ユニーク・ポジショニング − あなたは自社の「独自性」を見落としている!

ジャック・トラウト、スチーブ・リブキン著、島田 陽介訳
ダイヤモンド社
2001.3発行
本体価格: \2,000

registration: 2001.4.5

 英題は DIFFERENTIATE OR DIE と強烈なものである。著者の言うdifferentiateを訳者は「差別化」と訳さずに、「独自性」と訳している。日本語の「差別化」には、もともと同質化を前提に同質他社と差をつけるといったニュアンスを含むためだ。もともとoriginalityを強調するアメリカにおいてこの本が売れていることは、やはりアメリカの企業においても、日本企業同様の悩みを持っていることに他ならないだろう。

 もちろん、商品を選ぶことが悩みとなったこの時代に独自性を創り出すことは容易ではない。しかも、著者は、新しいイノベーションを起こしてマーケットを手に入れても、一時的なものしかないという。それは、競争相手がじっと指をくわえているわけがないからである。さらに品質向上とカスタマー重視は決め手にならないとも言う。それは競争社会では、競争相手も同じ本を読み、同じ講義を受ける。すなわちサービスのレベルの向上、維持はいまや当然であって、独自性ではないのである。

 そこで、著者のいう独自化の方法が紹介される。

 論理不在こそが、失敗の原因である しかも ユニークな提案は、芸術ではなく科学から生まれる という。戦略策定過程のみならず、その実行においても論理性がないものは失敗する。そこで4つのステップが紹介される。

  1. マーケットの全体像をつかんでから議論せよ
     必要なのは、深く考えることではない。今考えていることを早くハッキリさせることである。重要なのは、自社と競争相手のそれぞれの長所短所が、自社のターゲット顧客に、どのように理解されるか、である。

  2. 独自化の手がかりを見つけよ
     競争相手と自社を区別する何か、を見つけなければならない。その秘訣は商品そのものとは限らないし、カテゴリーを絞り込めば必ずあるはずである。たとえば、売上、業界評価、業界のエキスパートの言葉などがある。

  3. しっかりとした裏づけのあることを主張せよ
     独自性の主張には、確たる裏づけを持つことである。消費者は疑い深い。

  4. わが社の独自性を企業の内外に訴えよ
     社員へ、「この企業を独自な存在にしているものは何か」という問いに対して明らかにすることで、自分が何を根拠に何をやればよいか、わかる。独自化の手段がわかれば、社員の動機付けが始まる。

 「心は複雑さと混乱を嫌う」ものである。したがって、心に入り込むいちばんいい方法は、メッセージを徹底的に単純化することであるという。そして何よりも重要なこととして、トップ自らが独自化戦略の責任を取ることであるという。

 1966年、P.F.ドラッカーはリーダーシップをこう定義した。「効果的なリーダーシップの基本は、組織の使命を考え、その意味をハッキリさせ、ハッキリ目に見えるようにすることである」
 著者は競争に時代のいま、 「効果的なリーダーシップの基本は、組織の独自性について考え、その意味をハッキリさせ、ハッキリ目に見えるようにすることである」が、重要であるという。

 本書では「本当の悩みのタネは、病気ではなく、どの病院を選ぶかだ」という話が出てくる。アメリカにおいて、ヘルスケアはあまりにも複雑になり、また数多くの病院の実績、満足度などを評価するリポート・カードがありすぎ、選択に困るという内容だ。日本においては国や患者者団体などが、医療の情報公開を求める。今後、競争の激化とともに、数多くの情報が公開されることであろう。数多くの情報が公開されたとき、最終的な選択基準となるのは、やはり「独自性」ということになろうか。


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