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「ぼくはアクマのハムスター」
おはなし いーちたいむ&まーちゃん
え まーちゃん
ぼくがゆきちゃんと、はじめてであったのは、ゴミすてばだった。
あのひのことは、いまでもぼくはおぼえているよ・・・。
こんにちは。
ぼくは、ちいさなハムスター。
でも、ほんとうはアクマなんだ。
アクマといっても、あんなにこわいアクマじゃなくて
とてもちっちゃな、いたずらずきなアクマさ。
ぼくはアクマのくせに、にんげんをおどかすことなんてできないものだから
なかまから、いつも、いじめられていたんだ。
いつもぼくは、ひとりでないていたんだ・・・。
そんなあるひのこと、ぼくはとうとういじわるなともだちに
まほうをかけられ、ちいさなハムスターにさせられてしまったんだ。
それからぼくは、ほんとうにひとりぼっちになってしまった。
ともだちなんて、どこにもいない。
さみしかった。
さいきんでは、それにもようやくなれてきて
カラスとあそんでいたけどね・・。
「ねぇ、きみもひとりぼっちなの?」
ひとりであそんでいためのおおきなかわいいおんなのこが
ぼくにはなしかけてくれたんだ。
そのおんなのこも、ひとりぼっちでとてもさみしそうだったんだ。
「そうだ!わたしとおともだちになりましょうよ。」
ゴミすてばで、そのおんなのこは、えがおでぼくに
そういってくれたんだ。
うれしかった。
ともだちなんて、はじめてだったから・・・。
おんなのこのなまえはゆきちゃん。
ゆきちゃんは、ゴミでよごれたこんなぼくなのに
とってもよろこんで、うれしそうにりょうてでだきしめてくれたんだ。
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・・・・・・
ゆきちゃんは、ぼくに「ハムちゃん」というなまえをつけてくれた。
ぼくはアクマなのにね・・・ へへへ、なんだかちょっとくすぐったいかんじ。
ゆきちゃんは、ぼくといつもいっしょにあそんでくれたんだ。
でも、ゆきちゃんのおうちは、ちいさなアパートだったから
ぼくみたいなどうぶつはかっちゃいけなかったんだ。
おかあさんにみつかったら、ゆきちゃんは、きっとひどくしかられてしまう。
それでもゆきちゃんは、おかあさんにないしょで、ぼくをともだちにしてくれたんだ。
ゆきちゃんのへやの、ちいさなあきばこがぼくのおうちだった。
ゆきちゃんが、いっしょうけんめいつくってくれたんだよ。
ときどきゆきちゃんのおかあさんが、「へやになにかいるの?」と
きづかれそうだったけど、そのたびにゆきちゃんは
「ううん、なんにもいないよ。」とウソをついてくれたんだ。
ぼくは、ゆきちゃんが、ウソをつくたびにおおきくなったよ。
ぼくはアクマだから、ひとのウソをたべるのがすきなんだ。
ひとのウソがいちばんのごちそうなんだ。
ゆきちゃんは、しらないけどね・・・。
・・・・・・
ぼくは、アクマだから、いたずらがとてもすき。
ゆきちゃんがしょうがっこうにいっているあいだに、ゆきちゃんのおへやを
ちらかしちゃったよ。
だって、たいくつだったし、ゆきちゃんがいないのがつまらなかったんだ。
おかあさんが、ゆきちゃんのへやにきたときは、びっくりしたけど
そのときぼくは、ゆきちゃんがつくってくれた、はこのおうちに、すぐににげたよ。
「まぁ!ゆきちゃんたら、おかたづけもしないで!」
おかあさんが、まるでおにみたいにおこっていたんだ。
ゆきちゃんが、がっこうからかえってくると、おかあさんは、すぐに
ゆきちゃんをおこったんだ。
「ゆきちゃん、おかたづけしなさいって、あれほどいつもいっているでしょ!」
ゆきちゃんは、びっくりしていた。
「わたしじゃないのに・・・。」っていいそうだった。
でも、ゆきちゃんは、ぼくのこと、ぜったいにいわなかったんだ。
「ごめんなさい。ごめんなさい、おかあさん・・・。」ってないていたんだ。
ごめんね。ゆきちゃん・・・。
こんなぼくなのに、あとからゆきちゃんは、ぼくをだきしめてこうささやいて
くれたんだ。
「よかったね。みつからなくて。」
ゆきちゃんは、ぼくをしからなかった。
ふしぎだね。
ぼくのめから、なみだがでたよ・・・。
・・・・・
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あるひのこと
