というわけで、マルチと別れ、なにやら心にぽっかり穴が開いたようになった主人公です。まあ、いずれ量産型で彼女そのものではないにせよ、かなり似たような性格のメイドロボに出会えるわけですが、だからと言って、この喪失感がすぐにどうなるものでもないですね。

 そんな折、主人公は公園で妙な男に話しかけられまして。この人、どこかの会社員のようですが、なんでもロボットというのが、嫌いなのだとか。連中には心が無いからいかん、せめて心があればもっと好きになれるかも知れないとのことです。そんな話を見ず知らずの主人公にしてどうする?と思いますが、主人公はマルチの一件以降、妙に優しくなっていて、普段なら無視するようなこんな会話にもつきあっております。これも人間のみならず、犬や他のロボットに対してまで優しかったマルチに感化されたためでしょうかね?

 それで、その男の話なのですが、なんでもロボットにも心が必要、みたいなことを上司に話して、却下されたのだとか。ロボットは人間の道具に過ぎないのだから、そのロボットが人間のような心を持ってどうするのか、必要なのは便利な機能のみとのことで、この男、半ば自嘲気味に上司の意見に賛成しております。が、ここで意見を求められた主人公は、ロボットにも心が必要だと言い切りまして。なんだか知りませんが、この男からは喜ばれたみたいですね。

 実際の話、人間は道具に機能のみを求めるわけではありません。例えばマルチーズや狆などといったトイドッグは、番犬にも猟犬にも使えないおよそ可愛い以外に何の取り柄も無い犬ですが、いずれも犬種としては、数千年の歴史を誇っている、最も古くから存在したもののひとつなのです。同様にソニーのアイボも実用にならずとも、人気は上々。もしかすると、将来家庭用ロボットが普及するとすれば、それは作業用や監視用としてではなく、まずは愛玩用として、スタートするのかも知れません。

 まあ、それは余談です。それから数年間が過ぎ、主人公が大学へ進学した頃、ついにマルチの量産型が発売されることになりました。が、この量産型、オリジナルを思いきり簡略化した低価格マシンになっていて、機能性はともかく、あのマルチが持っていた人間らしい心など、全て省略されております。主人公にとっては、ガンダムに乗れると期待していて、いきなりジムを持って来られたようなもの。これは失望どころではありませんね。

 それでも、マルチとの約束は約束です。それにジムにも一応ビームサーベルが装備されていたように、この量産型マルチにも、どこかオリジナルの良さが残っているのかも知れません。というわけで、親に借金して、強引にマルチを買った主人公ですが(某ファンサイトによると、マルチの設定上の価格は約500万円とのこと。大学生の買い物としては、結構な額でしょう)、やはりジムはジム。買うだけ無駄でした。

 というわけで、あのマルチとは似ても似つかぬ無味乾燥なこのロボットに、すっかり悲しくなってしまう主人公ですが、そんな折り、家に手紙が届きまして。差出人はマルチを開発した研究所の主任です。この人物、どうやら以前、主人公と公園で話したあの会社員のようですが、手紙によると、なんと主人公に届けられたマルチは、新品ではなく中古のようなのです。

 勝手にユーザーに中古品を送りつけるとは、非常識極まる話ですが、この中古、中古は中古でもただの中古ではなく、試作機として作られたもの。そして、手紙と一緒に届けられた荷物の中には、保存されていたデータを入れたDVDと、主人公が遊園地で買ってやったあの麦わら帽子・・・。

 どうやら、マルチを作ったスタッフ達は、ある意味芸術的とも言えるほど、人間に近い出来映えだったマルチを、そのまま放棄するには忍びなかったのでしょう。というわけで、恐らくマルチから聞いていたと思われる、彼女を随分と可愛がってくれた主人公に、自分達の作った娘を託そうとしたみたいです。なんとも・・・。

 そして、データをインストールし直すことで、あのマルチが復活することになりまして。もう二度と会えないとばかり思い込んでいたマルチは、大感激です。無論、主人公の方も負けず劣らず大感激。そのまま、二人が仲良く抱き合って、ゲーム終了です。終わって見れば、めでたしめでたし。いや、こういうフォローがあると、泣かせる話も絶対嫌いとまでは、いきませんね。よしよし。

 さて、これでようやく全エンディングクリアです。マルチに花束も贈られましたし、CGも芹香の分を一枚取り逃した他は、全て100%。これでゲーム終了ですね。後は簡単に結びを書いて、締めくくらせて頂きましょう。


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