『紅顔』 御気楽日記2001.12.03分



「そのお心」
「拾わせていただいて、よろしゅうございますか」


書名: 『紅顔』
著者:井上祐美子
発行所:講談社(講談社文庫)
ジャンル:歴史小説
おすすめ度:☆☆☆


「しまった」
 呉三桂はひとり、口走ってから立ちすくんだ。
(たった今、俺はなにを考えた)
 おのれの声を聞いて、はじめておのれの本心を垣間見たのだ。
(絶好の機会だったのに、とは思わなかったか?)
 なにが絶好の機会だ−。
(京師を制圧する機会だ)

 一瞬でも帝王でありたいと思ってしまった呉三桂。そんな、裏切り者と歴史に 書き残された呉三桂と傾国の美女円円の物語。

 歴史的に彼がいい評価をうけていないのは分かっているので、流れにのまれて流されていく しかない虚しさというような雰囲気が、そこはかとなく漂ってます。でも、その雰囲気嫌いじゃないです。
 気が付いてしまった自分の野心を消す事が出来なかった呉三桂の行く末とは…。

 呉三桂と円円に対するキャラクターが生き生きしています。帝王となりたい呉三桂に対する のは常に帝王であったドルゴン、裏切り者の呉三桂と円円に対して、滅び行く明へ節を守ろうとした 銭謙益と如是。それぞれに自分の想いを貫き生きて行く姿が、立場は違えどそれぞれ光っています。

 難点を言えば、歴史小説だけに歴史の説明的文章。ちょっと眠くなるかも。


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