11月の日記とエッセイ
2002/11/26(火) ファックスから声が出ない?

缶ジュースを飲みながら、髪もボウボウのおばさんが
まるでどうでもいいのだけど、気まぐれに思い出したから・・・
という感じで私に尋ねてきた。
あまりにも、その風貌も態度も常識はずれだったので
これが単なる通りすがりのおばさんなら
私は何も言わずにそそくさと、逃げてしまうのだろうけど
哀しいかな、今は私は店員だ。
逃げることも出来ず、私は引きつった笑顔を作るだけで精一杯だった。
実は、ここでそのおばさんのセリフを書きたいのだけど
残念ながら、まったく意味のない言葉だったので
私はそれをひとつひとつ、うまく思い出すことが出来ない。
まるで言葉だけが意味を残して、一人歩きをしているみたいだった。
要するに、家にある電話機の調子が悪いと言うことを
私に伝えたいみたいだったのだけど・・・
一応、断っておくけど、そのおばさんは、頭が変と言うわけではなかった。
ただ、何かを説明する時に、物事を順序だてて説明するということが
苦手なようすだった。
なんだか片手に持った缶ジュースが、たとえば缶ビールならまだその状況は
無理もないのかなぁと思えるのに・・・まぁ、別にいいや、と私は開き直った。
「相手からファックスが送られてくるのだけど
相手の声が聞こえないのよ」
その言葉は、正確には覚えていないけれど、たぶん、そんな感じだったと思う。
それにしても、いきなりこんなことを言われても、私にはさっぱり意味がわからない。
送られてくるファックスから相手の声が聞こえることはないし、
それではファックスの意味がないし・・・。
「そういう時、どこのボタンを押せばいいの?」
どこを、と聞かれてもとても困ってしまう。
どこを押しても、紙から声が出てくることはないのだ。
確かにそうなると、すごく便利だと思うけれど、今はそれが問題じゃない。
何だろう?それとも何か別の機能のことでも言っているのだろうか?
いろいろと考えられることを聞いてみたけど、まるで話がかみ合わず
まるでおばさんは、その状況を楽しむかのように、何度も同じ話を繰返している。
それが私にしてみれば激しく時間を無駄にしているようで、とてもイラついてしまった。
価格チェック、発注、カタログの手配、商品入荷チェック
今週の企画の立ち上げと新型見本の陳列と・・・
やるべき仕事は目の前に、掃いて捨てるほどたくさんあるのに
このわけのわからないおばさん(と言っては失礼だけど)のおかげで何も出来ない。
ストレスの溜まる仕事だとつくづく思う。
まぁ、仕方ない。
こんな時は、こんなものだとあきらめるに限る。
ここはひとつ、クールに行こう。
で、好きなだけ、そのおばさんに話しをさせた。
そして、私はまるで漫才師の相方のように、うんうん、とうなずいてばかりいた。
何度も同じことを話す人は、きっと相手にちゃんと伝えたいだけなのだ。
軽く相槌を打てば、やがて、繰返さなくなる。
ここは聞き上手に徹しよう。
・・・で、助かったことに成果はあった。
結局、おばさんの言いたかったことは、要約するとこうだった。
”この店でファックス機能付きの電話機を買ったのだけど
電話が鳴って受話器を取っても何も言わない時があって
でも、友達から電話がかかった時はちゃんと声は聞こえる”
というものだった。
(この説明が”相手からファックスが送られてくるのだけど
相手から声が聞こえない”になったようだ。・・・・なんだかとても疲れる。)
相手の声が聞こえない時って、ファックス受信の時かな?
と思ったけどどうも、そうでもないらしい。
「もしかしたら・・・無言電話・・・かなぁ?」
と私はさりげなく言ってみた。(言うまでもなく誰もが思いつくことだけど。)
「あら、そうなの!」とおばさんはビックリしながら言った。
(そのおばさんの驚きに、こっちのほうが驚いてしまった。)
「変な人がいるものよねぇ」とも言っていた。
おばさんもどうかと思うけど・・・まぁいいや。
結局、おばさんは、「そうかそうか、また電話機を買い直さなきゃね」と
これまたまったく意味のない事を言って帰っていった。
最後まで変な・・いや、面白いおばさんだった。
ワケわかんないけど・・・。
(やれやれ。)
・・・・・・・
一応、その後、サービスマンが見に行ったのだけど
やはり異常はなかったようです。
無言電話はいろんな意味で止めてほしいっ!
