この「幻想のアルテミス」という作品は、ほとんど何の話題にもならず、早々に消え去ったマイナー作品です。まあ、プレステでこんなゲームが出たことを、覚えている人は、ギャルゲー好きの中でも、さほど多くはないでしょう。
そんな「幻想のアルテミス」ですが、この作品、プレステのギャルゲーの中でも、かなり変わった部類に入る作品です。なにしろギャルゲーと推理アドベンチャーとを組み合わせてあるのですから・・・。ギャルゲーとRPGとを組み合わせたものはよくありますが、さすがにこれはこの「幻想のアルテミス」以外には、「KONOHANA」シリーズくらいしか無く、ちょっと珍しいですよね。
もっとも、こういった複数の異なる要素を持つゲームというのは、大抵、そのどちらの要素も中途半端で終わるケースが多く、実際、ギャルゲーとRPGとの組み合わせは、その大半が、無惨な失敗に終わっております。この「幻想」も例外ではなく、ギャルゲーとしての要素に、推理物としての要素、どちらもかなり中途半端で、物足りない出来栄えです。ギャルゲーとして見れば、ストーリーがかなり薄く、個々のヒロインに十分な感情移入が出来ませんし、推理物として見れば、犯人がわかりきっていて、つまらないことこのうえありません。おまけに事件の解決とヒロインとのハッピーエンドが、直接リンクしていないため、事件を解決した後、わざとらしい告白をせざるを得ず、せっかくのラストシーンで、興醒めしてしまいました。
そう考えると、この作品はやはり失敗作だったと言わざるを得ませんし、実際、何の評価もされなかったのですから、成功した作品でないことは明らかです。個人的にはこういうゲームを作る際は、一つの大きな事件を設定し、それを各ヒロインごとに異なるやり方で解決するというシステムにしておくべきだと思いますが、この作品は妙なところに気合が入っていて、各ヒロインごとに別々な事件を設定してあるのです。確かに、こうすればヒロインごとに、別々なシナリオを楽しめるという利点はありますが、反面、その都度事件を作らねばならず、限られたシナリオのかなりの部分が、そっちの方へとられてしまうわけでして。無論、その中に、ヒロインとの恋愛シーンも入れなくてはならないわけですから、どちらも中途半端になるのは、当然のことでしょう。
ただ、そういった数々の問題点を抱えたこの「幻想」にも、良い点が無いわけでもありません。やはり、推理物との組み合わせという珍しいシステムに加え、ヒロインが良子を除き、全員、芸能人だというのもなかなか魅力的なシチュエーション。そして、この二つを組み合わせて見せたというのは、それなりに評価出来るところだと思われます。
今更、言うまでもないことですが、元々、「ときメモ」を始めとするギャルゲーは、アイドル歌手などが人気を集めるのと同じ仕組みで、人気を獲得していたものでした。つまり、ゲームの中のヒロインが、そのままテレビ等で見るアイドルとしての役割を果たすわけで、ある意味、ギャルゲーというのは、バーチャルアイドルのプロモーションみたいな存在だったのです。
無論、昨今のギャルゲーは相当洗練されたものになって来ていて、もう単純に可愛いヒロインが出て来ればそれでいい、というものではなくなっておりますが、それでもゲーム中のヒロインが、アイドルとしての人気を集めることは、日常茶飯事。それなら、いっそ芸能界を舞台にして、アイドルがヒロインのギャルゲーを作れば、どうだろう。きっと憧れのアイドルとラブラブになれるということで、大きな人気を集められるだろう。そういう発想が出て来るのは、至極、当然なことでしょう。
ただ、多くのゲームでは、芸能界を舞台にしても、大体はアイドルを育成するシミュレーションになるか、あるいはふとしたことから知り合った芸能人の女の子との恋愛ドラマになるか、そのどちらかでしかありません。無論、それはそれで悪いことでもなんでもないのですが、芸能界というものを、もっと別なやり方でゲームに取り入れて見よう、という試みが、何も為されないというのも寂しい話です。何故なら、芸能界というものは、ギャルゲーの舞台として、非常に魅力的な世界のひとつなのですから・・・。
この「幻想」は、そういう試みを実行した数少ない作品のひとつです。ギャルゲーと推理物を組み合わせただけでも珍しいのに、ご丁寧にもそれを芸能界を舞台にして展開して見せたというのですから、大変。これは二重の意味で珍しい作品だというわけで、その分希少価値を主張することは可能です。
無論、この作品には、様々な問題点がありますが、何にせよ、他に類似した作品が無い以上、たまにプレイする分には、プレーヤーに新鮮味を感じさせることが出来ます。プレステに数百存在するギャルゲーの中に、こんな変わった作品があるというのも、それはそれで楽しいことなのかも知れません。
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