土曜ドラマ

 74年の「勝海舟」事件後、NHKは制作体制を見直し起死回生をはかるべく、川口幹夫ドラマ部長(前会長、制作者としては芸能畑を歩き紅白を国民番組に育てる)が、近藤晋プロデューサに「誰が見てもおもしろいこと、今までにない新鮮なもの、NHKでなくては作れないもの」と密かに指示を出し制作されたシリーズ。

 70〜90分の一話完結で3,4話のシリーズ構成、また「山田太一シリーズ」など作家の名前を冠する作家第一主義(ギャラも一番だったらしい)、またスポンサーにしばられないことを目指した。シリーズ構成は「刑事コロンボ」の日本での放送形態がモデルだったのではないか。

 その象徴となるメインタイトルは、銀座4丁目の電光掲示板に浮かぶ「土曜ドラマ」の文字。ニュースや広告の変わり目に18秒の間隔があることから、そこに無料で押し込むように頼み込んだもの。(ディレクターは和田勉Dと清水満D、佐々木昭一郎Dも連絡係をするという豪華スタッフ)



山田太一シリーズ 男たちの旅路(76〜82年)

 警備会社を舞台に、特攻隊くずれのごりごり戦中派の吉岡指令補(鶴田浩二)とシラケ世代の若いガードマンのぶつかりあいを通して、社会や人生を問うドラマ。

 近藤P、山田太一らが鶴田浩二の戦争体験を聞いたことをもとに、「俺は若者が嫌いだ」「甘ったれたことをいうな」と、時には無理な論理展開を若者にぶつけ、それに本音で反発し主張する姿は多くの共感を呼んだ。

 技術的にも、小型化が進むVTRカメラを導入し、第2部の「釧路まで」では全編カーフェリーを中心にVTRロケを敢行。(76年の「雲のじゅうたん」を見るとロケはフィルム撮影になっている、これが従来パターン)。

 また中村克史Dは画面転換時に黒く暗転するフェードアウトに対し、白くかわる「ホワイトアウト」技法を編み出すなど、若手登用により躍動感のある画面となった。

向田邦子シリーズ 阿修羅のごとく(79〜80年)

 老父恒太郎(佐分利信)が浮気をしていることから、集まった四姉妹、長女綱子(加藤治子)、次女巻子(八千草薫)、三女滝子(いしだあゆみ)、四女咲子(風吹ジュン)だが、4人もそれぞれいろいろな問題をかかえていて、表面は穏やかだが内心ねたみ・うたがい・いいがみあう阿修羅に例えて描いたドラマ。
 ハードな事件もの、経済ものなどを得意とする和田勉向けに向田邦子が書き下ろす。特にベッドシーンがあるわけではないのだが(NHKで本格的にベッドシーンを扱うのは「けものみち」まで待つことになる)、巻子が浮気後の綱子の赤い長襦袢姿を見るところなどちょっとしたシーンが妙にエロチックなのが心に残る。


75〜76年

放送期間 原作 脚本 演出 出演 備考
松本清張シリーズ
遠い接近 75/10/18 大野靖子 和田勉 小林桂樹、笠智衆、吉行和子、荒井注 芸術祭優秀賞
中央流砂 75/10/25 石松愛弘 和田勉 大滝秀治、中原ひとみ、内藤武敏、中村玉緒 プラハ国際コンクール金賞
愛の断層 75/11/1 中島丈博 岡田勝 平幹二郎、香山美子、中谷一郎、殿山泰司
平岩弓枝シリーズ
この町の人 75/11/22〜12/13 平岩弓枝 岡田勝 ミヤコ蝶々、西村晃、森繁久弥、三田佳子
緒方拳、杉村春子、西川峰子
日だまり、帰雁、芋粥、
満月の4話
懐かしの名作シリーズ
愛染かつら 76/1/17 川口松太郎 中島丈博 和田勉 島田陽子、片岡孝夫、音羽信子、平岩道子
生ける人形 76/1/24 片岡鉄平 大野靖子 宮沢俊樹 高橋英樹、高橋恵子、安田道代、田武謙三
浪華悲歌 76/1/31 溝口健二 高橋玄洋 樋口昌弘 十朱幸代、河津清三郎、財津一郎、山田五十鈴
限りなき前進 76/2/7 小津安二郎 山内久
立原ゆう
清水満 船越英二、仁科明子、村野武憲、丹阿弥谷津子
山田太一シリーズ 男たちの旅路
鶴田浩二,森田健作,水谷豊,桃井かおり,前田吟
金井大,木村有里,五十嵐淳子,中条静夫,久我美子 
ギャラクシー賞選奨
非常階段 76/2/28 山田太一 中村克史
路面電車 76/3/6 山田太一 高野喜世志 結城美栄子
猟銃 76/3/13 山田太一 中村克史 石田信之、丹古母鬼馬二 
劇画シリーズ
花に棲む 76/3/20 林静一 能勢紘也 和田勉 篠田三郎、大谷直子、長岡輝子、角野卓造
寺島町奇譚 76/3/27 滝田ゆう 中島丈博 江口浩之 三木のり平、秋吉久美子、上条恒彦、森本レオ
紅い花 76/4/3 つげ義春 大野靖子 佐々木昭一郎 草野大吾、沢井桃子、渡部克浩、嵐寛寿郎 芸術祭大賞
エミー賞国際優秀賞