と心から願う私です。
2002/11/27 0:46:09
2002/11/21(木) ワープロとベータデッキ。

ワープロを、どれだけの人達がまだ使っているのだろう?
店頭からワープロが姿を消してから、どれだけの歳月が流れたのだろう・・・
・・・なんてことを、しみじみと思わせる出来事があった。
そのご老人(といっても60代後半くらいかな?)が私に尋ねてきた。
「インクリボンはあるかな?」
「はい、インクカートリッヂでしたらあちらに・・・」
「違う!わしが聞いているのはインクリボンじゃ!」
「え?インクリボン・・・あぁ、失礼しました。ワープロ用のリボンですね。
でしたらこちらに・・・」という感じで私はご案内をした。
最近、インクリボンなんてほとんど売れないから
インク・・・と言われると”カートリッヂ”という感じで忍者の合言葉のごとく
パソコンプリンター用の方を条件反射的に思ってしまうので困ったものだ。
あぁ、失敗失敗、思い込みって本当に恐い。
一応うちの売場にも、EやEWタイプといったポピュラーなワープロ用インクリボンは
置いていあるのだけど・・・そのご老人のリボンは、少々特殊なタイプだった。
それで私が、「申し訳ございませんが、こちらのタイプは
もう、売場に置いておりませんのでお取り寄せになるのですが・・・」
と丁重にお詫びをしたのだけど、そのご老人は・・・
「どうしてないんじゃ!お前の店で買ったんだぞ!
なぜないんだ!置いてないとおかしいじゃないか!」と
急に顔を真っ赤にして、怒り出したのだった。
確かにそのご老人のおっしゃる通りなんだけど
ワープロの生産がすでに打ち切られた中、ワープロ用インクリボンも
うちの売場ではもう、来年からは扱わない方向ですらあるのに
今はもう、ワープロからパソコンに変わってしまったという現状を
そのご老人は、よくご理解でないようすだった。
でも、もちろん、そんなこと言ったとしても、ただのいい訳にしか聞こえないだろうし
私はただ、この現状をお詫びするしかなくて・・・これはとても難しいところだ。
ちなみに、「いつ頃買われたのですか?」と尋ねたところ
「10年以上前じゃ!」ということだった。
”10年以上前じゃ!”と元気よく言い切られても困るというものだ。
よくぞそこまで壊れずに・・・と逆に拍手を送ってあげたい気持になる。(パチパチ)
それで結局、取り寄せる事になった。
メーカーに確認したら、メーカーさんもビックリしていたけど
まだ、何とか在庫は残ってると言うことだった。
ご老人も、なんとか私の申し訳なさが通じたのか、それとも
一応、やんわりとワープロのこんな現状を説明したのがよかったのか
急に腰が低くなって・・・
「えへへ、スミマセンねェ」と愛想笑いをするようになり
逆になんだかとても無気味に思えた。
まぁ、それはいいにしても、ご老人は、私に一礼すると
「それではお願いします。」とさっきとは別人じゃないか?と
思わず思ってしまいそうな(変な日本語だ)感じで帰って行った。
これは推測だけど、ご老人の書斎にあるホコリの積もったワープロを見て
”久しぶりにワープロで年賀状を作るか。”と思ったんじゃないかと思う。
時代は確実に変わって行っているんだけど
ご老人の中じゃ、なにも変わっていなくて
”わしの知らぬうちに勝手に変わるんじゃねェ!”という思いなのだろう。
やれやれ。
・・・・
そういえば先日も、こんな事を聞かれるお客様がいらっしゃった。
それは50代くらいの男性の方だった。
「ベータデッキありますか?」
ベータデッキ・・・なんて懐かしい響きなのだろう。
なんだかまるで、本棚の奥のほうから偶然に古い写真を見つけたような気分だ。
もちろん、うちの売場にはベータのビデオデッキなんてものは置いていない。
(確かソニーも最近生産を打ち切ったんじゃないのかな?)