「あれ、ハムちゃん、ちょっとちいさくなったんじゃないの?」
そう、ゆきちゃんはぼくにきいた。
ゆきちゃんのウソでおおきくなっていたぼくは、いつのまにか
また、ちいさなぼくにもどっていた。
ぼくはアクマ
ゆきちゃんのウソはおいしいけど、ゆきちゃんのやさしいきもちは
にがてなんだ・・・。
ゆきちゃんの「ううん、なんでもないよ。」というウソで、ぼくはおおきくなり
「よかったね。ハムちゃん。」というゆきちゃんのやさしいきもちで
ぼくのからだは、ちいさくなる。
おかげで、ゆきちゃんがつくったはこのおうちに、からだがはみでなくて
ちょうどよかったよ。
ときどき、ちょっとふとりすぎて、あぶないときもあったけどね。
でも、このままゆきちゃんにやさしくされつづけると、ぼくはどんどんちいさくなり
きえてしまうかもしれないんだ。
ゆきちゃんのウソはおいしいけど、ゆきちゃんにやさしくされるたびに
ぼくはかなしくなってしまう。
なぜなんだろう?
でも、これは、ゆきちゃんにはないしょなんだ。
・・・・・
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あるひのこと、とうとうそのひがやってきてしまった。
ぼくは、おかあさんにみつかっちゃたんだ。
ゆきちゃんのへやのまどからみえるきれいなはなを、ゆきちゃんにあげようと
おもったのがいけなかった。
おかあさんは、ゆきちゃんをひどくしかったんだ。
「どうしてこんなことをしたの?
どうぶつをかってはいけないっておかあさん、あれほどいったじゃない!」
どこにいるの?おかあさんにおしえて!
ゆきちゃんはおかあさんに、いままでウソをついていたの?そうなの?
おかあさん、かなしい・・・。」
こんなにおかあさんがおこったのは、はじめてだった。
いつもはやさしいおかあさんなのに。
おかあさんは、どうぶつをかっていたということよりも、ゆきちゃんがウソを
ついていたことのほうが、かなしかったんだ。
ゆきちゃんのおおきなめから、おおつぶのなみだがでてきた。
「うわぁぁん、うわぁぁん」
ゆきちゃんはなくばかりだった。
おかあさんは、とうとうぼくがいるはこのおうちをみつけたんだ。
「そこにいるのね。」
ぼくはかくごをきめたよ。
ゆきちゃんとはなればなれになることを。
そうおもうと、とてもかなしくなったんだ。
おかあさんが、このはこをあけようとしたときに
ゆきちゃんは、ぼくをかばうように、このはこをりょうていっぱいに
ひろげてかくしてくれたんだ。
「ここにハムちゃんはいない!いないってば!
うわぁぁん!」
ゆきちゃんは、またうそをついたんだ。
なんどもなんどもウソをついたんだ。
そんなゆきちゃんのりょうてをほどいて、おかあさんは
そっとゆきちゃんをだきしめた。
そして、おかあさんは、とうとうそのはこをあけてしまった。
でも・・・。
ぼくはそこにいなかった・・・。
はこのなかはからっぽだったんだ。
ぼくはアクマ
ひとのウソはおいしいけど、ぼくはゆきちゃんのそのウソはたべなかった。
いや、たべられなかったんだ。
ゆきちゃんの、やさしいきもちがとてもうれしかったんだ。
ゆきちゃんとおかあさんが、なかなおりしてほしかったんだ。
ウソをたべなかったから、ぼくは、ゆきちゃんのやさしいきもちで
どんどんちいさくちいさくなったんだ。
そしてぼくはとうとうきえてしまった。
ウソをたべるより、ぼくはきえることをえらんだ・・・。
かなしいけど
ぼくは、それでいいとおもったんだ。
さようなら、ゆきちゃん・・・。
・・・・・・・・・・・・・・・・
からっぽになったはこのまえで
ゆきちゃんはいつまでもないていました。
「ハムちゃん!ハムちゃん!」ってないていました。
おかあさんは、そんなゆきちゃんを
ただ、だまってみつめていました・・・。
・・・・・
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あれから、1ねんがすぎました。
ゆきちゃんは、おとうさんのおしごとのつごうで
アパートからふつうのおうちにひっこしました。
ゆきちゃんは、もうげんきだったけど、ハムちゃんをおもいだすと
ときどきかなしいかおになっていました。
あるひ、ゆきちゃんのおたんじょうびのよる
おかあさんが、やさしいえがおで、ゆきちゃんにこういいました。
「ゆきちゃん、おたんじょうびおめでとう!
