何度話しかけても酷い返事をされるだけ。もはや委員長と仲良くなるなど不可能と割り切るべき状況ですが、粘り強いというか懲りないというか、これだけ怒られてもまだ主人公は根をあげません。一歩間違えれば(いや、この場合、相手の委員長が露骨に嫌がっているのですから、明らかに)ストーカーとしか思えない行為ですが、仕方ありませんね。
そうこうしているうちに、例の意地悪三人娘が、またしても委員長の教科書に落書きしようとしまして。なんとなく三人に注意していた主人公は、見事にその現場を押さえることに成功しました。三人は主人公から手厳しくお灸を据えられて、すっかりしょげてしまい、結局、委員長に謝りに行くことに。まあ、やったことは幼稚ですが、とにかく謝りに行ったということは、彼女たちも根っからのワルではなかったということですか。
そして、三人に謝られて、委員長も口にこそ出さないまでも、なんだか嬉しそうです。その日の放課後、怒鳴られることを覚悟して性懲りもなく声をかけた主人公に、なんと一緒に帰ることを許可してくれました。主人公はとっさに委員長のリアクションが信じられずに呆然。そして、一緒に歩き出してからも、委員長からちょっと声をかけられただけで、思わず悲鳴をあげてとびのいてしまう始末です。まあ、これまで散々怒られてきた主人公なのですから、いつまた怒られるか、びくびくものなのは当然ですね(笑)。
それで、委員長から例の三人の件を問い詰められた主人公は、やむを得ず自分が三人に謝るように言ったことを白状。委員長は
「余計なことはせんといてって言うたやろ」
などと文句を言ってますが、言葉とは裏腹に機嫌がいいみたいです。そのまま、主人公と一緒にハンバーガーショップに入って、一休みしてくれるくらいですから。どうやら三人との件は、委員長にとってはかなりショックだったみたいで、それが解決したことが嬉しくて仕方ないみたいですね。
そして、この一件をきっかけにして、委員長の態度が明らかに変わりまして。相変わらず憎まれ口は叩くのですが、もう主人公を無視することも怒鳴りつけることも無くなりました。どうやら、ようやく主人公も、彼女と人並みに会話できるようになったみたいです。
そうこうしているうちに、夜のゲーセンで、主人公は偶然委員長を見つけまして。どうやらクレーンゲームで景品が取れず、ぶち切れてしまったようです。凄い剣幕で店員に食ってかかっている委員長を見た主人公は、まあまあと彼女をなだめまして。そこでようやく委員長も、自分がひどく幼稚なことをしていたことに気づき、恥ずかしそうに苦笑い。一見クールそうに見える委員長ですが、たかがゲームごときで熱くなるとは、意外に子供っぽい面もあるのかも。
もっとも、このゲーセンでのイベントはただの前振りで、重要なのはここからです。その後、成り行きで公園へとやって来た二人ですが、そこで主人公は初めて委員長の事情を聞かされました。なんでも、彼女、高校を受験する直前になって、いきなり両親が離婚してしまい、神戸から無理矢理母親の実家があるこの町へ連れて来られたのだとか。それだけならともかく、神戸には仲の良い友達、何よりも恋心を抱いていた同級生がいたというのですから、委員長の気持ちは察するに余りあります。この町になじめなかったのも、当然ですな。
そして、委員長は神戸の有名大学を受験することに決め、そのための猛勉強で週の大半は塾通い。それで帰りが遅くなって、たまたま塾の知り合いと一緒になったところを誰かに見られ、毎晩遊び歩いているなどという、とんでもない噂を流されてしまったようです。結局、志保の話は主人公の睨んだ通り、悪質なデマ。いやあ、信じなくて良かったですよ。
それで、何がなんでも神戸に帰る、そのために大学へ受かるといれ込んだ委員長は、敢えて友達を作ろうともせず、毎日をただひたすら勉強だけに費やしていたわけです。ここまで彼女が神戸にこだわるのは、恐らく両親が一緒にいて、仲の良い友人に囲まれて、憧れの同級生と楽しく遊べた幸福な日々が、神戸という町の形になって、彼女の心に根をおろしているからでしょう。
というわけで、クールで無愛想な委員長というのは、あくまでも彼女が自分で無理に作っていた虚像。素顔の彼女は、ゲームに興奮し、友達と遊びたがる普通の子。それに、恋しい人との再会を夢見て頑張る、純情な女の子だったわけです。そうと知った主人公は、ますます委員長が好きになりましたが、その反面彼女に好きな男がいたことがわかって、ちょっとショックです。まあ、この男の場合、別に委員長が好きでアプローチしていたわけではなく、ただ、ひとりぼっちで寂しそうな委員長を放っとけなくて、博愛精神から仲良くなろうとしていただけなのです。そういう意味では、主人公のショックもさほど深刻なものではないようですね。
そして、迎えた日曜日。駅前でえらく綺麗な女の子を見かけた主人公は、思わず見とれていて、なんと彼女の正体が委員長であることに気づき、びっくり仰天。なんでも、今日は神戸から父親がやって来るのだそうで、そのためにめかしこんだみたいです。これで、志保の噂にあった援助交際の話も、ただ単に離婚した父親と一緒にいたところを見間違えただけという、下らないオチがついてチョン。大方、そんな話ではないかと思っていたのですが、案の定でした。
それにしても、父親と会っていた委員長なのですが、なんだか眼鏡をコンタクトに替え、髪型もストレートに直しているとは、まるで恋人にでも会うかのような気合ですよね。その反面、母親に関してはなんとなく冷たい言い方ですので、どうも委員長はファザコンの気があるんじゃないでしょうか?神戸に帰りたがってたのも、この父親と暮らしたいという動機もあるのかも知れませんな。まあ、委員長の父親はダンディなナイスミドルですので、娘が好きになるのも当然ですが。
保科智子その5・・・二人の夜へ進む
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