| ≪いいことずくめの提案≫
アメリカではがんの死亡率が1994年から確実に減少傾向に転じたが日本では逆にこの30年間で3倍に増えてしまった。 心筋梗塞の年間死亡数も、この30年でアメリカは3分の1も減ったが日本では逆に1・6倍に増えた。
がんと心筋梗塞に対する喫煙のリスクについては明確なデータがあることを考えると、日本人とアメリカ人の健康に大きな差が生じた大きな理由の一つは、両者の喫煙率の差と関係があるというしかない。(心筋梗塞については、アメリカのコレステロール対策もかなりの部分を占めると考える=管理者注)
1970年代に50%を超えていたアメリカ人の成人男性の喫煙率は現在23%まで低下したというのに、日本人の成人男性の喫煙率は46%と先進国の中では突出して高いといわざるをえない。
こう考えると、日本人の喫煙率を低下させなくてはならない。その方法として笹川陽平氏がこの「正論」欄で2回にわたって提唱しているのが、現在300円前後のたばこを1箱1000円に値上げすることである。
たばこを1箱1000円にすることは、国民にとっても国家にとってもいいことずくめで一石六鳥になる。笹川氏は1000円のうち90%を税金にすることを考えているようだが、ここでは現在の63%という税率として話を進めてみたい。
≪重病数も医療費も減る≫
まずたばこの栽培農家とJT(日本たばこ産業)の利益が増える。(JTの利益が増えるのはよしとするものではないが)喫煙者が現在の3分の1以下に減らないかぎり利益は増える。
二つ目は青少年の喫煙率が減少するという効果が期待される。たばこが1箱1000円なら、はじめから吸わない若者が増えることは間違いない。
三つ目は税収が増えることである。笹川氏は9兆5000億円の増収になると試算しているが、ここでは税率を63%とした厚労省の試算によると、喫煙者の6割余が禁煙したとしても、税収は1兆円も増えることになる。
四つ目は喫煙率が下がれば下がるほど、がんや心筋梗塞といった生活習慣病が減ることになり、その結果、医療費を削減することができる。同研究機構は喫煙によって1兆3000億円の医療費が余計に使われていると試算しているが、アメリカのように喫煙率を半分に減らすことができれば、医療費を6500億円も削減することができる。
五つ目は火事が減ることである。笹川氏は、全火災のうちたばこが原因で起きている火災が10・5%もあるので、禁煙は確実に火災予防に対する効果があるのは間違いないと書いている。
≪「先進国」らしい対応を≫
最後は、何よりも多くの国民が健康になることである。がんや心筋梗塞はもちろん慢性閉塞(へいそく)性肺疾患もたばこが原因といわれている。こうしたことを考えると、たばこを1箱1000円にすることは一石六鳥ということになる。
こうしたことを考えるなら、喫煙者もたばこを1000円にすることくらいは受け入れるべきではないだろうか。フィンランドやイギリスではたばこは1箱1000円以上しているし、アメリカでも7〜8ドル(735〜840円)である。このように先進国でたばこが1箱300円などという国はないのが現実である。
アメリカから輸入したたばこをアメリカより安く売っている日本という国は、国民の健康という視点からみると、とても先進国とは思えない。政府も国民の健康、医療費の削減、税収の増加のためにも、笹川氏の1箱1000円への値上げという提言を真剣に検討すべきであ
る。
補足:
欧米先進国では、タバコ税は価格の80%から90%が一般的で、我が国の約60%は低すぎる。価格も、円に換算して800円から1400円であり、我が国の価格は極端に低い。かつての日本もタバコは高価であった。昭和30年代で大学卒の初任給が1〜2万円であったころのタバコは20本入り1箱60〜80円であった。今の給与水準に換算すれば1箱1000円以上に相当する。従って、1箱1000円は決して高くない。未成年者の喫煙防止には、タバコ価格の引き上げが最も効果的であることは先進諸国の経験から証明されている。
日本禁煙学会の「1000円タバコ」を支持する声明
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