これはプレゼントよ。」
ちいさなカゴには、とてもかわいいいきものがはいっていました。
それは、ハムちゃんによくにたハムスターでした・・・。
「うわぁ、ハムちゃんだ!ありがとう!おかあさん。
もう、うそをつかないよ。
ゆきちゃん、いいこになるよ!」
・・・よかったね。
ゆきちゃん、またぼくにあえたんだね。
でも、こんどはほんとうのハムスターだからかわいがるんだよ。
ぼくは、きえてしまったけど、ちゃんとこうしていきているよ。
じつは、ぼくは、あのひ、きえてしまったけど
ゆきちゃんのやさしいきもちのおかげで、まほうがとけたんだ。
ハムスターからアクマにもどったんだよ。
ゆきちゃんは、ぼくにおしえてくれたよね。
ともだちをしんじるやさしいきもちを。
だからぼくは、いまでは、こうしてともだちも、たくさんできたんだよ。
もう、ひとりぼっちじゃないんだよ。
ぼくは、アクマ
あのころのぼくは
ひとのやさしいきもちは、にがてだった。
でも、いまはとってもすきなんだよ。
ありがとう。
ゆきちゃん。
もう、おかあさんに
うそをつかなくていいからね。
ハムちゃんをたいせつにしてね・・・。
きみは、ぼくのたいせつなともだち。
きみのこと、ぼくはぜったいにわすれないよ。
いつまでも
そして、いつまでも・・・。
おしまい。
あとがき。
このお話は、小学1年生の娘と一緒になって考えて楽しく作りました。
「やさしい気持」というのが、この絵本のテーマになっています。
ウソはいけない事だけど、それをしてまで大切な友達を守ったゆきちゃんのやさしい気持。自分を犠牲にしてまでお母さんとゆきちゃんを仲直りさせたかったアクマ君のやさしい気持。そして、傷ついたゆきちゃんにお母さんがハムスターをプレゼントしたのもやさしい気持です。
でも、ゆきちゃんのやさしい気持とはいえ、ウソは悲しみしか生みませんでした。
ゆきちゃんは、ウソを重ねて結果的には傷ついてしまった。
ウソはまわりに悲しみを広げてゆくだけしかないのです。
しかし、それと同じくらいに「やさしい気持」もまた、まわりに幸せを広げてくれるのです。時として、ひとはウソをついて傷つくこともあるけれど、やさしさがそれをすべて癒してくれる事をこの絵本から感じてくださればと思いました。
この絵本は、できれば小学低学年のお友達に読んでもらえたらなと思い、すべてひらがなで書きました。
いつもひとちぼっちの子供達や、心に深い傷を作った子供達が、ほんの少しでも、いや、ほんの一瞬でもいいからこの絵本を読んで、明るい気持と笑顔が作れたらこんなうれしい事はありません。
今、世の中は信じられないような事件が平気で起きたりしています。
大人が平気で子供達を傷つけたりします。
今、子供達に必要な事は、子供達への大人の愛情です。
これからの未来を担う子供達に、やさしい気持をいつまでも持ちつづけて欲しいと私は遠く願っています・・・。
最後まで読んでくださってありがとう。
EACH TIME & まーちゃん
01/06/27
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