この「ぬくもりの中で」と言う作品は、プリンセスソフトのほぼ全ての移植作がそうであるように、全く話題にもならないまま終わりました。同社の場合、NECインターチャネルなどに比較して、よりマイナーで評価も低い作品を移植するケースが多く、その分、話題性にも欠けるようになるわけですが、この「ぬくもり」の場合も元の「好きだよっ!」と言う作品自体、それほど高い評価を得たわけではないため、当然のことながら、移植作の方も、さしたる評価を得ることはなかったようですね。
もっとも、この「ぬくもり」に関しては、パートボイスだった元の作品を女性キャラに関してはフルボイス仕様に直したり、新規に主題歌を追加したりして、それなりに手は加えてある模様です。この点、プリンセスソフトが、ここまで「ふりむけば隣に」でも「恋よほう」でも、単にエッチシーンを省いただけのべた移植しか出来ていなかったことを思えば、大きな進歩なのですが、反面、相変わらず出演声優の表記は無く(元の作品が声優非公開ですので、仕方がないと言えば仕方がないのですが・・・)、せっかく追加した新主題歌に関しても、曲名以下一切の表記が無かったりして、どうも作品に対する愛着のようなものは、感じられません。こんな風にぞんざいにゲームを扱うと言うのは、あまり誉められることではないですね。
まあ、その点はともかく、ゲームの中身の方ですが、率直に言えば、綺麗な絵柄以外、何の取り柄も無いと言う、この世に掃いて捨てるほど存在している凡百のギャルゲーの見本のような作品です。システムは既読も未読も構わずとばすスキップ機能に代表されるように、決して使いやすいものではなく、セーブポイントもたったの4箇所しかありません。そのくせ攻略難易度は結構高く、前半少し選択肢を間違えただけで、もうそのキャラの攻略が不可能になったりするのですから、困ったもの。声優も下手ではないものの、さして感銘を受けるほど巧いわけではなく、他に何か特筆出来るような取り柄があるわけでもないのですから、本当に凡作としか言いようがないですな。
ただ、この作品で一番問題があるのは、何と言ってもシナリオで、この作品のシナリオは、もう箸にも棒にもかからない代物です。ストーリーの基本は起承転結ですが、この作品の場合は、起起転以上、と言う感じで、承の部分と結の部分とが、綺麗に抜け落ちている始末。おかげでゲームの大半は、どうでもいいようなお笑いイベントと、同じことを5回も6回も繰り返す会話イベントとで構成され、ある日いきなりヒロインが主人公のことを好きになって、そのまま二人がくっつき、でも、そこに大きな障害が現れ、さてどうなるか?と言ったところで、唐突にゲーム終了。後はエピローグの部分で、何だかわけがわからないながら、とにかく二人はうまくいったのです!と説明されて、はい、お終い。一体全体、こりゃ何だ?と首を傾げたくなるようなシナリオですね。
実際、元のPC版でも、このいい加減極まるシナリオは、大きな問題になっていたようですが、だったらそんな物移植するなよ!と言っても、プリンセスソフトの場合、内容をきちんと見て、移植する作品を選んでいるのかどうかさえ、さだかではないため、そんなことを言っても始まりません。ひたすら絵柄だけを目当てにプレイし、他のことにはハナから期待もしないし、関心も持たない。この「ぬくもり」と言う作品は、こんな感じでプレイするのがいいのでしょう。
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