何だか萌に懐かれてしまった主人公ですが、彼女、さすがにただの女の子ではなく、かなりいい勘しているのです。翌日の夜、部屋にやって来た萌と話した主人公は、萌の誘導尋問に引っ掛かり、自分が臨時講師ではなく、探偵だということを知られてしまうことになりました。どうも萌は主人公が講師などではないことを、最初から見抜いていたようですが、本当、幼い外見とは裏腹に、なかなか侮れない子ですよね。
ただ、主人公の正体を知った後の萌の行動は、何とも奇抜なものでした。何と、この子、いきなり主人公のことを、お兄ちゃんみたいな人だから、と、「お兄ちゃん」と呼ぶことに決めてくれたのです。しかも、お兄ちゃんなら大丈夫ということなのか、主人公の部屋で一緒に寝たいなどと言い出す始末。主人公はあまりのことに困惑しておりますが、萌の笑顔にごまかされて、結局、一緒に寝てやることになりました。
しかし、いくら何でも、この萌の態度は、常軌を逸しておりますが、このゲーム、「シスタープリンセス」などとは違って、至極、まともなゲームなのですよ。従って、彼女がこんなことをしたのには、ちゃんとした理由があります。それも、かなり深刻な理由で、実は萌は自殺したかおるに憧れていて、彼女を姉のように慕っていたのです。それで、かおるが自殺して以来、萌は毎晩かおるが自殺する現場を夢に見て、うなされているのだとか。それで、ひとりで寝るのが怖くなって、誰かと一緒に寝たくなった模様です。
要するに、主人公は萌のお兄ちゃんにされることで、彼女の安眠を保障するぬいぐるみの役を仰せつかったというわけですが、実際、主人公の傍らでベッドに入った萌は、すぐにすやすやと寝てしまいました。それも、なぜか涙まで流して・・・。主人公は萌の寝顔を見つめて複雑な気分ですが、まあ、慕っていたかおるが、突然、自殺したのですからねぇ。萌のような多感な子には、相当なショックだったのでしょう。
そう思って、納得する主人公ですが、この話、思いがけない方向へと進展することになりました。翌日の調査で、非常に気になる証言が、いくつもとれたのです。江里子の話によると、萌は少女ながら、抜群の演技力を誇る天才女優なのだそうで、今度、若いながらも天才と言われている岩野が監督になって、彼女が主演する映画が公開されることになっているのです。それで、今、学園の隣りでは、その撮影の真っ最中なのですが、この映画に何と、かおるも出演していたというのですよ。おや?
それで、気になるこの映画なのですが、タイトルは「凍える夏」。そう言えば、去年NHKで似たようなタイトルのサスペンスドラマをやってたな、あれは「凍える息」だったか、「凍える冬」だったか?などと、妙なことが気になって、ネットで検索をかけてしまいましたが、この「凍える夏」、かおるの自殺でいったん撮影が中断されていたようですが、何でもかおるの出番は、すでにあらかた撮り終えていたとかで、撮影が再開されたのだとか。ふむふむ・・・。
で、肝心の映画の内容ですが、いわゆるサイコミステリーというやつで、ひとりの男を巡って、三人の姉妹が衝突。で、結果、恐るべき悲劇が幕を開けるというわけです。ちなみに萌の役柄は、三姉妹の末っ子。何だ、末っ子じゃ目立たないじゃん、というわけではなく、この萌は、一種の精神異常者という設定で、夢うつつのうちに、一番上の姉を屋上から突き落として殺してしまうのだとか。げげっ!
