大河ドラマ

(1980まで)

勝海舟

 徳川末期の幕臣、勝海舟を主人公とする大河ドラマ。

 ドラマそのものより、制作体制の方がドラマチックで、まず主演の渡哲也が病気のため途中降板、さらに組合問題などNHKの制作体制に疑問をもった脚本の倉本聰も降板。さらに主演を交代した松方弘樹も混乱した制作体制の中、「NHKは物を作るところじゃない」との発言も飛び出す。

 NHKのみならずこのころのドラマ制作体制のひずみの象徴的存在。



黄金の日日

 近藤晋Pがマンネリ化した大河ドラマのパターンを打破すべく、歴史上ほとんど表舞台に現れない堺の商人・呂宋助左エ門を主人公に、お殿様お姫様でなく庶民の視点から経済の切り口で切り取った大河ドラマ。

 城山三郎原作になっているけど、先に原作があったわけでなく、小説家も加えたスタッフでブレーンストーミングを行い、そこから城山三郎小説と市川森一脚本をつくるという構成をとり、原作付きでも、オリジナル脚本でもない構成を目指した。
 市川森一も大河ドラマ初のテレビ出身脚本家で、生き生きとして現代に通じる登場人物たちを生み出す。そして市川脚本にとって大きかったのは、経済視点を得たこと。サラ金を扱った代表作「淋しいのはおまえだけじゃない」などこの後、ミクロ経済をテーマにすることが多くなる。

 主役の3人組は、歌舞伎出身の先代市川染五郎(現・松本幸四郎)、状況劇場出身の根津甚八、まだ売れていなかった川谷拓三。染五郎はテレビドラマ初主演で芸域を広げ、根津、川谷はこれで一般的人気を得ることになる。たぶん、「王様のレストラン」での三谷幸喜が松本幸四郎を主演に推したのもこのドラマがきっかけだったはず。

 大河ドラマ初としては海外ロケもで、呂宋(ルソン)は今のフィリピンの島。助左エ門が乗る呂宋丸は全長40mの模型を組み、この後もNHKのドラマのみならず日米合作の「将軍」まで使われることになる。

 視聴率的にも赤穂浪士、太閤記に次ぎ、大河ドラマの中興となる。


 2000年10月からの月曜10時、よみうりテレビ枠のドラマ「明日をだきしめて」は市川森一脚本、松本幸四郎主演で、やはり市川脚本だから、と引き受けたようです。
 その他の共通点は、小説家が企画の段階から入って、そこから小説版とドラマ版をつくったこと



獅子の時代

 近藤晋Pが「黄金の日日」から1年おいて(実働としては連続して)制作。大河ドラマパターンの打破をさらに押し進め、オリジナル脚本で架空の人物が主人公、そして菅原文太のドラマ初主演という3つの初を盛り込む。
 パリ・リヨン駅に幕府使節団が始まるところから始まり、会津藩士・平沼銑次(菅原文太)と薩摩の留学生・刈谷嘉顕(加藤剛)が芸者おもん(大原麗子)を助けるために出会い、その後、銑次は戊申の乱、西南の役、秩父の自由民権運動など常に維新で負ける側に立ち、一方の嘉顕は大久保利通に仕え近代化に尽力する。
 明治維新を扱った大河ドラマの中でももっとも革命色が強く、全共闘の闘士が泣いて喜んでいたという噂もある。

 映画出身の菅原文太はロケでいきいきとし、新劇出身の加藤剛はスタジオで静かに掘り下げた方が力を発揮する。そのために、ロケ・スタジオ共に多くなった結果、制作日程は地獄のようなことになったらしい。ともかく銑次がひたすら走るところが印象的。


タイトル 放送期間 原作 脚本 演出 時代 視聴率 主な出演者
花の生涯 1963/4/7〜12/29 舟橋聖一 北条誠 井上博 幕末 20.2% 尾上松緑、淡島千景、佐田啓二
赤穂浪士 1964/1/5〜12/27 大佛次郎 村上元三 井上博 元禄 31.9% 長谷川一夫、林与一、宇野重吉
太閤記 1965/1/3〜12/26 吉川英治 茂木草介 吉田直哉 戦国〜桃山 31.2% 緒形拳、高橋幸治、藤村志保
源義経 1966/1/2〜12/25 村上元三 村上元三 吉田直哉 平安〜鎌倉 23.5% 尾上菊之助、加藤大介、藤純子
三姉妹 1967/1/1〜12/24 大佛次郎 鈴木尚之 清水満 幕末 19.1% 岡田茉莉子、山崎努、藤村志保、栗原小巻
龍馬がゆく 1968/1/7〜12/29 司馬遼太郎 水木洋子 辻元一郎 幕末 14.5% 北大路欣也、三田佳子、浅丘ルリ子
天と地と 1969/1/5〜12/28 海音寺潮五郎 中井多津夫 岡崎栄 戦国 25.0% 石坂浩二、中村光輝、新珠三千代
樅の木は残った 1970/1/4〜12/27 山本周五郎 茂木草介 吉田直哉 江戸前期 21.0% 平幹二朗、田中絹代、吉永小百合
春の坂道 1971/1/3〜12/26 山岡荘八 杉山義法 小林利雄 戦国〜江戸前期 21.7% 中村錦之助、小林千登勢、原田芳雄
新・平家物語 1972/1/2〜12/24 吉川英治 平岩弓枝 清水満 平安末期 21.4% 仲代達矢、中村玉緒、佐久間良子
国盗り物語 1973/1/7〜12/30 司馬遼太郎 大野靖子 斉藤暁 戦国 22.4% 平幹二朗、高橋英樹、近藤正臣、池内淳子
勝海舟 1974/1/6〜12/29 子母沢寛 倉本聰他 中山三雄 幕末 24.2% 渡哲也、松方弘樹、尾上松緑
元禄太平記 1975/1/5〜12/28 南条範夫 小野田勇 斉藤暁 元禄 24.7% 石坂浩二、岡田茉莉子、江守徹、竹脇無我
風と雲と虹と 1976/1/4〜12/26 海音寺潮五郎 福田義之 岸田利彦 平安前期 24.0% 加藤剛、緒形拳、吉永小百合
花神 1977/1/2〜12/25 司馬遼太郎 大野靖子 斉藤暁 幕末 19.0% 中村梅之助、中村雅俊、米倉斉加年、浅丘ルリ子
黄金の日日 1978/1/8〜12/24 城山三郎 市川森一 岡本憙侑 戦国〜桃山 25.9% 市川染五郎、丹波哲郎、栗原小巻
草燃える 1979/1/7〜12/23 永井路子 中島丈博 大原誠 平安末期〜鎌倉 26.3% 石坂浩二、岩下志麻、国広富之
獅子の時代 1980/1/6〜12/21 山田太一 清水満 幕末〜明治 21.0% 菅原文太、加藤剛、鶴田浩二、大原麗子

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