1970年解説

ありがとう

TBS 制作:石井ふく子 脚本:平岩弓枝 演出:川俣公明
    出演:水前寺清子、山岡久乃、石坂浩二

 東京下町の人情を母子家庭の日常を中心に明るく描くホームドラマの王道的作品。
 人気演歌歌手だった水前寺清子を石井Pが、その庶民的なキャラクターにひかれトイレで出演交渉したことは有名。
 母親役の山岡久乃とのポンポンとしたやりとりはケンカしても下品にならず、平岩脚本のセリフのうまさとも相まって絶妙。当時の二枚目スター・石坂浩二との組み合わせも人気に。
 職業ドラマの要素も強く、1作目は婦人警官、第2作(1972)は看護婦、第3作(1973)では魚屋に。
 第2作の最高視聴率56.3%は視聴率がオンライン化する以前としては、民放ドラマの記録。
 第4作では水前寺清子がドラマのイメージが強くなると演歌歌手としての活動に影響が出てくるため降板、佐良直美・京塚昌子母娘と山岡久乃・井上順母子の組み合わせとなるが、視聴率が落ちシリーズは終了。



時間ですよ

TBS 脚本:向田邦子ほか 演出:久世光彦
    出演:森光子、船越英二、松山英太郎、大空眞弓

 正当派の石井ホームドラマに対して、バラエティ的演出でみせる久世ホームドラマの先駆。職業ものが流行の中でも、銭湯が舞台というのも変わっている。

 おかみ夫婦(森光子、船越英二)を中心とする人情喜劇に、悠木千帆(現・樹木希林)や堺正章らがスラプスティック要素を加える。篠ひろ子、藤竜也のはぐれものキャラや天地真理、浅田美代子のアイドルが好きなのも今につながる久世ドラマの特徴。

 71年、73年に続編がつくられ(脚本:・松田暢子)、また74年には昭和元年に設定を移した「時間ですよ・昭和元年」を制作(最近の作品で大正〜昭和初期をあつかう久世作品の先駆)

 87年にはとんねるずを迎えた「時間ですよふたたび」で復活(脚本:松原敏春)、以降88年「時間ですよたびたび」、同年スペシャル「春の女神がやって来た」(脚本:橋本以蔵)、89年、「新春スペシャル」、同年「時間ですよ平成元年」(どちらも脚本:山元清多)、また90年には大正時代に設定を移したスペシャル「時間ですよ殺人事件」(脚本:扇沢延男)とつぎつぎとつくられたが、旧シリーズほどのパワーがなかったのは残念。

 65年に東芝日曜劇場で中村勘三郎・森光子が銭湯を経営する橋田壽賀子脚本の同名ドラマが原型だか、雰囲気は大きく異なる。


だいこんの花

NET 脚本:松木ひろし・向田邦子 演出:奈良井仁一
    出演:竹脇無我、森繁久弥、加藤治子

 森繁久弥の父が竹脇無我の息子に、死んだ妻(加藤治子)がそうであったように、楚々と美しく控えめな「だいこんの花」のような女性と結婚させたいという嫁取り&嫁修行ドラマ。

 シリーズ毎に結婚するけど、次のシリーズでは独身にもどるを繰り返す展開。ヒロインの変遷は、「だいこんの花」(1970)は川口晶、「新・だいこんの花」(1972)は関根(現・高橋)恵子、第3部(1972)は再び川口晶、第4、5部(1974,1975)はいしだあゆみ。

 脚本は、第1シリーズは松木ひろしメイン、第2シリーズは向田邦子メインで、後はほとんど向田邦子。

 森繁・向田の組み合わせはラジオ「森繁の重役読本」以来。

 「だいこんの花」ヒットにより、以降同枠では、野菜の名前を冠した「野菜シリーズ」がつくられるようになる。

 また森繁・竹脇のコンビはいまだに「おやじのヒゲ」シリーズで続いている。 



細うで繁盛記

よみうりテレビ 脚本:花登筐 演出 小泉勲
          出演:新珠三千代、高島忠夫、富士真奈美、園佳也子、

 上方ど根性ものを得意としテレビ脚本6000本といわれる花登筐の代表作。半年の予定だったが人気により、9ヶ月延長。長くなるほどおもしろくなる作者の本領発揮である。

 終戦直後伊豆熱川の貧乏旅館に嫁いだ大阪の料亭の娘、加代(新珠三千代)だが夫(滝田裕介)は不能、身内のいじめ、ライバル旅館のいやがらせを受けつつも、山水館を大手チェーン店に育て上げる。

