何だか愛やリンとの同居も、すっかり板について来た秋俊でしたが、この二人と一緒に居ると言うのは、正直、彼にとってあまり好ましいことではありませんでした。この街に巣食うゆらぎが自然発生したものでない以上、どこかに連中を操る親玉が居るわけで、そいつがいつまでも邪魔な魔法戦士の拠点である秋俊のアパートを、放っておくはずがなかったのです。全く、もっと早くそのことに気づくべきでしたが、秋俊は二人に振り回されてばかりでしたので、そんなことまで気が回らなかったのかも知れません。

 で、とうとうゆらぎの親玉らしい奴が、秋俊のアパートに乗り込んで来たわけですが、こいつ以前美景を連れて行った瑠璃男とかいう餓鬼だったのです。ちなみに、本人に言わせると自分はゆらぎではなく、もっと強い他の生き物らしいのですが、体から触手を伸ばして悦に入っているところなど、どう見てもゆらぎにしか見えません。もっとも、愛たちが逃げられないよう子分のゆらぎを30匹ほど、近くの公園に待機させてあるそうですので、ゆらぎの首領格であることだけは、確かみたいですが・・・。

 それで、敵の親玉が堂々と正面から攻めて来てくれたのですから、これはこちらも戦い甲斐があると言うものです。愛とリンはすぐさま戦闘態勢を整えて、瑠璃男に襲いかかり、見事なコンビネーションでたちまち瑠璃男の両腕とも言える触手をぶった斬ってしまいました。何だかでかい口を叩いてた割りに、弱っちい奴ですが、これは単なるお遊びでして。本気を出した瑠璃男は滅茶苦茶強く、愛もリンもまとめて吹き飛ばされてしまったのですから、何ともはやですね。

 というわけで、勝負は呆気なく終わってしまったわけですが、こうなると秋俊に出来ることは、早いとこ逃げ出すことだけです。が、この男はこういう状況で逃げ出すことが出来るような性格ではなく、二人を助けようと瑠璃男の前に飛び出すことに。無論、そんなことをしたってどうなるわけでもなく、かえって瑠璃男に殺されかけたのですが、そんな秋俊を救ってくれたのが、愛でした。

 で、愛は何とかして秋俊を逃がそうと、瑠璃男に立ち向かい、実際、わずかながら時間も稼いだのです。が、秋俊は愛が自分を逃がすために、満身創痍になりながら瑠璃男相手に必死になって戦っているその意味がわかりませんで。何で俺のためにこんな?と呆然となってしまったため、結局、逃げる機会を失ってしまいました。

 それで、力尽きた愛も彼女を見ていただけの秋俊も、共に瑠璃男に捕らえられ、もはや殺されるのを待つばかりに。愛はこうなったらせめて秋俊だけでも助けようと、何やら自爆の魔法なんか使い始めましたが、そんな愛を見ていた秋俊の脳裏に閃くものが・・・。何だか似たような光景、以前にも無かったでしょうか?

 で、愛が自爆する寸前、ようやく秋俊が封印された記憶を取り戻したのです。どうも、一種のショック療法で、魔法の効果が解けたようですが、こうなると話は早い。秋俊は3年前、愛と一緒になって戦った時のことを思い出し、すぐさま愛と同化しまして。これで愛は魔力を普段の何倍にも増大させられるわけですが、彼女は3年前よりも格段に腕を上げており、しかも、3年前、愛が秋俊と同化して倒した巨大ゆらぎは、今の瑠璃男なんかより、はるかに強かったのです。つまり、以前よりはるかにレベルアップした者が、以前よりはるかに弱い敵と戦うわけですので、その結果は書くまでもないですな。

 というわけで、瑠璃男は愛にこてんぱんにやられて、たちまち戦闘不能状態に。全く持って情けない奴ですが、それでもゆらぎのボスはボス。近くに手下が30匹居たはずなのですが、この期に及んで誰も助けに来ようとしないのですから、大笑いです。瑠璃男はなんで助けが来ないんだ!と泣き言を言っておりましたが、これは彼に人望が無くて手下に見放されたわけでは多分なく、実はその30匹のゆらぎ、メグに見つかって全部始末されていたのです。並みのゆらぎなど30匹束になったところで、鬼神と呼ばれる最強の魔法戦士の前では、ライオンに襲われた野良猫の群れでしかなかったと言う話ですが、にしても、たった一人で30匹ねぇ。何だかメグの力は、愛やリンとは文字通り比べ物にならないようですね。

 ところが、それほどまでに強いメグも、相手がシンではどうしようもなく、何だか昔のことを思い出して隙が出来た瞬間を衝かれ、たちまち捕まってしまったのですから、大笑いです。全く持って、情けない鬼神が居たものですが、この辺りはエロゲーヒロインの宿命ですな(笑)。

 もっとも、昔のことを思い出したのはシンも同じで、とりあえずメグはお楽しみ用にキープするのだそう。つまり、しばらくの間は、殺される心配は無いわけで、何だか運がいいのか悪いのかよくわかりません。で、メグを捕まえたシンは、次に愛の前に姿を現し、危うく殺されかけていた瑠璃男を回収することになりました。あっちこっちと用事があって忙しい人ですが、この人が瑠璃男に話したことによると、何だか近い内に星の仔と呼ばれる変なものが、やって来るらしいのです。この星の仔、シンが異世界でやらかした大犯罪とも関係があるみたいですが、どうもシンがしたことは、異世界だけにとどまらず、こちらの世界にも影響を与えるものだったよう。それがどんな影響なのかわかりませんが、この街で起きているゆらぎ騒動など、それに比べれば単なる前座に過ぎないようですね。


17〜18日目・・・メグの裏切りへ進む

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