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父の正喜は足が悪かったが、毎日、汽車で一時間半かけて通勤し、鉄工所の旋盤の立ち仕事をしていた。
末っ子のまことは、父の「超人的な我慢強さ」と母の「鋭い直感力」の両方を兼ね備えていた。じっと耐え続ける粘り強さもあったが、(駄目だ)と判るとあっさりと、いとも簡単に諦めて、新しい次のものに向かう不思議な二面性があった。…略
義足がすべってなかなか登れない父は、先に上がって待っているまことたちを先に行かせて、少しずつ休みながら後から登っていった。まことは、父と一緒にいろんな話をしながら登りたかったのに、いつも大きな岩の前に来ると、「お前たち、はよう先に行かんか!」と怖い顔して大声で追っ払われるのが悲しかった。
鉄工所の仕事から疲れて帰って来た父に、まことが遊んで貰おうと足元に寄って来たが「お前たちゃ、まーだ起きとるとか・・早う寝らんか!」いきなり大声で叱りつけるのだった。 まことは父とのふれあいを欲しがっていたが、正喜は義足に引け目を感じて、息子たちに体ごとぶつかっていく「父親のスキンシップ」というものをうまく伝えられなかった。 …略
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