怖るべし タバコを吸っても 咳が出ぬ
タバコの煙に含まれるタールは、肺の奥深く侵入してきます。
本来、人間の気道(空気の通り道)は、ごみが入ってくると、激しくせき込むことで、
異物を体から出すように働き、体を守ります。
……最初のタバコを思い出してください。激しく咳込んだでしょう。
それが、いつの間にか、せき込まなくなってしまった。
一人前にタバコを吸うのが、上手になった、なんて思っていたかもね。

気道の表面には、細かい毛がびっしりと生えています。
煙やごみなどの異物が毛に触れると、激しくせき込んでからだから異物を追い出そうとする防衛反応を起こします。
ところが、タバコを吸って、しばらくすると、このせき込みがなくなります。
そのころの気道の細胞を顕微鏡で見ると、この細かい毛がはげ落ちています。
タバコの煙の中の、さまざまな刺激物質によって、毛がはがれ落ちてしまうのです。
こうなると、ごみや煙が入ってきても、せき込むという防衛反応がおこりませんから、
素通りで、肺まで届く、というわけです。
タバコを吸うのが堂に入った、なんてのんきな話ではないのです。
実に恐るべきことなのです。
こうなると、タバコの煙の中の、タールもごみも、肺の奥までフリーパスです。
最初は表面にくっついていたものが時間とともに、細胞のなかに取り込まれ、沈着という
状態になります。
沈着したタールは、長い年月の間に、遺伝子の変異を起こし、肺ガンを作り出してきます。