77年

放送期間 原作 脚本 演出 出演
サスペンスシリーズ
閃光の遺産 77/1/8 三好徹 山田正広 和田勉 河原裕昌(河原さぶ)、根岸季衣、井川比佐志、藤圭子 
高層の死角 77/1/15 森村静一 立原りゅう 清水満 藤岡弘、江原真二郎、新藤恵美、松山政路、久米明、今福政雄、横山道代、結城一郎
轢き逃げ 77/1/22 佐野洋 高橋玄洋 宮沢俊樹 梅野泰康、安田道代、松下達夫、竹脇無我、松坂慶子
暗い落日 77/1/29 結城昌治 石堂淑朗 樋口昌弘 高橋幸治、藤村志保、佐分利信、仲谷昇
山田太一シリーズ 男たちの旅路
廃車置場 山田太一 中村克史 鶴田浩二、池部 良、水谷豊、桃井かおり、柴俊夫、五十嵐淳子、金井大、橋爪功、北見治一、土師孝也 
冬の樹 山田太一 高野喜世志 鶴田浩二、池部良、水谷豊、桃井かおり、柴俊夫、五十嵐淳子、金井大、橋爪功、滝田裕介、川口敦子、竹井みどり、ゴダイゴ
釧路まで 山田太一 中村克史 鶴田浩二、池部良、水谷豊、桃井かおり、柴俊夫、田崎潤、五十嵐淳子、金井大、橋爪功、長塚京三
城山三郎シリーズ
堂々たる打算 77/3/19 城山三郎 山内久 和田勉 丹波哲郎、日下武史、辰巳柳太郎、岡本富士太
SFシリーズ
およね平吉時穴道行 77/4/9 半村良 杉山義法 重光亨彦 由美かおる、寺尾聡、西沢利明、近石真介、頭師孝雄
終わりなき負債 77/4/16 小松左京 中島丈博 樋口昌弘 谷隼人、山崎努、萩尾みどり、南美江
もしも・あの時 77/4/23 広瀬正 尾中洋一 和田智充 岡田茉莉子、江原真二郎、夏八木勲、市地洋子

77〜78年

放送期間 原作 脚本 演出 出演
松本清張シリーズ
棲息分布 1977/10/15 松本清張 石堂淑朗 和田勉 滝沢修、佐藤慶、津島恵子、中山麻里
最後の自画像 1977/10/22 松本清張 向田邦子 和田勉 いしだあゆみ、内藤武敏、目黒祐樹、山内明
依頼人 1977/10/29 松本清張 山内久 高野喜世志 小沢栄太郎、大地喜和子、二木てるみ
山田太一シリーズ 男たちの旅路
シルバーシート 1977/11/12 山田太一 中村克史 鶴田浩二、水谷豊、桃井かおり、志村喬
高橋玄洋シリーズ
虹の花 1978/1/7〜21 高橋玄洋 樋口昌弘 三田佳子、細川俊之、三益愛子、嵐芳夫
兄とその妹 1978/1/28 島津保次郎 岡部俊夫 川口孝夫 近藤正臣、檀ふみ、三田和代
人情紙風船 1978/2/18 三村伸太郎 尾中洋一 清水満 フランキー堺、田村高広、香山美子、栗田ひろみ
田向正健シリーズ
優しい時代 1978/2/25〜 田向正健 和田勉 篠田三郎、檀ふみ、下元勉、長門裕之


78〜79年

放送期間 原作 脚本 演出 出演
松本清張シリーズ
天城越え 1978/10/7 松本清張 大野靖子 和田勉 大谷直子、佐藤慶、鶴見辰吾、中村翫右衛門
虚飾の花園 1978/10/14 松本清張 高橋玄洋 樋口昌弘 岡田嘉子、奈良岡朋子、内藤武敏、河原崎建三
火の記憶 1978/10/28 松本清張 大野靖子 和田勉 高岡健二、秋吉久美子、村野武憲、山内明
鎌田敏夫シリーズ
十字路 1978/12/2 鎌田敏夫 中村克史 千葉真一、草刈正雄、木村理恵、大場利明
向田邦子シリーズ
阿修羅のごとく 79/1/13〜1/27 向田邦子 和田勉 八千草薫、いしだあゆみ、加藤治子、風吹ジュン
死にたがる子 1979/2/17 藤原審爾 金子成人 中村克史 伊丹十三、宮本信子、春日和秀、清水健太郎
血痕追跡 1979/2/24 渡辺淳一 日向正健 富沢正幸 江守徹、山本陽子、草薙幸二郎、鈴木瑞穂
四角な船 1979/3/3 井上靖 柴英三郎 布勢実 竹脇無我、神山繁、山口果林、花沢徳衛
失楽園’79 1979/3/10 市川森一 重光亨彦 根津甚八、桃井かおり、鹿賀丈史、谷啓

シリーズもの目次にもどる