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上司が「鬼」とならねば、部下は動かず − 強い上司、強い部下を作る、31の黄金律
registration: 2000.11.5 |
上司よ、やさしさを誤解するな、部下に嫌われることを恐れるな、部下は上司の友達ではないのだ! 中間管理者・経営幹部に向けて、強い上司となるための指針を示す。しかも、部下の育成の章で、著者は「難解なるは偽者なり」、難しくてわからないのは、現実に根ざしていない観念的なこと、抽象的なことをいっているのであるという通り、この本自体も単純明快に、しかも単刀直入、遠慮無しに上司たるものの心得を説く。「昔の若いモンはこうでなかった」のではなく、上司が、教育者が、親が変わってしまったことのほうが大きいことに気付かされる。
本書は31の黄金律を次の5部に分けて説明する。
意識改革の入り口は、「よく話し合う」ことではなく、言葉の教育、躾であるという。現在の日本こそ「極楽」という。遊び、趣味、快楽、余暇が仕事より上位にくる国であるからだ。しかし、会社組織においては個人主義的な言動を改めない自己中心的な社員には断固たる措置をとる必要がある。
上司が部下に甘くなる原因として 1)思いやり過剰、2)自分に甘い、3)自由、平等の民主的意識であるという。会社には許してはならないことがある。部下がいやがっても押し通さなければならないことがある。上司は嫌いなものははっきり嫌いといい、反社会の言動は否定し、言うことを聞かない部下は叱りつける。それでも反抗する部下は処罰する。会社の指導者は優しいだけでは務まらない。鋼のごとき強い心が求められている。
社員に礼儀と規律を強制せよ。報告は義務付けよという。優れた指導者は、新しい部門を預かった時、ビジョンや計画の立案の前に、時間を守り、「はい」という返事をし、言われたらすぐ行動する習慣を作り、報告を徹底させることからとりかかるという。
上司の七か条が示される。1)失敗を恐れずその場でただちに決定する、2)常にはっきりと、過不足ない具体的な命令を出す、3)部下の反発を恐れずに、ためらわずに注意する、4)自分の上司の顔色を見て、意見をクルクル変えてはならない、5)規律や職場習慣を、ゆるめてはならない、6)部下が「社長に言ってください」と言ったら、自分が上司として崖っぷちに立っていると覚悟して反撃せよ。
社員教育の目的は、1)基本的な躾と習慣作り、2)思考力、理解力、表現力の養成、3)意識の向上(思想教育)の三点であるという。そこでは、難しいものが高級であるという意識を捨て、わからないものは低級で価値がないという意識が大切である。
現在の日本の失業者は三百万人を超えている。しかし、そのうち九十万人以上は自分の意思でやめた人である。会社が倒産したのではないし、リストラで辞めさせられた人でもない。“不満”で辞めた現実がある。1)帰属意識、2)原価意識、3)商人意識を身に付け、叩かれて、耐え切ったものだけが勝者になることを肝に銘じる必要がある。
今窮地にあるのは強い指導力を発揮できない指導者である。民主的なやさしい指導者に欠けているのは強靭な精神力、たくましい生命力であるという。
医療機関においては、各種資格者の集まりだけに、上司部下の関係は、より複雑である。しかし、組織として考えた時にはこの本で示された一般論と何ら変わるものではないだろう。医療においても、サービス提供者(医療職)と顧客(患者)という関係は、一般企業と同じ構造であるからである。部下にとやかく言う前に上司が筋のとおった信念を持ち合わせることが重要であるとの組織論の本なのである。