前ページへ戻る
前ページへ
ホームページへ戻る
ホームページへ

流動分散の危険とその対策


 会員のみなさんの意見も踏まえ下記のようにまとめました。なお、 確保支点が真価を問われる場合は、リーダーが落ち、中間支点がすべて飛び、リーダーが確保支点の下に落ちていった時です。


 岳人9月号で、カナダの登山学校でのアイスクライミングの経験を大久保由美子さんが述べていますが、84頁に流動分散の危険ー支点が1本抜けた時スリングの遊びのため残りの支点に新たな衝撃がかかるーをインストラクターに教えられたことが記されています。
 この危険とその対策について、私の見解を述べます。


■ 確保支点が真価を問われる場合

確保支点が真価を問われる場合は、
A)リーダーが
落ち、中間支点がすべて飛び、リーダーが確保支点の下に落ちてい
  った時です。A)に
比べれば、
B)リーダーが落ちたが中間支点が抜けずビレヤーが引き上げられた時、
)フォロアーが落ちてさらにそれにビレイヤーがまきこまれて落ちた時は、確保支
  点に
かかる衝撃力は、はるかに少ないと考えられます。


■ Aの場合に確保支点にかかる衝撃力

 通常は、メインロープでセルフビレイをとりますから、複数 の確保支点から流動分散でつながったカラビナにメインロープはインクノットでつながっています。当然、 その一方はリーダーに、もう一方はビレイヤーに繋がっています。

1.リーダーの落下による最初の衝撃力
 900kg(リーダー80kg、落下率2、ロープ の伸びあり)

2.リーダーのスリング分落下による次の衝撃力
 1000kg(リーダー80kg、落下率1、スリング弾性なし、リーダー側ロープの伸
 びきって衝撃吸 収力なし)


3.ビレイヤーのスリング分とビレイヤー側メインロープ分落下による次の衝撃力
 1000kg(ビレイヤー80kg、落下率1、スリング弾 性なし、但しビレイヤー側ロ
 ープ衝撃吸収力あり)

 最初の衝撃900kgは、複数の支点に均等にかかります。

[ページの先頭へ戻る]

X 最初の衝撃900kgが、完全に複数の支点にかかり、その後、支点一つが抜
 る場合

  → 残りの支点にかかる新たな衝撃力は2である。

Y 最初の衝撃で900kgの力がかかる以前に支点一つが抜けた場合
  → 残りの支点にかかる新たな衝撃力は、2と 落下による最初の衝撃1の残り4
    です。

  ただし、最初の衝撃で ロープは伸びきってないので2の力はロープの弾性で小
  さくなります。したがって、4は相殺されと考えて良いでしょう。


  さらに、支点一つが抜けたため、流動分散でつながったカラ ビナにメインロープ
でセルフビレーをとっていたビレイヤーがまきこまれて落下し、その衝撃力3が残り
の支点
にかかる可能性があります。


 したがって、XであれYであれ、残りの支点に1000kgから2000kgの力がか
る可能性があります。じっさいには、人体の衝撃吸収力、ビレイヤー側ロープ衝撃

吸収力、カラビナやスリングの遊びにより、減少するはずですが。


[ページの先頭へ戻る]

■ 対 策
 確保支点が真価を問われる時は下方向の力がかかっ た時ですから

1)支点が横に並んでいれば2本のスリングで力を均等に配分できます。支点3本
 なら
、まず支点2本を二つのスリングでまとめ、さらにそれを残りの支点と力を配
 分する。

 ただし、力は1/4、1/4、1/2と配分されます。

2) 支点が上下に並んでいるなら流動分散を使い、メインロープを繋ぐカラビナに

  近い支点(上下に並んでいる内の下の支点)にバックアップをとれば、2や3の力
 は少なく
なります。

 日本のテキストはもちろん、アメリカのジョン・ロングのクライミングアンカーでも、
残りの支点に新たな衝撃がかかる危険にふれながらも、
流動分散を強く勧めてい
ます。
 スリングの長さを調整して均等に力を支点にかける方法
は、完璧ではないと言っ
ています。


 スクリュウーやフレンズを使う場合は、設置位置を自分で調整することも、ある程
度は可能です。したがって、上記1)や2)の対策は難しくありません。
 それらの支点がピ
トンやボルトほど強固でないことも併せて考えると、スクリュウ
ーやフレンズを使う場
合は、流動分散を避けるかその対策が必要かと思います。

                                (佐々木貴之 記)

[ページの先頭へ戻る]

前ページへ戻る
前ページへ
ホームページへ戻る
ホームページへ