マルチの卒業を見送った主人公ですが、このままもう当分の間、彼女に会えないと思うと、なんだか寂しい話です。そう思って、しんみりしていた主人公ですが、なんとその翌日の日曜日にマルチから電話がかかってきまして。なんでも、今日一日の間、外出許可をもらったので、今までの御恩返しに、働きに行きたいのだとか。主人公は喜んで、この申し出を承諾。もうしばらく会えないはずが、こうも早く再会できるとは、予想外ですね。
それで、例によって間抜けにも道に迷ってしまったマルチを駅まで迎えに行った主人公は、そのままマルチを連れて、家まで帰りまして。マルチは初めて見る主人公の家に感激し、自分もこんな家で働きたいですと大喜び。大して大きな家でもないのですが、マルチにとってはちょうど手頃ないい家かも知れません。
そして、さっそく主人公のために働きたいと張り切るマルチですが、やる気とは裏腹にどじな癖は相変わらず。主人公に朝食を頼まれて、たまたま有ったスバゲティーを作り始めたまではよかったのですが、なにをどうしたのか、出来上がったそれは、パスタとミートソースが絡まって一緒に焦げついた物体・・・。一体、どういう代物なのか、私にはちょっと想像できませんが、主人公は泣き出しそうなマルチに気を遣って、その物体を残さず全部食べた上、美味かったと誉めてやることになりました。
これでは、恩返しに来たのか迷惑をかけに来たのかわかりませんが、そんなマルチも次に引きうけた掃除では、名誉を挽回することに。さすがに、毎日学校で掃除をしていただけのことはあって、手際も良ければ、やり方も万全。たちまち主人公の家は、ぴかぴかになってしまい、主人公もちょっと驚きです。どうやら、このマルチ、掃除を始めとする軽作業には、とても向いているようですね。
そんなこんなで、主人公は大助かりです。マルチの方はまだまだやる気満々で、次は何をしましょうかと元気いっぱいですが、主人公はもう作業はいいから、デートでもしようと誘いまして。喜ぶマルチを遊園地へ連れて行ってやることになりました。二人にとって、これが最初のデートですが、マルチは初めて来た遊園地に大喜び。二人でなにやかにやと遊び回ることになりました。
ただ、こんな楽しい時も長くは続きません。観覧車に乗った主人公は、マルチを次のデートに誘いますが、彼女の方は言葉を濁すばかり。どうやら、試作機としての試験が忙しくて、それどころではないのかと思いきや、実はマルチが主人公に会えるのは、今日が最後だったのです。
元々、試作機だったマルチは、学校での運用試験を終えて、次はまた別の試験に使われなくてはなりません。その際、データを一度リセットする必要があるのです。つまり、マルチがここまでに記憶したことは、研究所のデータベースの中には保管されるにせよ、もうじきこの体の中からは消されてしまうというわけですね。マルチはこのことを眠るようなものですと、柔らかく表現してましたが、保管された彼女のデータが、もう一度使用されることはまず無いので、実質的には、死ぬのと同じ意味ですな。
そうと知った主人公は、マルチを見て何も言えなくなりますが、マルチの方は今までの自分を振り返って、心から幸せだったと思っている様子です。この観覧車のシーンから、二人が別れるわずかな間に、「幸せでした」という台詞を6回も繰り返して使ってまして。彼女は開発スタッフからも随分と可愛がられたようですが、わずか数週間とはいえ、そんな楽しい環境で暮らすことができて、よほど幸せだったのでしょう。
そして、何にも増して、マルチが自分を幸せだと思っている理由は、主人公に出会えたことです。この観覧車から、別れまでの間、マルチは主人公に向かって、「好きです」という台詞を9回も繰り返し使っています。本当にこれでもかというほど、
「好きです」
「大好きです」
「浩之さんに出会えて、本当に良かった」
といった台詞を何度も何度も使ってまして。マルチにとって、よほど主人公というのは、恋しい存在だったみたいですね。
そうまでして自分を慕ってくれるマルチですが、主人公が彼女にしてやれたことは、泣きたいのを我慢して、同じく涙を懸命にこらえて明るく振舞っているマルチを見送ってやることだけでした。この一連のシーン、私も主人公に合わせて、泣きたいのを我慢しなければなりませんでしたが、おかげでメモをほとんど取れず、もう一度やり直す羽目になりまして。これだから、泣かせるゲームというのは、苦手なのですよ。ふう。
まあ、マルチはいずれ量産型が発売されるそうですので、完全な別れになるわけではありません。主人公はマルチが売り出されたら絶対に買うと約束し、さらに遊園地の売店で彼女に麦わら帽子を買ってやりました。マルチはこの帽子をかぶって大喜び。
「ありがとうございます。私の一生の宝物にします」
などと、言ってくれてます。一生の宝物って、もうじき消える運命で、一生もへちゃむくれもないような気もしますが、そんな突っ込みを入れるような場面ではありませんな。ここは素直に泣くべきなのでしょう。
そして、この麦わら帽子をかぶって笑ったマルチの姿が、主人公が本来のマルチを見る最後になりました。やっぱり、こういうストーリーは、個人的に苦手です。どうもゲームやってて泣くというのが、気恥ずかしくて・・・。それも、こういう露骨に泣かせることを狙ったストーリーというのは、わかっててもついつい泣いてしまうので、余計に苦手・・・。まあ、このマルチの場合、後のフォローがありますので、まだましですが。
マルチその4・・・心へ進む
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