そして、その突き落とされて殺される長女の役ですが、もしかしなくても、かおるがやってたのです。つまり、萌は映画の中で、かおるを殺していたわけですが、主人公、それで、萌が怖い夢を見るようになったのか、と納得することになりました。つまり、映画の中でのシーンと、かおるとの自殺とが、心の中でごっちゃになっていて、それが夢という形で、現れているのでしょう。
ただ、どうも気になるのが、かおるの自殺を知らされた時の萌の態度。実はかおるは美人で優しかったため、学園中の生徒に慕われておりまして。彼女が死んだと聞かされた時、多くの生徒が泣いたのですが、かおるのことをあんなに慕っていたはずの萌だけは、全然泣かなかったというのです。これは意外を通り越して、不自然極まる話。萌って、そんなに冷たい子なのでしょうか?う〜ん・・・。
何だかこの映画の話、非常に気になるのですが、肝心の萌は、すっかり主人公に懐いてしまいまして。翌日に行われた自分の誕生日パーティでも、主人公に祝福されて、ご満悦です。こうしてニコニコ笑っている萌からは、何の悩みもうかがえませんが、彼女は彼女なりに悩んでいる様子。実際、「凍える夏」のメガホンをとる岩野は、かなり厳しい性格のようで、しかも、どういうわけか萌のことを気に入っていて、何かと一緒に居たがるのだそうです。萌自身は、岩野のことを快く思っていない様子で、パーティの最中、映画のことで話があるから来てくれ、と言われた時も、露骨に嫌な表情を浮かべております。こういう表情、萌は主人公に絶対見せないのですが、そういう意味では、主人公は間違いなく、彼女に気に入られているようですね。
それで、主人公は見かねて、萌に無理に行く必要は無いと言ってやったのです。当然、主人公は岩野からも、それに映画の相手役で、萌を口説こうとしていた篠崎からも睨まれてしまいましたが、萌は主人公の態度が嬉しかったようで、そのままパーティ会場を飛び出してしまいました。これでは、岩野の命令を無視した意味がありませんが(笑)、とにかく、主人公は萌を捜して、夜の学園を徘徊する羽目に。ここであちこち思い当たる場所へ移動したのですが、なかなか萌は見つからず、代わりに見つかったのが、最初の晩に萌が出くわしたあの不審な男でした。
それで、男と話した主人公ですが、この男、松浦という名前で、萌の熱烈なファンなのです。で、今現在は岩野の下で、助監督を務めているようですが、なんだかもじもじした男で、どうにも好感は持てそうにありません。ただ、なぜか岩野のことを嫌っていて、代わりに主人公には、協力的。今回、萌の居場所を主人公にだけ教えて、後から来た岩野には教えないというナイスなことをしてくれました。
おかげで、萌に会えた主人公ですが、萌は主人公に追いかけて来て欲しくて、わざと会場を飛び出した模様です。要するに、主人公の言葉が嬉しくて、二人っきりで話したい、と思ったようですね。
しかし、ただ行く必要は無いと言っただけで、何でそこまで感動してくれたのかと思えば、この萌、なまじ演技が上手いものだから、周囲から天才と呼ばれて、持ち上げられ、おかげで自由にさせてもらえないのが鬱陶しくて堪らなかった様子です。つまり、主人公のように、当たり前のことを言ってくれる人が、彼女の周囲にはおらず、皆、萌を天才少女という目でしか見てくれなかったわけですね。確かに、これは嫌になるかも知れません。
それにしても、そこまで周囲の人々を惹きつける萌の演技ですが、一体、どれほどのものなのでしょう?そう疑問に思った主人公は、萌の演技を見たくなりまして。萌はお兄ちゃんになら見せてあげる、と喜んで例の映画の一場面を、主人公を相手役の男に見立てて演じてくれました。こういう場合、他のゲームですと、ヒロインと相手役とのキスシーンがあったりして、それで、二人が台本通りキスしてラブラブになったりするものなのです。これで、主人公もますます萌といい関係になれるというものですよね(笑)。
と、思ったのですが、この後のシーン、そんな甘い期待感を吹き飛ばすような陰惨な代物でした。萌の役どころは男への愛情のために、自分では気づかないうちに発狂し、殺人まで犯してしまう異常者。しかも演じた場面というのが、狂った萌が、自分と別れようとした相手役の男にナイフを突き立てる場面だったのです。おかげで、萌は発狂した女になりきりまして。主人公は普段の萌からは想像すら出来ない、鬼気迫る表情に震え上がることになりました。ふう・・・。
まあ、役になりきるというのは、演技する上で大切なことですので、こうなるのは当然です。ところが、これには続きがあって、何と萌はナイフの代わりに持っていたブローチか何かで、本当に主人公を刺してしまったのですよ。主人公はびっくりして声を上げ、それで、萌も正気に戻ったのですが、彼女、自分が今主人公に何をしたのか、全然、覚えていないようなのです。何と言うか、彼女の場合、いったん役になりきると、その役を演じることだけに夢中になって、他のことは忘れてしまうのだとか。う〜む・・・。
もっとも、主人公も少し痛かっただけで、別に怪我などはしなかったのですが、にしても、この萌の行動、気になるどころの話じゃないですよね。いったん役になりきると、相手を本当に刺してしまうところまで没入する萌・・・。確かにこれは天才の成せる技でしょうが、映画でのかおると現実でのかおるとが、全く同じ死に方をしているという事実は、極めて重大です。どうも、この萌って子、大丈夫なんでしょうか?どこか本当に狂ってなきゃいいんですけど・・・。
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