さて、まずは「続初恋物語」の主人公神埼博也(デフォルト名。名前変更可能)からです。この主人公は他のギャルゲーの主人公に比べて、極めて特殊。実際、こういう主人公には、その後もあまり、お目にかかったことはありません。
無論、この「続初恋物語」というゲーム自体が、極めて特殊なゲームで(詳しくはこちらか、あるいはこちらからどうぞ)その主人公もまた、特殊な存在になるのは、ある意味で当然です。ただ、ここで論じたいのは、この主人公が、小学生時代から始めて大学生時代までそれぞれ別に存在したということでも無ければ、修学旅行中にホテルでひたすら自分を鍛えるという、もう笑うしかない馬鹿げた育成をしているということでもありません。重要なのは、この主人公が、世にも稀な完璧人間だということです。
これまで、ギャルゲーの主人公について論じて来て、彼らにはどうもモテる要素は無い、と結論したわけですが、この神崎という人物だけは、激しく例外。彼はかなりの美形で、ハンサムとまではいかずとも、それに近い顔立ちです。しかも成績優秀で運動神経も抜群。これらはゲーム中に明らかになるというのではなく、もうマニュアルにはっきりそう書かれてあり、つまり、この神崎だけは、最初から女の子にモテて当然の完璧男として、ゲームに登場するわけですね。
そして、この神崎が完璧なのは、単に容姿と成績だけではありません。この男は美術の才能があって、絵を描かせれば、プロの絵付け職人から、その下絵を譲って欲しい、と頼まれるくらい、優れたセンスを発揮します。さらに性格は優しく、それでいて正義感が強くて、勇敢。何人もの不良を相手にして、喧嘩すれば負けることがわかっていても、連中に絡まれた子を救うために、恐れることなく立ち向かって行くくらいですから、これは大したものですな。
そんな完璧人間である神埼ですが、では一体、何故、この人物だけ、他のギャルゲーの主人公の平均像を大きく上回る、優れたポテンシャルを持っているのか、ということです。普通に考えれば、主人公をこんな完璧人間にする必要は無く、他のゲームと同様、適当なぐうたら男にしてしまっても構わないはず。それなのに、何故・・・?その理由となるのが、この「続初恋物語」のメインヒロイン高瀬祐花の存在でしょう。
この祐花という子に関しては、上記のリンクで調べてもらえれば、おおよそのことはわかって頂けると思いますが、とにかく、子供の頃からずっと神埼のことを想い続けていて、そして、大学生の終わりになって、やっと告白し、結ばれるという子なのです。このゲームの主題のひとつが、大好きな神崎を他の子に譲って、彼を幸せにしてやり、自分はその陰でそっと涙にくれるという、祐花の健気さを描くということにありますので、彼女の存在感は、他のヒロインを圧して大きなもの。極論すれば、この「続初恋物語」という作品は、祐花ひとりのためにあるとまで言えるのですから。
そして、祐花の存在がそこまで大きい以上、当然、主人公たる神崎もその影響を被らないわけには行きません。彼は祐花がそこまでして想い続ける憧れの人なわけで、これがよそのゲームの主人公のように、授業中、居眠りばかりしていて、さらに部活動もしないようなぐうたら男では、いくら何でも変です。性格、容姿、成績、運動神経、芸術のセンス。それらを全て兼ね備えた完璧男だからこそ、祐花の憧れの人にふさわしいわけで、そうでなければ、彼と結ばれなかった祐花が
「まだ泣いちゃ駄目・・・。明日まで我慢しないと・・・」
と、健気に耐えてくれても、プレーヤーからは
(別にあんなぐうたら男、どうでもいいじゃん)
と、冷ややかに思われてしまう危険性が、出て来ますよね。
こうして、祐花という特殊なヒロインに合わせるために、この神崎という男は、非常に特殊な主人公になってしまいました。このような完璧男は、ギャルゲーの主人公の中には、まず居ませんが、それもゲームの設定が特殊なものであったことを思えば、当然。これは滅多にない例外でしょう。
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