時代はDVDですよ・・・とにこやかに笑顔で答えたのだけれども
「じゃ、うちにあるベータテープ100本はどうなるの?」と聞かれて
私は唖然としてしまった。
もちろん・・・どうにもならない。
思わず涙目になってしまいそうだった。
それで、いつ頃買われたのですか?と何の気なしに尋ねたところ
「そうだなぁ、あれは10年以上前だったかなぁ・・・」という事だった。
最近、10年以上前が流行っているようだ。
みなさん、商品を大切に扱っていらっしゃるのでしょうね。
でも、時代はどんどん、そんな人達を置き去りにしてしまうんだよね。
ワープロにベータデッキ・・・
そんなふうにしみじみと思っていたら、さっきのワープロのインクリボンの
ご老人が、また血相を変えて、私のところにやって来た。
「おいおい、ちょっと遠かったが、さっき○○店(超大型量販店)に行ったら
ちゃんとわしのインクリボンが置いてあったぞぉ。どうなってるんじゃ?
お前のところの品揃えが悪いだけじゃないか!」
・・・あのう、お客さん、店の規模が違いすぎます!って
訴えたくなったけど・・・やめた。
(○○店さん、まだあれが置いてあるなんて凄すぎますよ!)
きっとうちの店が悪いのだ!わっはっはだ!ちきしょうーめ!
・・・って思わず投げやりになってしまったけど
そのご老人は、実は本気で怒っていたというわけじゃなく
本当のところは、私をからかいたいだけなのだった。
「お前も頑張れよ!」と手を振る茶目っ気たっぷりのおじいさん。
「そろそろパソコンにされたらどうですか?」と
私がちょっと皮肉を込めて言ったら
「もう、先が短いからいらん!」って言ってた。
私はまだまだ
長いような気がするのだけど・・・・・・・・・・・・・・・・・・。(^_^)
2002/11/21 23:37:24
2002/11/19(火) 商品欠陥というクレーム。

なぜだかわからないけれど
また、ドーンと鬱な気分が私を襲っている。
どうしてなんだろう・・・。
自分の顔を、ふと、鏡で見たら、すんごい怒った顔している。
どうりでパートさんやアルバイト達が、私を避けているワケだ。
申し訳ないと思いつつも、気分はどうにも鬱なまま・・・
あぁ、ワケもわからずイライラする・・・。
そんな中、具合よくクレームの電話がかかる。(うぅ、)
「新聞で見たが、とんでもないものを売ってくれたな!どうしてくれる!」
いきなりこれだ・・・一瞬私は、なんのことかわからなかった。
だいたい、その言葉だけで、何がどうわかるというんだ?
クレームのお客様って、どうしても怒りの感情だけが先走ってしまい
その話の内容も、”相手にわかるように説明する。”という肝心なものが
スコーンと欠落している為、店員にとっては泣きたくなる思いなのだ。
だって、怒っている人に「何のことですか?」
なんて口が裂けても聞けない訳で・・・。
それでも、申し訳ないという気持をワケもわからないままに言葉に込めつつも
ほとんどの場合、故障か何かのクレームと思われるから
「ご迷惑をお掛けします・・・それで今、どのような状態なのでしょうか?」と
微妙なところで曖昧に聞きながらも(これが実に難しいのだけど)
さりげなくやんわりとその具体的な情報を私は探った。
そう言えば・・・私はハッと思いつくことがあった。
それは先日、店のメールにて、あるメーカーのある商品の重大な欠陥がわかり
新聞掲載にて告知になったというものがあった。
どうやらお客様の話の内容を聞いていても、その該当商品をお持ちの様子だった。
あぁ、メールをちゃんとチェックしていて本当に助かったぁ!・・・じゃなかった!
まだ助かっちゃいないんだった!
今、お客様は、猛烈に怒っていらっしゃるのだ。
それにしても、どうしてここまで怒っていらっしゃるのだろう?
