埼玉県立がんセンター呼吸器科 野口行雄氏らの発表

 

喫煙粒子の体内動態と癌の研究

 

これまで、肺がんのうち扁平上皮癌が喫煙と関連が深いとされていたが、腺癌も喫煙が原因で、さらに、直接もしくは間接喫煙が上気道癌、肺癌、消化管癌などの原因であるとの成績を得た。


両切りたばこの場合には粗大粒子が肺門部領域に着床しやすく、扁平上皮癌ができやすい傾向があり、フィルター付きたばこの場合にはフィルターが粗大粒子をカットし、微細粒子が選択的に肺内に吸引されて、腺癌ができやすくなると考えらる。

一方、間接喫煙は経鼻吸引で、粗大粒子が鼻腔内に着床し、フィルター付きたばこの場合と同様に微細粒子が選択されて肺内に吸引され、腺癌ができやすくなると考えられる。
同科における198597年の肺癌症例や、米メイヨークリニックにおける両切りたばこの時代とフィルター付きたばこの時代の肺癌症例の男女別組織型分類を検討した結果、両切りたばこの時代は男子では扁平上皮癌が最も多くを占め、フィルター付きたばこの時代は男子では腺癌の割合が増加していた。
女子の場合には、いずれの時代でも腺癌の割合が最も多くを占めていた。
「女子の深く吸い込まない喫煙は口内着床量が増え、嚥下量の増加が見込まれる。その結果、消化管癌、特に胃癌にその影響が顕著に現れるのではないか。近年、男子で胃癌と肺癌の死亡数が逆図転したのはフィルター付きたばこが流行し、嚥下粒子量が減少したためであろう」と推測している。

消化管癌の頻度は喫煙粒子の曝露濃度に比例し、通過速度に反比例すると考え、その曝露濃度をアンピシリンの濃度測定データを元に推定した。そして、患者数と曝露指数(曝露濃度÷通過速度)との間の相関を見ると、男女ともに有意な相関を認めました。
以上の結果から、「癌の主たる原因は、直接喫煙もしくは間接喫煙、すなわち、一元論である」と主張。喫煙粒子中に含まれる発癌物質としては、ベンツピレンなどを含む植物タールが注目されている。

喫煙による癌の罹患率について「肺癌になる確率は男子喫煙者の約8%、女子喫煙者の約4%であり、肺癌を含めどこかの癌になる確率は男子喫煙者の約40%、女子喫煙者の約67%と考えられる。夫が喫煙者で妻が非喫煙者の場合、妻が癌になる確率は約67%はあるのではないかと推測される」としている。

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