特殊な設定の主人公と言えば、「Lの季節」(この作品の詳細に関しては、こちらか、こちらを参照して下さい)の二人も忘れるわけには行きません。この二人、何が特殊と言って、よりにもよって世界の創造主だったという、とんでもない落ちのつく主人公なのです。

 通常、ギャルゲーの主人公には、これと言って、人に自慢出来るほどの特技はありません。無論、何らかの敵と戦うことを義務づけられている主人公の場合、自身も超能力を持っていたり、剣の達人だったりするわけですが、これはそうでないと敵との戦いが出来ないのですから、当然の話。「Lの季節」の二人が特殊だったのは、当初、敵と戦うことを義務づけられておらず、そのような雰囲気の物語になる気配すら無かったのに、ラスト近くになって、この世界は、この男から生まれたものだという、とんでもない説明が、為されたところです。

 これはギャルゲーの主人公の設定としては、他に例を見ない特殊なものと言えるでしょう。まして、普通に学園生活を送っていた主人公が、実は世界を作った創造主、つまり、神の生まれ変わりだったことが判明した作品など、他に聞いたことがありません。これは意外を通り越して、まさに想像もつかない設定ですね。

 では、この二人が何故、こんな凄い設定の主人公になってしまったのか、ということですが、これはゲームの流れから説明することが出来ます。この「Lの季節」は、現実界と幻想界とに分かれているのですが、どちらの世界に関しても、主人公はこれといって特殊な技能を持っておりません。もっとも、幻想界の桐生の方は、バンドをやっていて、それなりに人気があったりするのですが、いずれにせよ、世界を守るために邪悪な何かと戦うことが出来るほどの技能は、持ち合わせていないのです。このため、彼らの周辺で発生する怪事件に対して、二人とも全く有効な対応が出来ません。そして、二人がどうしていいかわからず、苦悩するところへ、心優しいヒロイン達が、何かと絡んでいくというわけなのです。

 つまり、怪事件が主人公とヒロインとの心を結ぶ架け橋の役割を果たすわけで、ここでもし、主人公が何らかの力を発揮して、独力で事件を解決してしまっては、せっかくのヒロインの存在が、宙に浮いてしまいます。ヒロインが、頼りない主人公を助けたり、あるいは自分の弱い部分を、主人公に助けられたりしているうちに、二人の絆が深まって、そして、互いに想い合うようになるのですから・・・。

 ただ、この「Lの季節」の場合、このまま主人公が何の力も無い一高校生で終わってもらっては困るのです。というのも、ラストになって、世界の破滅を目論む巨大な敵が、出現するのですが、その敵との戦いにおいて、主人公が何の役割も果たさないまま終わってしまっては、どうにも物語の格好がつきません。ここは、何とかして主人公にも頑張ってもらなわくてはならず、それには主人公に特殊な力が必要になるというわけですね。

 そして、相手が世界の破滅を狙うほどの大物である以上、主人公の力も世界を救えるほど強大なものになる必要が、あるわけです。と、なれば実は主人公は超能力を持っていました程度では、到底、追いつかない。ここは極めつけの強大な力、そう、世界を創造するほどの力が必要だということになりますな。

 こうして、「Lの季節」のダブル主人公は、いずれも世界の創造主だったという、とんでもない存在にされてしまいました。もっとも、この二人の力は、どちらも同じではなく、ヒロインが強力な魔法を使って戦ってくれた幻想界の方では、単に事件の後始末をしただけですが、世界観の都合上、そこまでヒロインに大きな力を持たせることの出来なかった現実界の方では、ほとんど独力で、敵を吹き飛ばし、且つ事件の後始末もすることになっておりました。無論、世界の創造主にふさわしい力を発揮したのは、後者の方ですが、いずれにせよ、このような特殊な設定の主人公は、滅多に居るものではないでしょう。


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