はじまりは突然に・・・

 3年前に行ってからこれは私の中の”決まりごと”になっていた。『なんてつまらない』と言われるかもしれないがこれは間違いなく私にとって有意義で神聖な儀式なのだ。
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 ところが今年は『そろそろ行く季節だな』と思いつつも”相棒”との連絡もままならず『今年はいけないのかな?!』という気分になり始めた5月の中旬に突然に計画は動き出した。
 社会人にとって旅行とは本人にとっても一大行事だが会社にとっても一大行事のようで本来当然付加されているはずの休日を申請する事もままならない。いつも私達の旅行は”私達の都合”と言う名の”会社の都合”によって日程を決められる。今回の出発日は5月27日に決定。

 私達には役割がある。手配は私の担当で現地の運転は相棒の担当だ。私は早速ツアーの手続きを済ませきたる5月27日を心待ちにしていた。
 

出発そして・・・

 轟音を轟かせその巨体はほぼ定刻通りに羽田空港を飛び立った。水を得た魚の様に力強く巨体は空高く上昇していく。この瞬間が私は好きだ。
 ”旅なれた”と言うには程遠い私は離陸の瞬間全身に力が入ってしまう。それは高所恐怖症の精かもしれないがそれでも小さくなっていく町並みを見ずにはいられない。眼下に雲海を従えるに至って私はやっと安心して自分の時間を消費し始めた。
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 沖縄までの飛行時間はわずかに2時間15分。映画一本見る間に気候も町並みも私の精神をも一変させてしまう。はずだった・・・。

 『当機はこれより羽田に引き返します』

 突然のアナウンスにざわつく機内。”よくある事”だ思いながらも”ここまで来て”と思えてしまう。そこは分厚い雲の上ではあるが那覇空港の上空だった。

空白の一日

 羽田に着くと乗客はいっせいに各デスクに殺到した。おかげで大手の旅行会社のデスクの周りは黒山の人だかりになっていた。私達が選んだ旅行会社のデスクには先客が一人いただけでスムースに事は運んだ。
 その時、隣のデスクのざわつきが少し大きくなった。『今回の旅行はキャンセルです。旅行代金は全て返金いたします。』と旅行代理店の店員の張り上げる声が聞こえて来た。旅行者が今回のために空けた数日は一瞬で泡と消えた。
 一方、私達の旅行は翌日フライトの飛行機で”出直し”となった。しかも、一日分の欠航費用は返金された。随分と”ついてる”で出しだなっと思って苦笑した。