お客様の怒鳴り声をどこか遠くに聞きながらも、私はぼんやりと思っていた。
確かにその気持はわからないわけでもないけれど、欠陥がわかったにしても
今回の場合、それがすぐにどうこうなるものじゃないし
症状も稀に起きる事だし、新聞に掲載されているメーカーのフリーダイヤルに電話すれば
無償で部品交換する事になっているし・・・。
(面倒といえば、確かに面倒であるけれど)
しかし、このお客様は、店にクレームを言っている。
もちろん、販売した責任はある。でも今回の件は・・・
それで私は「お客様、誠に恐れ入りますが
メーカーのフリーダイヤルがございますので・・・」
と言ったのだけど、その言葉が、どうやらお客様にとっては責任転嫁というか
他人任せに聞こえたようで、余計に火に油を注いでしまったようだった。
もう少し言葉を選ぶべきだったと反省をする・・・。
でも、店で部品交換できないし、この場合は、メーカー対応になるし・・・
今回ばかりは店ではどうしようもないのだった。
”誠意を見せろ!”と言われてもとても困る。
この場合、”お金を要求している”という意味にも取れるのだ。
(金を出せ!では脅迫罪になるから、プロと言われる人はこう言う言葉を使う。)
こう言う場合は、ただ、心からお詫びをするしかない。
お金で解決しようなどと、決して思ってはいけない。
それをしてしまうと、それだけで、終わらなくなる。
まぁ、今回のこのお客様は、お金と言うよりも、とても短気なのか
本当にただ、怒っていてどうにも我慢できなくて・・・という感じだった。
結局、こちらのお客様の怒りは、収まらないまま、メーカーの責任者から
電話させることにした。
こちらとしては、いろんな意味で立場が弱いので、何を言われても
ただ、頭を下げるしか術を知らないから虚しくなる。
ココでは書かないけれど、そのお客さんの最後の捨てゼリフはやはり
心に突き刺さるものがあった。
わかっていても、この心は、またまたドーンと暗澹たるものになる・・・。
最近、なぜか家電メーカーの商品欠陥が多発している。
案外みなさんは、気付いていらっしゃらないかもしれないけど
家電の場合は、食品みたいに、直接口に入れるものではないから
大きな問題になる事は少ないからなのだろう。
でも、お客様の信用問題になる事は同じだし、多大な迷惑もかけるし
店にとっては(もちろん、メーカー自身も)即、クレームの原因になる。
あってはならないことには違いない。
過去にもこのような商品欠陥のクレームは、何度も経験している。
(欠陥だから当たり前といえば、当たり前だけど・・・)
その故障原因が命に関るものは、もちろん話は別にしても
中には「これぞチャンス!」とばかりにクレームを店に言いに来る人もいらっしゃる。
目的は、ズバリお金ということか・・・。
新人のアルバイトなんかだと、恐くてつい、返金してしまう。
(今じゃ、そんなことはない。)
後々よく調べて見ると、該当商品でもなんでもなく
ただの壊れた古い電化製品だったりする。
いろんな人がいるものだとつくづく思ったりする。(というかあきれた気持だ。)
この頃の家電製品は、どんどんと価格は下落する一方で
海外生産は、もう当たり前になってしまった。
そんな中、その見えないところではコスト削減の為
どこか無理が生じているのだろうか?
もう、安いものはいらないから、その代わりちょっとは高くても
しっかりとした商品を、長く使える商品を・・・家電が消耗品化しないように
地球のために、すぐにゴミにならないような商品を作っていただきたいと
切にメーカーにお願いしたい。
そういえば、今、ふと思ったのだけど、”愛着”・・・という言葉が
この頃どこか希薄になってしまったように感じる。
同じものを大切に長く使う・・・というものが、私の身の回りを見ても実に少ない。
携帯電話も、新型が出れば、即、機種変更。
便利な世の中になったけれど、失った物は目に見えなくて
誰もがつい、忘れてしまう。
だからせめて、今日のクレームのお客さんが、実はその商品にとても愛着があって
”ずっと大切に使ってきたのに、これからもずっと使いたいのに
これは何てことだ!けしからん!”
