さて、ここで話が変わって、今度はレーニエの方。前回エリチェ絡みで、何やらきな臭い話があったばかりですが、エリチェの方は幸い何とか追っ手から逃れられたらしく、パレルモ達の居る家へと戻って来ております。しかも、この男、なぜかユーンを連れていて、いつの間にか彼女の保護者みたいになっている始末・・・。察するに出血多量で気を失ったエリチェをユーンが救ったようなのですが、ユーン自身もワーニャの元から逃げたがっていたらしく、この出会いは彼女にとっても好都合だったみたいですね。

 というわけで、新たにユーンと言う家族が増えたパレルモ達ですが、無論、浮かれている場合ではありません。カサルが死ぬ前に教えてくれた情報はガセでも何でもなく、それどころか事態の進展は、パレルモ達の予想よりはるかに早かったのです。すでにパレルモ達の上司だったニコラは、対立する組織の連中に消されてしまったらしく、連絡がつかなくなっておりまして。このままではいつ何時パレルモ達も消されてしまうかわからない状況だったのでした。

 そして、この状況はレーニエを追うフランチェスカにとっても好ましいものではなく、彼女はセスに命じ、パレルモ達に警告を与えることに。事実、フランチェスカはどこで手に入れたのか、パレルモ達の敵の動きに関して正確な情報を持っており、連中が今日にでもパレルモ達を襲う手はずになっていることまでつき止めていたのです。まさか事態がそこまで切迫しているとは思っていなかったパレルモは、セスからの電話を聞いて慌てて脱出の準備を整えまして。間一髪、家に押し入って来た連中をブービートラップで吹き飛ばして、その隙に逃げ出すことに成功したのでした。

 こうして、すっかりお尋ね者になってしまったパレルモ達ですが、彼らもこのまま引っ込んでいるほど大人しくはありません。要は敵のボスであるルチアーノと呼ばれる男さえ始末してしまえば、万事OKなのです。パレルモはワーニャに連絡をとって、ルチアーノの居場所を突き止めるや、彼をさらって味方に引き渡すことに決め、そのための準備を開始することに。ちなみに、例えルチアーノを首尾よく始末出来たにせよ、その残党みたいな連中が残ることは確実で、つまりもう今までのようにフィレンツェで闇の便利屋稼業を営むのは不可能なのです。パレルモはその辺りのことを考慮したらしく、これを最後の仕事にして、皆解散することに決めました。

 それで、パレルモ達の最後の大仕事の顛末ですが、さすがに彼らは手際が良く、ボディガードを何人もはべらせていたルチアーノを巧みに拉致することに成功したのです。が、この仕事に関連してちょっとした失敗があり、警官に見咎められたレーニエが、皆とはぐれてしまうことに。レーニエは必死に警官から逃げたものの、所詮彼女の足では警官を振り切ることなど出来ず、あわや捕まってしまう、というその時、レーニエにとっては警官よりもはるかに始末の悪い連中、つまりフランチェスカとセスとが出現したのでした。

 というわけで、レーニエは警官に捕まることこそ免れたものの、代わりにフランチェスカに捕まってしまったのです。ちなみに、フランチェスカは自分の元を逃げ出したレーニエに腹を立てているようで、普段嫌味なほど冷静な彼女が、珍しく感情を露わにしている始末。彼女の話によると、どうもレーニエは、外の世界に出て人間と交わったりしてはいけなかったのに、外の世界に憧れるあまり、フランチェスカを裏切ってそんな真似をしてしまったようですね。

 ただ、フランチェスカもレーニエのたった一人の友人と言うだけあって、さすがにこのままレーニエをひきずって、無理矢理連れ帰ることだけは勘弁してくれました。代わりに、フランチェスカはレーニエに数日間の猶予期間を与えてくれて、つまりこの間にお世話になった人たち、特にパレルモにきちんと別れの挨拶を済ませなさい、と言うことのよう。冷たいような顔をして、結構いいところのある娘ですが、逆に言うとその猶予期間を過ぎたら最後、もうレーニエが何を言おうと委細構わず連れ帰るつもりのようですな。

 こうして、とうとう年貢の納め時になってしまったレーニエでしたが、どのみちパレルモ達は、今回の仕事が終わると同時に解散しますのでねぇ。ここらが潮時なのかも知れません。


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