長崎新聞「健康」欄 2001年7月1日に執筆しました
タイトル:禁煙困難者は支援外来へどうぞ
副題1:ニコチン置換法が有効
副題2:ポジティブ・シンキングも
喫煙者の7割が禁煙願望を持っているにもかかわらず、その多くの方は実際には禁煙に踏みこめないまま過ごしています。これは、ほんの数時間でもたばこが吸えないときの辛さの体験、禁煙は意志の力でしなければならないとの思い込み、失敗したときの自分への評価が下がることへの恐れ、などの理由のために躊躇しているのです。喫煙行動の本質はニコチン依存者がニコチンを補給しているのに過ぎないのであって、そのためにたばこが毒のかたまりと知りつつもやめられないのです。それなのに、「たばこは嗜好品であり、効用もある」と言いわけしたり、「税金を納めている」と反論したり、果ては「自分の健康は自分の責任だ」と居直ったりしています。
私が禁煙支援の外来を始めてちょうど一年になります。禁煙外来では、「禁煙が難しいのは麻薬であるニコチンへの薬物依存症のためで決してあなたの意志が弱いからではない」と、いうことから話を始めます。続いてニコチンの禁断症状(正確には離脱症状)による体調や精神状態の変化、禁煙一年後でも喫煙欲求が起こって来る理由などについて解説します。禁煙をスタートしたときに襲ってくる喫煙欲求に対処する「代償法」や、習慣的な喫煙欲求を避けるための「行動変容法」などについて提案し、その人に最も合った方法を実践してもらいます。また、禁煙を達成し維持するためには「ポジティブ・シンキング」も有効です。つまり禁煙の辛い苦しい面ばかりを考えず、たとえ数日間でも禁煙できたことは素晴らしいことだと捉えたり、禁煙してこんないいことがあったと、積極的に探したりする心の持ち方です。
何と言っても禁煙外来の最大の強みはニコチン・ガムやパッチを使ったニコチン置換法が使えることです。このおかげでニコチンの離脱症状は拍子抜けするほど軽くて済むようになり、禁煙成功率は高くなっています。しかし、ガムやパッチを使いさえすれば何の努力もなしにたばこがやめられるというものではありません。不適切な使用はかえってニコチンへの依存度を増してしまうこともあります。
ニコチン・ガムは、処方箋がなくても薬局で買うことができるように認可されました。今後禁煙補助剤として正しく使用されるためには、医師や歯科医師ばかりでなく、薬局でガムの販売にたずさわる薬剤師、各市町村や職場の保健婦さんや看護婦さんにも禁煙支援者になっていただく体制が必要です。
禁煙外来やニコチン置換法に頼らなくても自分の力だけで禁煙することは可能です。でも、何回も禁煙を試みては挫折したことのあるかたは、楽な禁煙法があることを思い出し、お近くの禁煙外来にご相談下さい。難しいからこそ禁煙に成功した自信は一生の宝物になります。かつては素手で挑んでいた禁煙ですが、今ではニコチン置換法という「武器」と、知識という「技」で立ち向かうことができるのです。いつまでも逃げ回る必要はありません。
これに、インターネットで紹介されている、長崎県内の禁煙外来のリストをつけました。