てな具合で今回の商品欠陥の告知の新聞を見て思ったのであれば
まだ、私は救われるような思いがするけれど・・・・
でもたぶん、違うのだろうなぁ。
そう思う自分もなんか、悲しい。
あぁ、また、ドーンとしたイヤな気持が押し寄せてくる・・・。
2002/11/20 1:11:04
2002/11/17(日) 現実と夢の狭間で・・・。

仕事を辞めた・・・・というとてもリアルな夢を見た。
確かに今の私は、自分にウソをつくワケでもないけれど
そんな暗い気持はあるにしても、夢に見るほど最悪ではないと思っている。
それどころか、最悪な売上のために、いくら時間があっても足りないくらい
やるべきことがたくさんあって、いつも頭は1週間先のことまでいっぱいになっている。
なのに、どうしてなんだろう・・・。
私は夢の中で、辞表を片手に店長の目の前に差し出していた。
本当にあれは私なのだろうか?と思うくらい、なんのためらいもなく躊躇もなく
まるで洗礼されたもののように・・・でも、心の中ではまだ迷いがあった。
ひき止められるかな・・・
そんなかすかな甘い気持が、まだ、心の中にあった。
まだ、間に合うのかな?まだ、思い止まれるのかな?と・・・
でも、そんなものは、海辺に作られた砂山のように、容易く打ち砕かれた。
店長は実に事務的に
「ココとココに印鑑と、それと名前を記入して・・・」という感じで
まるでそれは、私のその受付けが、今日はすでに56番目であり
まだあとに長く続いているかのような・・・
そんなふうに、そこには個人に向けられた心というものは
何ひとつ存在してなくて、私にとっては、人生の一大事であるはずなのに
店長にとっては、私はその他大勢のひとりでしかなくて・・・
「なんだ、私って、それくらいの価値しかなかったんだ。」と
実にさっぱりとした気持で私は思っていた。
そう思うと、”これでよかったんだ。”と素直に思える情けない自分がいた。
「はい、これでおしまい。お疲れさん」といった調子で
店長の業務的な笑顔ですべてが終わった。
私の辞職は実にあっけない幕切れだった。
私は縛られた何かから解放され、それを望んでいたはずなのに
なぜか、親からはぐれた迷子のように、見えない不安は消える事はなかった。
場面がなぜか見なれた売場に変わっていた。
みんなが、実に忙しそうに仕事をしていた。
私は誰にも声をかけられなかった。
私はすでに、そこでは部外者になっていたのだった。
ふと見ると、あまりの出来事にビックリしてしまった。
これまでに、私が出会ってきたアルバイト達や仕事仲間達が
それぞれの売場で商品を運んだり接客をしていたりしていて
中には汗を流しながら、重たい冷蔵庫を陳列しているヤツもいた。
思わず手伝おうと思ったが、そいつに”いらっしゃいませ”と私は言われてしまった。
哀しくなった・・・私はもう、何も出来ない。
気付けば、売場を歩いているお客さんも、かつてのクレームのお客さんや
親しくしてもらった懐かしいお客さんばかりだった。
なんということだろう・・・。
まだ、私が若かった頃、本気で言い争ったフリーターのあいつ。
映画を作りたいなんて言っていた・・・夢はもう、叶ったのだろうか?
接客が嫌で、仕事の途中で逃げ出してしまったアルバイトの彼。
それを私が追いかけて、とうとう家にまでたどり着いたこともあった。
いつも自分に自信がなくて、泣いてばかりいたレジの女の子。
その度に、私が彼女に”大丈夫だよ”と勇気を与え続けたけれど
結局、つまらないひとつのクレームがきっかけで辞めてしまった。
あの子も今頃はもう結婚をして、旦那さんに守られているのかなぁ・・・。
同期で入社したあいつ。
まだ、若すぎて現実も知らずに互いに夢を語り合っていた。
結局、あいつが先に日の当たる場所に出て
そして、あいつが先に辞めてしまった。
今はどんな夢を追いかけているのだろう・・・。
・・・そんなあふれそうな思いが、私の中で駆け巡った。
これは夢だから、それに理由は何もないにしても
人は死ぬ前に、それまでの人生を走馬灯のように見るという。
それが、仕事を辞める時でさえも
こんなふうに同じ現象が起きるとでも言うのだろうか?