 脇役もそろっていて、高島忠夫の初恋の人、加代を支える夫婦の大村昆・園佳也子に糸商の大友柳太朗、なんといってもいじめで話題になった小姑役の富士真奈美、加代。最初はいじめ役をいやがっていたが、ど近眼メガネをはめることで納得、静岡県三島市出身をいかした方言がはまっていた。

 ストーリー展開も、いじめ旅館も特定できるほど真実に近いもので、これは花登筐が若い頃に熱川温泉にいき、川向こうにある予約した旅館の場所を土産物屋で聞いたところ、知らないとそっぽを向かれ、その理由が川をはさんで2派にわかれて争っていることに興味をもったことから。

 商人修行もした作者の経営哲学も「飽きないで売ることが商い」「賣るという字は士と買からなる、買ってもらうために十一回訪問するのが売ることだ」などと随所におりこまれ、高度経済成長のサクセスストーリーの到達点として受け入れられた。

 このドラマが放送された木曜夜9時半からの1時間枠はよみうりテレビが大阪で制作している枠であったが、視聴率が低落傾向にあり、逆転をねらい東京支社が本社側がやめろというのを振り切って、東宝テレビ部と組んで制作。この成功を受けて、よみうりテレビは東京制作部を創設、他の在阪民放局もそれに追随することになる。

 95年に古手川祐子主演のスペシャルとしてリメイクされたが話題にはならず。やはり時代が違うか?


 2001年3月21日に新珠三千代さんが心不全で死去されていたことが明らかになりました。

 テレビドラマ的には「氷点」とこの「細うで繁盛記」が代表作。収録時はすでにスターでしたが、演出の小泉勲Dが「テープが高かったのでNGは出せないと、台詞はすべてはいっていた」「小道具の長靴が両方とも右足でも文句もいわずに履いていた」「若い俳優がNGを出してもなぐさめていた」となくなった人に対してのコメントだということを割り引いても、いい人だったようです。
 私生活を見せない、古いタイプのスターの最後に近い女優でもあります。

お荷物小荷物

ABC 制作:山内久司 脚本:佐々木守 演出:西村大介
     出演:中山千夏、志村喬、桑山正一、河原崎長一郎、浜田光男、林隆三、渡辺篤史、佐々木剛

 人畜無害のドラマが主流の中、シュールなブラックユーモアをちりばめ「脱・ドラマ」と呼ばれる。

 同じ路線の前作「月火水木金金金」も中山千夏、吉田日出子、日色ともえ、吉村実子が365万円の遺産を受け取った後、家族がばらばらになる様を描く異色作だったのをさらにバージョンアップ。

 引き続き主演の中山千夏は沖縄生まれのお手伝いさん、男尊女卑の運送屋の家族に入りしごきに耐えつつ、「沖縄の本土への復讐」というテーマのもとかきまわしていく。

 手法的にも出演者がスタジオのスタッフ、見学者、視聴者に突然呼びかけるなど、思い切った演出がみられた。

71年には続編「お荷物小荷物2 カムイ編」が登場、タイトルの通り、今度は主人公はアイヌの血をひいていた



TBS系制作プロダクションの設立

テレビマンユニオン
 TBSを退職したディレクターなどフリーの制作者が共同設立。創立の精神はいまだ消えず、フリーのディレクターの
集合体という側面が強い。
 ドラマでは「海は甦る」以下のシリーズが有名。

木下恵介プロダクション
 TBS、木下監督と博報堂との共同出資で設立。TBS側から飯島敏宏(現社長)らが加わる。同年から「木下恵介人間の歌シリーズ」をスタート。「人間の歌シリーズ」までは木下監督がドラマの脚本をかくこともあったが、1979年から、木下監督が映画、飯島社長がテレビドラマを担当する分業体制へと移行し、木下プロと改名。

テレパック
 TBS、電通と渡辺プロとの共同出資で設立。同年、設立に携わった石井ふく子プロデューサの「ありがとう」を制作


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