『王昭君』 御気楽日記2001.12.01分



(変らないのは…草原を渡るこの風だけ)


書名: 『王昭君』
著者:藤水名子
発行所:講談社(講談社文庫)
ジャンル:歴史小説
おすすめ度:☆☆☆☆


 前漢末に皇帝の命で匈奴の元へ嫁いだ女性の物語。
 皇帝の住まう後宮には沢山の女性たちが寵をきそって暮らしている。若い頃に最愛の女を 亡くした皇帝は、以降女性への興味を無くしたという。皇帝はその無関心さを現すように、 ひとつのことを思いついた。
 あまりに多くの女性。そのひとりひとりの顔など到底覚えきれない。そこで、一冊の画帖 を作らせ、夜毎に幸する相手を選ぶ、というのである…。

 主人公・王昭君のひととなりの描かれかたが、私の中ではしっくりと心のなかに降りて いって心地よかった作品でした。
 いつか海を見てみたいと思っている王昭君。
 狭苦しい後宮を厭い、広いところへ行きたい、今より少しでも広いところへ行きたいと 思う王昭君。

 そんな彼女が、匈奴の王へと嫁ぎ、子生み、生きて行く。その間、様々な生き死に遭遇して ただ前へ進む一方でなく、ときに故郷を振り返るようになる心境変化。
 そういった時の流れや時代のようなものや、一瞬にも思える人の生や哀しみを包み込んで 草原は変らずにある。

 歴史小説の醍醐味って、私にとってはこうどっぷりとひたれるかどうかです。
 そういう意味では結構ひたらせてもらえて、ほぼ満足。


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