もうひとつのクレーム日誌  
HOME BACK INDEX NEXT

このページでは、ご訪問者の方の”もうひとつのクレーム日誌”を掲載させて頂いています。
只今、もうひとつのクレーム日誌投稿募集中です!詳しくはindexより。
私のぜひ、読んでいただきたいおすすめのエピソードです。
*この文章ご提供の作者様へ:掲載に何か問題がありましたらメールにてお知らせ下さいませ。


 店を辞めるとき・・・    投稿者 ゆうさん



 数週間だけ電化製品の店での店員でした。先日見事に挫折してドロップアウトです。
私はEACH TIMEさんの勤めているような大規模な店とは違い、電化製品一筋の街電器屋でした。
まぁ、とにかく酷い現場の店でしたが。
初日から新人社員の教育をする者が誰も居ないのです。これには驚きました。
最初に命令された小さな店内の商品配置を覚える事、ただこれだけです。
それから数時間放置され、こちらから声をかけて聞いても何も教えてくれずに何所かへ行ってしまう。
加えて社長の「ぼけっとつったってねえで働け」…何をしろと?(苦笑)

私はコンビニでバイトながら6年間勤めていた実績があるのですが
新人が入って来た時は自分でマニュアルを作成し付きっ切りで教育して来ました。
その電器店は店内の文房具用品などもホコリで真っ黒…店内の活気も無し。
途惑うと同時に急速にやる気が衰えて来ました。

数時間後にはEACH TIMEさんの新人時代のエピソードと同じ様に私も「辞めよう」と思っていました。
私の愚かな点は、自分のこの想いを「逃げ」だとは全く思っていなかった事です。
こんな店で自分の半生を潰す気にはなれない。情熱を捧げられるような仕事がしたかったのです。

先輩の社員さんにかいつまんでこの話をすると
「俺もここで仕事しながら何やってんだろうなあ…とか思うよ」との事(苦笑)。
数日後、私は自分の思いを社長に打ち明けてみました。
懇切丁寧に相談すれば社長も相談に乗ってくれるだろう。そんな甘い考えを抱きながら。
ですが次の瞬間に聞こえて来たのは罵倒の嵐。私の考えも青いかも知れませんが、
全人格を否定されるような言葉を次から次へと叩き付けられました。
私も若さゆえ、思わず社長の横面を殴り飛ばしそうになりましたが…そこはぐっと堪えました。
もう話をするどころではありません。

私はその場で首を申し付けられ、そのまま怒りを抑えたまま帰宅しました。
自分にも落ち度はあると思っていますが、こんな屈辱は生まれて初めてです。
再就職にも、次の職場もこんな現場だったら…という思いで身動きが取れなくなっています。
私の経験を生かすには接客の仕事が一番だと思っているのですが…。

EACH TIMEさんは厳しいクレームに囲まれながらも、店全体が一つになって盛り上げていこうという
雰囲気の中で仕事をされているのが察せられますので、とても羨ましく思います。
何だか、今はただひたすら生きる気力まで奪われたように思います。
詰まらない乱筆乱文失礼しました。
書かずにはいられませんでしたので…もしお気を悪くされたのなら削除して下さい。
申し訳御座いませんでした。



・・・・・・・・・・・・・
このエピソードのご感想は、掲示板または
下のメールフォームにてお願いします。 EACH TIME


あとがきとお返事

ゆうさん、投稿ありがとうございます。
「電器売場店員のクレーム日誌」のEACH TIMEです。
まず最初に、あなたにお詫びをしなければなりません。
随分と昔に投稿してくださったのに、今頃掲載の形になってしまいました。
本当に申し訳ございませんでした。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

今の仕事を辞めたい時・・・
それは少なからず誰もが思うことですよね。
私も正直言って、過去に何度となく、いや、それはもう数え切れないほど考えたことがあります。
今もよく悩むことがあります。私の人生はこれからの先も、この仕事でいいのだろうかと・・・。

私も思わず本当に辞めそうになった出来事があります。
あの日は今も、忘れることが出来ません。
それは、ある意味、ゆうさんと同じようなものでした。

もう、随分と昔のことですが、ある日の日曜日、幼稚園の息子の発表会がありました。
その日の日曜日は、私の勤務時間は昼からになっていて、午前中の人員に問題はなく
パートさんや部下達も「たまには息子さんの為に、行ってあげてください」と言ってくれて
本当に私は泣きたくなるほど、感謝の気持でいっぱいになった。
いつもなら、ほとんどサービス残業で朝から出勤するのだけど、今回、その言葉に甘えさせていただいた。

おかげで、私ははじめて日曜日に息子の発表会に行き、そして、息子のはじめて見る緊張した中での
笑顔を発見することが出来たのでした。息子は幼稚園の中に私がいるのがよっぽど珍しかったのか
それともうれしかったのか、私に「お父さん、これがね、ボクの机でね・・・」といろんなことを教えてくれた。
それはサービス残業ではとても得られない、本当に大切なものだった。

それでも昼前には、私は仕事に行かなければならず
「どうしてお休みじゃないの?」と聞く息子に
私は笑顔で誤魔化すしかなかった。泣きたくもなった。
でも、私は幸せな気持でいっぱいになっていた。

やがて、勤務時間通りに私は昼から出勤した。
出勤すると同時に私は、「何か問題はなかったか?クレームは?売上は?」と
気になっていたことをA店員に尋ねた。彼は「問題はありませんでした」と
笑顔で答えてくれたが、それよりも・・・と言葉を続けていた。