私は毎日の仕事の中で、”仕事”というものをしていると
どこか自分の人生とは”別なもの”としてみているような気がして
確かに今は、こんなことをしているけれど、本当の私はこんなのではなくて
いつか、もっと日の当たる場所で・・・
みたいな感じをどこか心に抱えていて・・・。
でも、本当はそうじゃない。
ありふれた日常の中の、日々の仕事でさえも
私達は自分の大切な人生を歩んでいる。
私の今のこの想いは、うまく言葉に出来ないけれど、私達は仕事をしていながらも
実は、その中の本当に大切なものの存在を見逃しているのではないかと・・・
夢を叶えられる人は、ほんの一握りしかいない。
ほとんどの人達が、どこか心にため息をつきながら、日々の仕事や日常に
いつも小さな愚痴をこぼしている。
でも、悲観的になる事はないのかもしれない。
私達は人と人との繋がりの中を
こうして生きていることを忘れさえしなければ・・・
本当に大切なものは、たぶん、そんな中にある。
”今、がなくて、どうして未来があるというのだろう。”
そんなふうに、思う私がいた。
この世の中は、未来が何も見えなくなって
確かに不安で逃げ出したくもなるけれど
私もそんな中にいて、潜在的に、こんな夢を見たのかもしれない。
未来が見えないからこそ、もっと、”今を生きよう”と私は思う。
未来は”今”がなければ、きっと何もはじまらないんだ。
・・・・・・
やがて目が覚めた私は、それが夢とわかるまで
しばらくの間、ぼんやりと、そんな事を考えていた。
朝の日差しがあたたかくて
そのやわらかな光りの粒子さえ見えるような気がした。
夢だったんだ・・・と思ったとき
まだ、その夢の切れ端が、目覚めた朝の中にいつまでも残っていて
なかなか信じられないでいた私は、それでも何か救われたような気がして・・・。
朝のまどろみの中、現実と夢の狭間で
ただ、単純に”今”の幸せを私は感じていた・・・。
2002/11/17 22:10:57
2002/11/07(木) ハロゲンヒーターと子供のケンカと。

今、ハロゲンヒーターが飛ぶように売れています。
ハロゲンヒーターって?と思われた方には、あの扇風機の形をした暖房機・・・
と言えば、”あぁ、あれね、”ってすぐにわかることでしょう。
テレビでもう、お馴染みですものね。
これって意外と(と言えば失礼かもしれないけど)暖かいのです。
スイッチを入れればすぐに暖かくなるし、音も出ないし風も出ないし
おまけに空気も汚さないし・・
安全・快適と言う点では、これほど優れものはないでしょうね。
その点では、特にお年寄りの方とかには、おすすめですね。
なんと言っても操作は簡単です。それにとても安い。
こんなに売れないご時世に、ヒットする理由がよくわかります。
ただ、”6畳くらいだったら大丈夫ですか?”ってよくお客様から聞かれるのですが
いえいえそこまでは・・・って感じですね。部屋暖房はやはりちょっと無理があります。
今はまだ、それだけで、部屋が暖かくなるかもしれませんが
本格的な冬になるとまずダメでしょうね。
だいたいそれで部屋まで暖房できれば、ファンヒーターはいらなくなるしね。
あくまでそれは個人の暖房器具として・・・
それこそ、扇風機の感覚で使われるのがベストになるのでしょうね。
(そう言えば、”温風じゃないんですか?”って勘違いされている人が多いみたいですが
ほとんどの場合、これは熱を反射板で放出しているので、じんわり熱が届くのです。)
ただ、このハロゲンヒーターはいいことばかりのように聞こえますが
ひとつだけ難があるとすれば、シーズンオフの時、本体がほとんどの場合
分解できないので(扇風機ならコンパクトになるけど)
収納には場所を取ってしまいそうです。
(低価格の割に、箱はものすごく大きいのです。)
売れに売れているこのハロゲンヒーター。
すでに市場では品不足になっているようです。
特に大型タイプは、品薄状態なので、大型量販店などでは
まだ、手に入るかもしれませんが・・・。
このハロゲンヒーターをいかに在庫を確保出来ているかで
その店の仕入の力量がよくわかります。
ちなみに・・・
うちの店ではずっと品切れのままです。(小型が少し残っているだけ。)
予約で受付けていますが、次回の入荷のめどがたっていません。
思わず”うちの店は大丈夫なんだろうか・・・”と
秋の空を遠く見つめてしまいそうです。
やれやれ・・・。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
さて、今日は半日、クレーム処理で時間を取られてしまい
なんだか身も心も疲れ果ててしまった。
それはどうでもいい(と言ってはいけないのだろうけど)クレームに思えた。
ココで詳しく書けないのが、本当にやるせなくて仕方がないのだけど・・・。
アルバイトのA君とお客さんが、じっとにらみ合い、なにかもめていることを
パートさんが私に教えてくれたので、私がその場に行ってみたら・・・
すでにそれはもうどうしようもない、クレーム状態になっていた。
変なたとえになるけれど、まるでそれは子供同士のケンカみたいに見えた。
