うるさい執事の了承もとりつけ、芹香と少しは付き合い易くなった主人公ですが、まだまだ二人の関係は磐石なものとは言えません。もうひとつ、芹香との関係を確固たるものにするための何かが欲しいところです。

 そのせいかどうか、芹香から新しい薬を作るので、何かリクエストは無いかと訪ねられた主人公は、惚れ薬を作って欲しいなどとリクエストすることに。芹香に飲ませて自分を好きになってもらうとのことですが、この冗談を真に受けた芹香は、本当に惚れ薬を作り始めてしまいました。こういう冗談の通じない人というのも困ったものですよね。もし主人公が空を飛ぶ薬が欲しいなどと言ってたら、どうなってたのでしょう?

「どうしたんだよ?先輩。屋上なんかに連れてきて?」
「・・・・・・・」
「えっ、この前頼まれた魔法の薬ができましたって?俺、そんなもの頼んだっけ?えっ、空を飛ぶ薬?・・・・・・。あっ、言われてみればそんなこともあったっけな」
「・・・・・・」
「えっ、この薬を飲めば空を飛べるって?」
 こくん。
「へえ、そいつはすげえや。じゃ、ちょっと飲ませて」
「・・・・・・」
「うん、なんだか本当に空を飛べそうな気分になってきたよ。やっぱり、先輩の魔法はすげえなあ」
「・・・・・・」
「えっ、これから試して下さいって?ここ・・・から?」
 こくん。
「ハハハ・・・冗談きついねえ、先輩。ここ屋上だよ。落ちたら死んじゃうよ」
「・・・・・・」
「えっ、大丈夫だって?いや、先輩は大丈夫でも、その・・・。えっ、やっぱり魔法を信じて下さらないのですかって?いっ、いやあ、信じてるよ。信じてるんだけど、その・・・」
「・・・・・・」
「いや・・・そんな悲しそうな顔されたって、こちらにも、その・・・事情が・・・。あっ、そうだ。ねえねえ、先輩。この薬なんだけど、実際に飲んで空飛んだ人がいるわけ?」
「・・・・・・」
「えっ、いるって?そんなはずは・・・。えっ、薬を飲んだ人が高い塔の上から跳んで、それで、確かに空を飛べるようになったって、本に書いてありましたって?」
 こくん。
「そんなことあるわけ・・・ん?ちょっと待った!先輩、俺思うんだけどさあ。その人って、もしかして、飛べるようになった時、頭に輪とか、背中に羽とかついてない?」
「・・・・・・」
「・・・・・薬、ありがとな」
 てな話になったような気がします。

 まあ、芹香の魔法があまり当てにならないというのは、これまでの話でよくわかっています。主人公もそのつもりだったのですが、そんなある日、芹香が雨を降らせる召喚魔法を行うので、協力して欲しいなどと言って来まして。魔法を信じない主人公は、馬鹿馬鹿しいとは思いつつも、芹香の顔を立てて、協力することになってしまいます。いわゆる雨乞いの儀式というものは、日本でも古くから行われてきたものですが、芹香のは西洋風のものみたいですね。

 そして、真剣に魔法を信じる芹香を見た主人公は、その熱意にほだされて、自分も真剣に魔法に取り組むことになります。その結果、わずかとはいえ、本当に雨を降らせることに成功しまして。主人公は大喜び。そして、芹香も表情こそ変わりませんが、恐らくは喜んでいたのだろうと思います。ただの偶然でしょうが、これで二人の距離が、さらに縮まったような気がしますね。

 そうこうしているうちに、主人公がリクエストした惚れ薬が完成しまして。オカルト研の部室に誘われた主人公は、二人して薬を飲むことになりました。なんでも薬を飲んで最初に見た人を好きになるのだそうですが、最初に同性を見たらどうなるの?といった疑問が浮かびまして。それともこれは異性に対してしか、効果の無いものなんでしょうか?

 まあ、状況から見て、薬を飲んで最初に見るのは、お互いに決まってます。というわけで、ますます芹香のことが好きになったらしい主人公は、この機会に告白しようとしますが、この薬というのが曲者でして。どうもアルコールの類が、かなりの量、添加されていたような節があるのです。そうとも知らず、薬を飲みすぎた主人公は、そのままぶっ倒れてしまい、芹香への告白は中断。やっぱり彼女の魔法は当てになりません(笑)。

 もっとも、こういう状況になること自体、二人が好き合っていることのなによりの証明なのです。というわけで、薬の効果が切れてから、あらためて芹香に告白した主人公は、OKをもらって大喜び。ただ、芹香との住む世界の違いだけを危惧する主人公ですが、話を聞いた芹香は、二人の愛が周囲から祝福される魔法の儀式までやってくれることに。いっそ、主人公に大金持ちになる魔法でもかけてくれれば話が早いような気がしますが、そうもいかないわけですか。

 まあ、この芹香の魔法、効果のほどを決めるのは、主人公がどれだけ彼女を信じられるか、なのです。というわけで、エピローグ。芹香のためにと頑張ってバイトに励み、そして、その主人公のためにと、大事なパーティを脱け出した芹香が、公園で抱き合って終わりです。この二人の関係、前途多難としか言いようがありませんが、主人公が魔法に託された芹香の気持ちを信じて頑張れば、なんとかなるような気もします。これはこれで、ハッピーエンドでしょう。


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