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落語に通ずるおもしろ小説集
あなたはご存知だろうか。バールのようなもの。ニュースでよく耳にするであろう謎の物体。
「本日未明、××市△△町の宝石店に何者かが忍び込み、中に置いてあった貴金属類、時価数千万円相当が盗まれました。入口のシャッターが【バールのようなもの】でこじ開けられた形跡があり、犯人はここから侵入したものとみられています」
バールのようなものは、絶対にバールではない。例えば、鬼のような顔、と言ったときのその顔は鬼なのだろうか、いや、違うであろう。たくあんのような味、と言った場合のその食べ物はたくあんなのか、いや、たくあんではない他の何かであろう。すなわち、ニュースのアナウンサーが言う【バールのようなもの】とは、バールとは違う他の何かである。そう考えて男は【バールのようなもの】を探して街をふらつく。
あなたはご存知だろうか。みどりの窓口。JRの主要な駅には必ずあるという不思議な空間。
無愛想な顔をして機械的に仕事をこなす駅員がいて、列に並びながらイライラと自分の順番が来るのを待つ客。やっと自分の番になったと思ったら、そっけない駅員から「満席です」と冷たくあしらわれる。
そんな様子を2時間もじっと見ていた男(清水義範)がこの小説を書いた。
以上の2編は、立川志の輔の落語にもなっている話。他10編、あわせて12編のユーモアあふれる短編をどうぞ心ゆくまでご堪能ください。
【志の輔さんの落語】
志の輔 らくごBOX ……「みどりの窓口」が立川志の輔さんの落語になっています。
【関連書籍】
笑う霊長類
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