この「BITTERSWEET FOOLS」という作品は、PCではまずまずの評価を受けた作品です。コンシューマーの方では他の移植作品と同様、別に話題になることもありませんでしたが、これは移植作品のほぼ全てについて言えることですね。
それで、この「BITTERSWEET」ですが、とにかく異色としか言いようのない作品です。物語の舞台がイタリアのフィレンツェと言う、ギャルゲーにはおよそ似つかわしくない場所に設定されているばかりか、物語の内容もよくある恋愛ドラマではなく、非合法の稼業で生きる男達と、彼らに関わることになったヒロイン達との人間ドラマになっています。さらにゲームのシステムも明確に主人公と呼べる存在が不在で、プレーヤーは純粋に物語を観るだけの存在とされており、当然選択肢によるエンディング分岐と言う概念もほとんど無く、かと言って通常のこの種の作品でよくあるように、全く観てるだけで終わってしまうのではなく、選択肢によって主として前半から中盤の話が分岐すると言う、何だかよくわからないシステムですね。
そして、こうした毛色の変わった部分が、ゲームにどのような効果を及ぼしているのか、と言う話ですが、この「BITTERSWEET」に関しては、まずまず成功したと言っていいでしょう。無論、エンディング分岐も、そもそも攻略対象ヒロインと言う概念自体存在しない作品ですので、繰り返しのプレイには向きませんが、昨今は同様にゲーム性が希薄な作品も多く、こういった点が作品を評価する上で、致命的なほど悪影響をもたらすと言うわけではありません。
そして、こうした作品の場合、ゲームの評価を決める主たる要素は、絵柄とストーリーだけしかなくなるわけですが、この「BITTERSWEET」に関しては、絵柄はともかく、ストーリーに関してはまず問題の無い出来映えです。一章ごとに二つの物語が交互に語られ、それぞれが微妙に関連し合いつつ、話が先へ進んで行く構成は、それなりによく出来ていますし、その内容も非合法の稼業で生きる男達が、ふとしたきっかけで少女達と関わりあうことになって、結局、その世界から足を洗うことになると言う、言わば人間ドラマが中心になっています。これは単なる恋愛ドラマが中心になるギャルゲーにおいては異色のことで、それだけに多くのユーザーに新鮮な印象を与えてその興味を惹きつけ、先を見たくさせる効果はあったと言うべきでしょう。
無論、逆の言い方をすると、こうした異色の作品に魅力を感じられなかったユーザーからは、どうしようもない作品と評価されるか、そもそも相手にされなかった可能性も高いと言うことになりますが、何にせよこうした異色の作品と言うのも、たまにプレイする分には楽しめますし、それなりに強い印象も残ります。そういった意味では、この「BITTERSWEET」は十分にその存在価値を主張出来る作品であり、あってもなくても誰も気にしないような凡作が山と積まれたギャルゲーの世界においては、成功した作品であると言っていいでしょう。
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