まぁ、はっきり言えば、それはどちらも悪いことで、どちらもお互いの間違いを
素直に認めようとしないから、”言った言わない”などという
終わりない世界になっていたわけで・・・。
どちらにしても、A君のお客さんに対する態度は、それにどんな理由があるにしても
やはり、どこか間違っていたことに違いないので、それは私が素直にお詫びをした。
なんとかそれで、お客様は納得してもらえたのだけれど、そのお客様の
”ほら見ろ、俺が正しかっただろう?”みたいな態度には、私もちょっとムッとくるものがあった。
私がお詫びをしたのは、別にそのお客様の言い分を、認めたわけではなかったのに
確かにこちらにも間違いがあるにしても、その間違いは、もともとはそのお客さんの
間違いによるものがほとんどで、すべてA君が間違っていた訳じゃなかった。
結局、お客様は何か勘違をしたままで、満足そうに帰って行かれた。
とりあえず、大事にならずに済んだのだから、それでいいかと思ったけれど
そうもいかず、今度は納得のいかないA君に、私が説得しなければならなかった。
何が悪くてどんな態度がいけなかったのかを、私なりに分析をして、話をしたけれど・・・。
たぶん、A君はわかってはくれなかったのだろうなぁ。
あの頑固さには、いつも参ってしまうのだけど
まぁ、それが彼の悪いところであり、また、いいところであることを
私はちゃんと知っているので、なかなか彼のそんなところが
憎めなくてちょっと悔しい。
”君は間違ってなんかいないさ・・”なんて言葉は
ココにだけそっと、書いておくよ。
まぁ、また明日になれば、
きっと彼のことだから、昨日のことなんかすっかり忘れて
”おはようございます!”なんて言葉を、あの笑顔で言うのだろうな・・・
2002/11/07 23:40:31
2002/11/03(日) お見合い話?

とっても急いでいらっしゃるお客様がいらっしゃった。
レジカウンターで書類に目を通していた私の目の前に
突然にやって来てこう言ったのだった。
「ちょっとお兄さん、あれちょうだい!」
いきなりだったので、とてもビックリしてしまった。
まるで大音量の目覚まし時計にでも、起こされてしまったような気分だった。
そのお客さんはいかにも世話好きと言うか、とてもきびきびとしたおばさんで
大きなメガネと和服がとてもよく似合う・・・例えたらちょうど・・・
えーと、今、その有名人の名前が思い浮ばないんだけど・・・
和泉さんでしたっけ?日本舞踊か何かの?
(ごめんなさい、全然そういうの知らなくて・・)
で、そのお母さんが最近よくテレビに出演されてますよね?
その方にとてもよく似ていらっしゃいました。(わかるかなぁ?これで。)
それで、その人が指差したものは石油ストーブでした。
急に寒くなったものだから、今日も暖房機がよく売れていました。
その方は、去年使っていたストーブが故障してしまったらしく
それで買いに来られたようです。
「悪いけどお兄さん、私今からすぐに、○○街まで行かないとダメなの!
だから早くしてちょうだい!」なんて大声で言ってる。
そのおばさんは、超ハードスケジュールのようでした。
(まさかそのご本人だったりして・・・んなことないか。)
「はい、わかりました!」と私は何がなんだかわからないままに急かされ
その石油ストーブのお勘定をしたのだった。
それで、私は少し、心配になっていました。
お客さんは「持ち帰る!」っておっしゃっているけど、結構重たいストーブだった。
そのおばさんの太い・・・いや、とりあえず細い腕じゃ、とても無理に思えた。
それで私が「よろしかったら駐車場までお持ちしましょうか?」って言ったのです。
すると「うわぁ、助かるわぁ〜お兄さんって男前ヤねぇ〜」と
なんだかわけのわからないような喜び方をされたのでした。
・・・ま、それは別にいいんだけど、問題はそのあとだった。
そのお客さんのストーブを私が運びながらお客さんと一緒になって
駐車場まで歩いていると、急に神妙な面持ちになって
そのおばさんが、私にこう言ったのです。
「あのう、お兄さん(私のこと)はもう、結婚してるの?」
”なんだぁ?”と思った。
接客していて、こんな質問なんてほとんど・・・
いや、絶対に聞かれることなんてない。
だいたいそう聞く理由なんてないし・・・まさか、このおばさん、私のことが・・・
と最悪な事態が、まるでマンガのふきだしのように頭に浮かんで
思わず私はそれをぐちゃぐちゃにかき消した。
いやいや、そんなのゴメンだ。
ということで、私は自信を持って胸を張るようにして
「はい、結婚してます!」とはっきりと答えた。
私にはすでに、妻も子供もいるのだ。
それで、そのおばさんはとても残念そうに
こう、私に言ったのでした。
「あらそうなの。それは残念ねぇ・・・
実は私ね、今、お見合いの話を頼まれてしまっていてねぇ
いい人、探してるんだけど・・・それが相手はねぇ
大金持ちのとてもきれいなお嬢さんでねぇ・・・・」
うーん、なんというかそのう・・・ちょびっとだけ
心が・・いや、そうじゃなくて・・・
・・・スマン!(って誰に謝ってるんだ?)
