心脳は 噛み嗅ぎタバコにも 襲われる  禁煙川柳(7)へ戻る

噛みタバコや嗅ぎタバコの使用によって心疾患、脳卒中による死亡率が上昇する可能性

2件のプロスペクティブ(前向き)試験から、噛みタバコまたは嗅ぎタバコの使用によって心疾患および脳卒中による死亡率が上昇する可能性があるという予備的なエビデンスが得られた

Laurie Barclay, MD   Medscape Medical News   監修 Gary D. Vogin, MD

嗅ぎタバコや噛みタバコの現在の使用によって、心疾患および脳卒中による死亡率が上昇する可能性があるという2件のプロスペクティブ(前向き)試験の結果が『Cancer Causes and Control』6月号に掲載されている。

「嗅ぎタバコおよび噛みタバコの使用に関連した健康上のリスクを検討した前向き試験は少ない」と米国対癌協会(ACS、ジョージア州、アトランタ)のS. Jane Henley, MDらは記述している。「約30件の疫学研究で吐きタバコを使用する男性の罹患率または死亡率が検討されている。しかし、そのほとんどは小規模[試験]であり、多くの試験では癌のエンドポイントのみが検討されているにすぎない」

研究者らは、1959年のCancer Prevention Study I(CPS-I)または1982年のCancer Prevention Study II(CPS-II)に参加した男性を対象として、吐きタバコ(嗅ぎタバコまたは噛みタバコ)の使用と死亡率との関連を検討した。ベースライン時には、 CPS-Iの7,745例およびCPS-IIの3,327例が嗅ぎタバコまたは噛みタバコのみを使用すると報告した。種類を問わず、タバコの使用歴がないと答えたのはCPS-Iでは69,662例、CPS-IIでは111,482例であった。12年間(CPS-I)および18年間(CPS-II)の経過観察で、それぞれ11,871例および19,588例の死亡が確認された。研究者らは、Cox比例ハザードモデルを用いて、年齢およびその他の共変量を調整した。

ベースライン時に嗅ぎタバコまたは噛みタバコを現在使用していると答えた男性では、タバコを使用しなかった男性と比べ、CPS-I(ハザード比1.17; 95%信頼区間1.11-1.23)およびCPS-II(ハザード比1.18、95% 信頼区間1.08-1.29)の両研究においてあらゆる原因による死亡率が高かった.

CPS-Iでは、吐きタバコの現在の使用は、冠動脈性心疾患(CHD)、脳卒中および呼吸器、消化器、泌尿生殖器疾患による死亡との統計的に有意な関連が認められたが、癌による死亡との関連はなかった。

CPS-IIでは、吐きタバコの使用はCHD、脳卒中、癌(あらゆる癌を併合)、肺癌、肝硬変による死亡との有意な関連が認められた。しかし、過去の吐きタバコの使用は、どのエンドポイントとも関連がなかった。

心血管系および他の非悪性疾患のエンドポイントとの関連は、計測した共変量について調整した後に低下したが、消失することはなかった。あらゆるエンドポイントについて、試用の頻度または期間のいずれとも明らかな用量-反応効果は認められなかった。

「この2件のプロスペクティブ試験は、噛みタバコまたは嗅ぎタバコの使用によって心疾患および脳卒中による死亡率が上昇する可能性があるという予備的なエビデンスを提供するものである」と著者らは記述している。「批判的疑問として、吐きタバコの現在の使用と心血管系疾患のリスク上昇との関連には因果関係があるのか、それとも単に噛みタバコや嗅ぎタバコを使用する男性の社会経済的状態が低いというような背景因子の交絡を反映しているにすぎないのかという点があげられる」。

この研究の問題点としては、吐きタバコの使用に関する情報はベースライン時にのみ収集され、経過観察時に最新情報が収集されなかったことや、癌の発現率ではなく死亡証明書情報に頼ったことが挙げられる。

「タバコ喫煙の代替として吐きタバコの使用を勧めることは、その有害性が低く、有効性がニコチン置換療法と少なくとも同等であるという説得力のあるエビデンスが得られない限り、不適切であると考える」と著者らは結論している。


参考資料  Cancer Causes Control. 2005;16:347-358