というわけで、まおを殺した萌は、警察に捕まって事情聴取されることになりました。彼女は自分がしたことを覚えていない様子ですので、こういうのは刑法上、どういう扱いになるのかよくわかりませんが、何にせよ、ただじゃ済まないことだけは間違いありません。

 もっとも、萌が間違いなくまおを殺した犯人なのかどうか、まだはっきりしない部分もありますので、今のところは任意での事情聴取という形のよう。ただ、主人公が知り合いの刑事に聞いた話によりますと、明日には署に連行されて、正式に逮捕という運びになるのだとか。なにしろ、凶器のナイフを持ってふらついていたのですから、これは申し開きのしようがないわけで、1日逮捕を延ばしてもらえただけでも奇跡ですよね。

 ただ、主人公は萌が犯人だという説に疑問を抱いております。確かに、演技に没入するとそれ以外の何も考えられなくなる萌のこと。弾みで本当にまおを刺してしまう危険性は、十分に考えられるのですが、周囲の状況が、何か変なのですよ。主人公は自分がまおの死体を見つけた時の状況を何度も検討し、萌が返り血を浴びていなかったこと、まおの死体から流出した血が、なぜか少なかったこと等を思い浮かべ、萌がプールに来た時、すでにまおは殺されていて、萌は無意識のうちにナイフを引き抜いただけではないか、と推理することになりました。つまり、萌は演技に没入していて、気づいていないが、他にまおを殺した犯人が、いるというわけですね。

 もしそうだとすると、早いとこ萌の無実を証明してやらないと、大変なことになります。主人公は明日には逮捕されるであろう萌と、今夜のうちに話しておこうと、部屋に向かったのですが、そこで、大変な事態が発生。なんと、萌は映画のラストシーンを撮るために、セットの方へ行っておりまして。で、そのラストシーンというのは、発狂した萌が、家に火をつけて、炎と遊びながら焼け死ぬというものだったのです。げげげ!

 それで、慌ててセットの方へ駆けつけた主人公ですが、時すでに遅く、セットは火に包まれておりまして。その前では、監督の岩野が大笑いしております。この岩野という男、何だか変な奴だと思ってたら、どうやら本物の狂人だった模様。この男は萌を題材にして、本当に人を殺すことによって展開される究極の映画を撮ろうとしていたのです。で、そのためにかおるを屋上から突き落とし、自分に惚れているまおを利用して、ナイフをすりかえさせ、挙句に彼女を殺して、自分の映画の生贄にしてしまったのだとか。おいおい・・・。

 要するに、この岩野という男、人が死ぬシーンに異常な心の昂ぶりを覚える狂人だったわけですが、そんな異常者に目をつけられてしまったのが、萌の不幸でした。彼女は役になりきると、他の何も考えられなくなってしまうため、目の前で人が死んでも、演技の途中でなら、それを認識出来なくなってしまうのです。確かに、これなら本物の殺人シーンを挿入した映画の主役にも使えるでしょうが、終いには自分までが死ぬ羽目になるとは・・・。

 もっとも、主人公もこのまま萌を死なせるつもりはありません。松浦の助けを借りて、岩野を排除した主人公は、萌を救うべく、炎の中に飛び込むことになりました。が、この救出作業、並大抵のことではないのです。というのも、あの岩野という男、台本に一工夫凝らし、萌はただ焼け死ぬのではなく、自分の前に現れた惚れた男の幻影を刺し殺し、その後で死ぬという筋書きにしてあったのです。つまり、発狂した萌は、幻影の男まで殺してしまうわけですが、観客からは、その男が幻影ではなく、本当に萌を助けに来た実在の人間だとわかるという仕掛け。確かに、こうすれば、狂った女の救われない運命を、さらに強調して見せられますよね。

 ただ、こうなると実際に救出に向かう主人公は、極めて危険な状況に置かれることになります。炎の中、萌を助けられるかどうかもわからないのに、彼女に刺される危険を冒さなくてはならないのですから・・・。それでも主人公は、萌を助けに行きましたが、1回目は選択肢を間違え、見事に萌に刺されてしまいました。ふう・・・。

 しかし、選択ミスの一発死にとは、最近のアドベンチャーゲームにはあまり見られない趣向ですが(笑)、まあ、こういう類のゲームでなら、ゲームオーバーも悪くないでしょう。くじけずもう1回挑戦し、今度は正しい選択肢を選んで、何とか萌を救出することに成功しました。ちなみに二人が外へ出ると同時に、セットが倒壊しましたので、全く持って、危機一髪だったわけですね。

 こうして、事件は解決し、主人公は何とか依頼を果たすことが出来ました。で、その後はなぜか告白タイム。正直、こういうタイプのゲームの場合、事件の解決に伴い、主人公とヒロインとが、自動的に結ばれるという仕組みにしておかなくてはならないのですが、この辺りは、若干、システムがこなれていない面があるようです。

 それで、主人公は言うまでも無く萌に告白し、彼女からOKをもらって、ハッピーエンド。ちなみにこのゲーム、エンディング後の後日談を、スペシャルメニューから見るようになっていたり、CGモードにまだ見ていないCGが、登録されたりと、何だかちょこちょことあらが目につきますね。この辺りはさすが翔泳社のゲームですが(笑)、まあ、これまでの同社の作品を知る者としては、この程度なら許容範囲。まずまず、こんなものではないでしょうか。


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