2002/11/04 0:35:13
2002/11/02(土) もっと売場に愛を!

土曜日は、接客中心に考えているので、作業はしないように
心がけているのですが、ふと、空気清浄機の売場を見たら
商品がホコリだらけでした・・・。
お部屋の空気の汚れを取り除く商品なのに・・・
これじゃ、なんだかシャレにもなりませんよね。
思わず頭を抱えるような思いで、清掃しました。
(もちろん、担当者にも渇!をいれましたよ。)
商品や、売場の汚れをきれいにするって仕事。
案外みんな、したがらないんだよね。
でも、なんとなく、その気持はわからないこともない。
誰かが売場で商品清掃をしていると、きっと他の店員はこう思うんです。
「こんなに私たちは忙しいのに、のん気に商品清掃なんかして・・・」なんてこと。
私達店員の間では、売場のクリーンは”暇な人間がするどうでもいい仕事”という
安易な位置付けが、なんだか暗黙の了解みたいにされてしまっているんです。
(もちろん、すべての店員がって訳じゃないですよ。)
だから、売場や商品が汚れていくんです。
店員は、なんてつまらない意地の張合いをしてんだろう?って
これを読んでる皆さんは、きっと、思うんでしょうね。
そうなんです。実につまらないことなんです。
商品や売場が汚れていたら、誰も買いたいとは思いません。
私は過去の販売データを取り、商品分析をして売数や
粗利益の率でいくら発注したら利益改善するなんてことよりも
”そんな暇があったら売場をきれいにしろ!”ってむしろ私は言っています。
なんだか矛盾することだけど、そのほうがとても大事なんですよね。
売場をきれいにするってことは、その売場や商品を好きになるってことなのです。
つまり、売場に愛着を持つって事がその目的なのです。
売場に愛着を持てば、例えばその売場の商品の品切れが、とても気になって考えるんです。
”どうしたら、品切れしないで済むんだろう?”って・・・。
商品が品切れしてると、なんだか売場に穴があいたように見えて
とても見苦しいんですよね。(これは店員でないとわからないかもしれないけど。)
だから考える。いろいろと工夫しようとする。
そこから本当に売上や利益は改善されてゆくのです。
本当に大事なことは、きれいで買いやすい売場でお客様に楽しく買物をしてもらうこと。
すべては、そこから問題提起するのがよいのではないかと・・・。
ただ、売上を伸ばしたいからだけではその店員の欲がお客さんには
どうしても見えてしまうんですよね。
店員が愛着をもっていない売場では、いくら商品が特売になっていても、
お客様はその売場で”買いたい”と思うことはないのです。
どこかしらけてしまうんです。
店員に愛されてる売場ほど、”どうか私を買ってください!”って
商品が言ってるように見えるんだよね。
だからお客さんは”あぁ、この商品が欲しい!”って思うんだよね。
売上は、貪欲に数字を追いかけるのではなくて
”気付けば売上が伸びていた”って状態がいいのだと思う。
それは悪く言えば、”数値に対して、なんて無計画なんだ・・・”なんてことで
店長にはとても言えないことだけど・・・私はそれが正しいのだと思う。
実に密かに・・・だけどね。
こうして思うと、売場に限らず、今は、実に愛着の薄い世の中になってしまいましたね。
ビデオが壊れたら、ほとんどの場合、修理するよりも新品を買われます。
まぁ、そのほうが商品そのものが安すぎて、修理代とあまり変わらないんですもの。
愛着なんて程遠い。そう思うと・・・とやかく言えない私が悲しくなる。
パソコンもそうですよね。
数年経てば、バージョンップしない限り、ほとんど使い物にならなくなる。
だからすぐに買い換えることになる。そこに愛着なんてものは、ほとんどない。
これから時代が求めているのは、ソフトよりも、実はハードじゃないかと・・・
また密かに思ったりしている。
別にこれはハード(厳しい)の意味じゃないんだけど・・・
どうだろうなぁ?
まぁ、それはさておき
商品や売場に、もっともっと愛を込めよう!
2002/11/03 0:11:10
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