下ろした作品ということが、わたしには最初から頭にあったので、文章を読んでいるうちに、舞台での演出や観客の笑い声が想像できてしまった。サービスカットならぬ「サービスせりふ」も入っていて、さぞや芝居を盛り上げたことだろうと思える。
「やっとかめ探偵団と鬼の栖」は、全編、親と子の愛憎で縁取られている。
夜、子どもが泣く声に不吉なものを感じていた波川まつ尾のもとに、少し離れたアパートの住人が失踪しているという情報が届く。しかも、夜な夜なその部屋からは子どもの泣き喚く声が聞こえていたらしい。さては、悲しい事件があったのでは、と浮き足立つ探偵団の面々だったが、そこへ関係者の死体が見つかったという新たなニュースが飛び込んできたのであった。
第三章では、事件とは関連はないが、サイドストーリ的に、波川まつ尾が嫁いでいた頃の悲しい運命が語られている。親と子の悲しいいきさつがたんたんと語られていて、思わず涙ぐんでしまうほどである。
「やっとかめ探偵団と唐人お吉」は、幕末の悲劇の芸者お吉になぞらえて、現代の悲劇を浮き彫りにする。
同じ会社のパートタイムで働く女性4人組が観光旅行に訪れた先で、殺人事件が起こる。事情を聞きつけた探偵団も、さすがに近所で起こったことではないので何もできないでいたところ、第二の殺人事件が名古屋駅にある展望台で起こった。二つの事件の関連性は、そして犯人は誰なのか、波川まつ尾が推理を働かせ、ついに動き出す。
この話の波川まつ尾は、かなり積極的に行動に出ている。みずから関係者へ事情を聞きにいったり、最後には犯人と二人っきりになったりもして……。あー、もう、これ以上は言えません!
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