「それよりも、店長がすぐに店長室まで来るようにって言っていましたが・・・」

その言葉に、私は嫌な予感がした。
それは私が店長室のドアをノックした次の瞬間、現実のものとなった。

「お前は会社がこんな時に、よく昼から出勤できるな!
何考えているんだ?え?
やる気がないから今すぐに辞めちまえ!」


それこそ、私も自分の人格も否定されるようなひどい言葉を次々と言われたが
ココではもう、書かない。それを書く時間さえ、無意味なことだから。

それより私はこんな人の下で働いていることが哀しくなった。
どうして昼から出勤しただけで、”やる気がない”になるのだ。
別に仕事をサボった訳でもなく、業務に支障をきたした訳でもない。
朝から出勤して義務的に時間をつぶすだけのことに、なんの意味があるというのだ?
それこそ、私は本当にやる気をなくした。たまの日曜日に、息子の発表会にも行けず
そして、勤務時間通りに出勤さえも出来ない会社にはいられない。と思った。

私は会社に、自分の貴重な人生の時間まで売った覚えはない。
それでも私は会社の為と思い、それまで無報酬の多くの汗と努力の時間をつぶしてきた。
それが、この結果だ。私はもう、どうなってもいいと思った。
怒りがいつしか握り拳に力を入れていた。
しかし・・・あの息子の笑顔が、私の”最悪な事態”を未然に防いでくれた。

それから私は売場に出ても、接客をする気にもなれず、ずっとぼんやりとしていた。
店長のあの汚い言葉を思い出すと、まるで私は捨てられた人形のように
心は汚れてゆくばかりだった。
お客様に「いらっしゃいませ」の言葉さえも出なかった。

自分がどんどんダメになってゆくのがわかった。
このままでは死んだみたいにしか、仕事が出来ない。
「辞めてしまおう・・・」と思った。

その日の夜に、私は妻にこの気持を打ち明けた。
「もう、ココでは働けない」と・・・。

こんな時、妻は、(いや、女性はと言うべきなのかわからないが)本当に強いなと思った。
妻はこんな軟弱な私を責めることなく、彼女はこう言ったのだった。

「私はあなたの人生と同じ道をゆくだけだから・・・」と。

その言葉に、私は自分の甘さに恥ずかしいくらいに気付かされた。
私の人生はすでに自分ひとりのものではなく、家族も一緒に歩んでいることに・・・。
なんて大切なものを、私は置き去りにして考えていたのだろうか・・・。
それから私は冷静に考えた。

「仕事を辞める」ということが思った以上にどれだけ大変であるか
また、年齢的に転職はかなり厳しいこと、また、何より私はこの仕事が好きであること・・・
それらのことに気付かされた。

結果、私は今もこうして、この仕事を続けている。
あの店長は今はもう、リストラの対象になって辞めたと風の噂に聞いた。
今思えばあの店長も、誰かに同じようなことを言われて
その同じことを私にしただけかもしれない。
哀しい人だった・・・のかもしれない。

今じゃこの仕事を、たまにぶつぶつと文句を言いながらも、私は15年以上も続けている。
挙句の果てに、こんなクレーム日誌なんかも書いている。
なんだか悔しいけど、この仕事が本当に好きなのだろう。

私がこの仕事を辞める時は、本当にやりたいことが見つかった時か、それとも
会社に辞めさせられるときだろう。
それがいつかはわからない。明日かもしれないし、1年後かもしれない。
はたまた、結局は定年まで続いていたりして・・・・どうなのだろう?

人にはそれぞれの価値観がある。
私にとっては、決して仕事が人生ではなく、私の人生の中に、仕事があって家族があって
そしてその他の多くの大切なことがあって・・・仕事は人生の一部でしかないのだ。
確かに仕事が生きるためのお金を得る手段だけど、多くのお金が本当の幸せとは限らない。

多くのお金を得るために、仕事に人生というかけがえのない時間をつぶすよりも
私は自分や家族との時間を大事にしたい。それが私の守るべき大切なものであり、価値観だ。
いくら大金をつぎ込んでも、お金は今というこの時間を、二度と戻すことはない。
上司の顔色を伺って、大事な時間を無くすほど、愚かなことはないだろう。
何を甘いことを・・・と思われるかもしれないが、これだけは譲れないのだ。


本当の幸せって何だろう?
私はそれを、このエッセイを通じて探しているような気がします。

思わず自分のことが長くなってしまいました。
ゆうさんの素晴らしいところは、ちゃんと自分のその気持を隠すことなく
店長に打ち明けたことです。結果としては、それがあなたの心を傷つけ
辞めるきっかけになったとしても、あの日の勇気は
今のあなたの人生に、多くの大切なものを残しているはずです。

すべては結果ではなくて、本当に大切なことは”自分が何をしてきたか?”
ということなのだと思います。

これからあなたに、どんな挫折と屈辱を感じる日が、
この人生の中、やって来るのかもしれない。

しかし、いつも忘れないでいてください。

この人生の中で、あなたがその為にしてきたことを

そして、あなたのあの日の大切なあの勇気を・・・・。




EACH TIME


ご感想をお願いします。
あなたが仕事を辞めたいと思ったのは、どんな時ですか?
よろしければ、お聞かせ下さい。
出来れば後日、このページで掲載させて頂きたいと思います。


お名前 

メールアドレス

メッセージをどうぞ(後日内容を掲載するかもしれませんのでご了承下さいませ。)



ご協力ありがとうございます。



BACK INDEX NEXT

電器売場店員のクレーム日誌 HOME

TOPへ