何だか魔法を使えなくなってしまったリンですが、これにはさすがのリンもかなり参った様子です。もっとも、この子は強がっているのか、それとも地なのか、こんな状態になっても相変わらず騒がしく、朝から何だかんだと秋俊に絡むことに。一方、秋俊の方は、こんなことになったのも全て俺のせいだ!とすっかり落ち込んでいたのですから、何だか立場が逆ですな。

 それで、リンにくどくどと詫びる秋俊でしたが、リンの方は秋俊を責めるどころか、こんな風に落ち込んでいる秋俊を見ることが、嫌で堪らない様子。で、あれはあんたのせいじゃない、といくら言っても秋俊が聞かないと見るや、それならと秋俊に仕事を命じたのです。つまり、お詫びの印に何か役に立ちたい、と言う秋俊に、その通り役に立ってもらおうと言うわけですね。

 ただ、リンが最初に秋俊に命じた仕事は、メロンパンを10個買って来い、と言う何とも妙なものでした。で、言われた通り、メロンパンを買って帰った秋俊でしたが、リンはメロンパンを見るや、嬉しそうにパクつくことに。どうもよほどメロンパンが好きなようですが、にしても、何ゆえメロンパン?もしかすると、彼女が居た異世界にも、メロンパンがあるのでしょうか?

 で、何でメロンパンが好きなのか尋ねた秋俊でしたが、リンの説明は、ちょっと意外なもの。実は彼女、この世界に来た当初、泊まる当てが無く、公園で寝泊りしていたらしいのです。まるでホームレスですが、にしても、彼女らを派遣している異世界の連中も、随分と無責任なことをするもので、こちらの世界で活動するには、とりあえず拠点になる場所が必要だとか、お金を持たせる必要があるだろうとか、そういう発想は無いんでしょうかね?これではゆらぎと戦う前に、肝心の戦士が、弱ってしまうような気がしますが・・・。

 まあ、前作の愛の話を聞く限り、異世界の魔法戦士とは、基本的に使い捨てに近い存在みたいですので、こういう無茶もありなのでしょう。で、公園に寝泊りするくらいですから、当然、お金だって持っていないリンに同情したのか、近所に住んでいた女の子が、毎日メロンパンを差し入れてくれたらしいのです。つまり、メロンパンは味もさることながら、リンにとっては人間と触れ合った楽しい思い出に直結している模様。ちなみに、リンは異世界に居た時から友達がおらず、この女の子と言うのが、生まれて初めて出来た友達だったらしいのですから、何とも言えませんね。

 結局、リンにとっては同じ異世界の住人よりも、人間の方が、自分に親切にしてくれたわけで、本来任務のためなら、人間の命など無視するのが当然の立場にある彼女が秋俊を見捨てられなかったのも、何となくわかるような気がします。で、その後もリンは、何だかんだと秋俊に用事を言いつけ、秋俊は自分だって昨日ゆらぎにやられたダメージが回復していなのに、これもリンに詫びるためだと、一生懸命それをこなしまして。気がつけば夜になっていたのでした。

 で、夢中でリンの用事をこなしていた秋俊は、いつの間にか落ち込んでいた自分が、気を取り直していることに気づき、リンに感謝することに。どうもこの子、秋俊を励ますために、わざと用事を言いつけていたらしく、自分の方が秋俊よりはるかに深刻な状態にあるにも関わらず、秋俊のことを思いやれるとはとはねぇ。もしかすると、このリンって子、凄くいい子なのかも知れません。


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