1974年解説

傷だらけの天使

日本テレビ 脚本:柴英三郎他 演出:恩地日出夫他
        出演:萩原健一、水谷豊、岸田今日子、岸田森

 探偵事務所につとめる小暮修(萩原健一)と乾亨(水谷豊)の二人の青春を描くピカレスクドラマ。

 小暮修のキャラクター設定と萩原健一の演技が見事で、幼いときに両親に死に別れ、貧しく虐げられて育ったため臆病がが向こう意気が強く見栄っ張り。
 貴子(岸田今日子)の探偵事務所でいいように使われながら、自分なりの正義感でやっつけるべき相手を助けたり、黒幕の愛人とおかしな仲になったりいつも脱線している。
 弟分の乾亨(水谷豊)は修が要領よく立ち回るのに対して、お人好しで損ばかりしているが、修とは金と愛に飢え虚勢を張って生きる二人であるため唯一心を許す相手である。

 恩地日出夫、工藤栄一、深作欣二、神代辰巳といった映画のビックネームを演出に投入。

 しかし視聴率的には裸、セックス、ホモ風などきわどいシーンに視聴者が拒絶反応を起こし苦戦、後半は人情路線に変更となった



寺内貫太郎一家

TBS 脚本:向田邦子 演出:久世光彦
    出演:小林亜星、加藤治子、梶芽衣子、西条秀樹、悠木千帆(現・樹木希林)、浅田美代子、藤竜也

 女性主体が多いホームドラマの中で石屋の頑固おやじ貫太郎を中心にすえ、かつ家族の心情を深く掘り下げるのとバラエティ的コメディの二面性を持つ不思議なホームドラマ。

  心情面では、長女・静江(梶芽衣子)は仕事場で遊んでいての事故で片足が不自由なことに貫太郎が責任を感じていることが大きく、静江が結婚相手として38歳の子連れ男・上条(藤竜也)をつれてきたため波紋を広げる、という古いタイプの父親像を得意とする向田脚本。

 コメディ面は「ジュリ〜」が有名ないじわるだけど憎めないきん(悠木千帆)を中心にギャグをちりばめ、時には生ドラマなど構成面も凝る奇才・久世演出。

 最後に心情とコメディがぶつかりあうのが、長男・周平と貫太郎のカッとしやすい似たもの親子によるセットも壊す大ケンカ。

 貫太郎のキャスティングは若山富三郎や高木ブーが候補にあがる中、久世Dの推した小林亜星。実体は長髪に現代的なファッションで、向田邦子はじめスタッフは反対したけど、丸坊主にして半纏をきせるとみんな納得。


6羽のカモメ

フジテレビ 原案:倉本聰 脚本:石川俊子 演出:富永卓二
        出演:淡島千景、加東大介、長門裕之、高橋英樹、夏純子、栗田ひろみ

 団員の大量脱退から300人から6人に減ってしまった劇団かもめ座に残った役者バカでお人好しのメンバーが芸能社会で生きてゆくのに四苦八苦する姿を描く「悲しいコメディ」(キャッチコピー)

 視聴率は7%だったが、盛り上がったのはテレビ業界筋。団員の売り込みを通じて、芸能界の裏側を知っていればモデルがわかるほどリアルに描いたため。



不況と量産で制作体制にひずみ

 オイルショックによる不況でテレビ局の収入が減少、その一方73、74年頃8〜11時のゴールデンアワーでドラマが約半分をしめる量産体制を強いられたため、制作現場では無理がかかる。

 それに対応するため、民放局は制作の外注化をすすめ、特にTBSはいちはやく木下恵介プロ、テレパック、テレビマンユニオン大映テレビ等、優秀な制作会社との関係を強めることで優位に立ち「ドラマのTBS」の基盤を固める。
 一方すべて自社制作のNHKは「勝海舟」問題をおこし混乱する。



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