山形県
全国的に名の知れた蔵元で近年糖類添加廃止の動きも出てきた(「出羽桜」「竹の露」など)が、まだまだ糖類添加商品も多い。
加茂川
2005年1月、長井市を訪ねてきた。余談だが私の父方のご先祖様は長井(あるいは隣の白鷹町:聞かされた記憶が曖昧)の出だそうな。
スーパーには地元ならではのマイナー蔵元の酒も多数並んでいたが、普通酒は糖類添加の商品が主流のようだ。そんな中で異彩を放っているのが白鷹町の「加茂川」、壜入りの普通酒はもちろん、紙パックにいたるまで無糖加である。
カップ酒は2種類、本醸造と普通酒(アルコール分14〜15度)のものがあった。私は後者を購入、189円。
早速帰りの山形新幹線の中で呑む。
度数が少し低い分の薄さはたしかに感じるが、雑味もなくすいすい飲める。辛口に利けるので、もう少し甘味があるほうがよいかは好みの問題だろう。しかし、こうして車内で飲むには好適、佳い酒だと思う。
画像だと少し見づらいが、カップの図柄も素敵、「出羽の里 素朴な里の純なサケ」のキャッチや(山形鉄道フラワー長井線の車内広告にも同様のコピーあり)カップ裏側に記された「水ぬるむ白鷹の里 馥郁と 加茂川の酒 今宵も酌まん」の歌も実にいい。
東の麓
南陽市、JR赤湯駅の売店で購入。ちなみに南陽市の市街地は赤湯駅からは離れており、駅の近くには基本的に何もない。
さて、「東の麓」といえばよく知れた銘柄、普通酒も無糖加だと、懇意にさせていただいている方からかねてより情報いただいていたので、早く手にしたいと思っていた。
ところでこのカップ、ちょっと異色である。
最初見たときは一瞬、にごり酒だと思った。全体に白いから。しかし近付いて手に取ってみるに、容器が磁器製であって、中身はどうやら清酒である(見えないからわからないが)ことがわかった。そして価格、510円。フタには特定名称表示はされていないから仮に上撰普通酒とすれば、ガラス容器入りだと大体220円くらい、すなわち容器代が約290円ということになる。この磁器にそれだけの価値があるものなのかは私の目には全然わからないが、いずれにせよ普段飲みできるカップ酒ではなく、持ち帰って飲んだ後もどこかに飾っておくか、愛する人への土産にするかのどちらかだろう。ちなみにカップには南陽市内の日本三熊野・熊野大社の神楽舞のイラスト(2種類)が描かれていて、デザイン的にはすこぶる良い。
フタを開ける。やはり清酒だった。味については、↑の「加茂川」を普通の濃さにした感じで、やはりすっきり辛口タイプである。雑味を感じないのはさすがというべきで、磁器の場合おそらくガラスよりも遮光特性に優れているだろう。
羽陽男山
村山市内(「十四代」のお膝元ね)のコンビニで購入。税込で200円。
山形市のど真ん中に蔵を構える男山酒造。ここも結構大手だが三増は造っていない。『紅花カップ』と銘打った、洒落たラベルのカップ酒である。
味なんだが、冷やで飲んでみたところ少し独特の苦味を感じたので燗をつけてみたら飲みやすくなった。一口に普通酒といっても温度によって味わいが変わるのである。
ここの酒は山形市内ならどこでも手に入るので、買ってみて損はないと思いますよ。

三重県四日市市で発見した「オトコヤマカップ」。中身は「紅花カップ」と同じ?県外向け?
栄冠菊勇
庄内地方、酒田の蔵元。酒田といえば県内最大手「初孫」のお膝元だが、「菊勇」も最近評価が高まってるような気がする。
しかし、すみません。これ現地で買ったものではないです。都内大田区の古めかしい酒屋の店頭に自販機を発見、ゲットしたもの。200円という値段は良心的である。
飲んだ当時の印象としては、若干雑味を感じた。
初孫 マイカップ
先述のとおり県内最大手。にもかかわらず最安価の商品に至るまできちんとしたものを出しているのが素晴らしい。お隣秋田県にここのような考えをもった蔵元が現れないものかといつも思う。おそらく「初孫」の存在が周囲の蔵元に与える無言のプレッシャーは大きいのではないか。なぜなら同じ庄内地方でも鶴岡周辺の蔵元はまだ三増酒を出しているところが多いのに、酒田周辺には「麓井」は「初孫」社長の実家だから当然としても「菊勇」や「東北泉」など、三増酒を造っていない蔵元が多数存在するから。
さて、最大手ゆえ「初孫」のカップ酒は酒田市内なら99%の酒屋で入手可能だろう。いたずらに200mlにしないところもいい。値段は税抜きだと184円。
「初孫」といえば生もと、生もとといえば燗がいい。常温でもひとくち飲んでみたが、生もとや山廃の酒独特の癖がちょっとあるように感じた。そこで燗をつけてみたところ、その癖はすっと引っ込んだ。逆に個性がなさすぎるかなと最初は思ったのだが、2口、3口と飲んでいくうちに味わいが深まって行く。つまりいくらでも飲める酒。危険である。いい意味で。
東北泉
今や関東にも名をとどろかす、山形屈指の名酒。既に全量特定名称酒にシフトしている。蔵元のある遊佐町吹浦という地区は本当にこじんまりとした集落で、酒屋も数軒点在しているだけなのだが、地元での「東北泉」取扱い率は100%といってよい。最近人気の出た蔵元の中には首都圏への商品出荷に追われて地元で探しても見つからないなんてこともあるが(山形にもあったなあ)ここはそんなことない。地酒の鑑といえる。
で、果たして「東北泉」がカップ酒など造っているかなあと訝りつつ地元を探したが見つからず。まあ仕方ないかと思い酒田駅からほど近い頭文字がDで始まる大手スーパーの酒売場を覗くと、おお、あるじゃないか。僕これまで日本各地の頭文字がDで始まる大手スーパーを見てきているけれど、地元の酒をきちんと扱っている店舗は皆無に近かったので、どうせ頭文字がDで始まる大手スーパーには地元のカップ酒などありゃあしないと思い込んでいた。思い込みはいけませんね。ごめんよ、頭文字がDで始まる大手スーパー(しつこいな)。
このカップ、酒田市内の名所が刷り込まれている。思うに酒田市内限定販売のカップ酒なのではないか。税抜き200円。容器のどこにも表示されていないが「東北泉」は全量特定名称酒のはずだから本醸造なのだろう。
さて、僕はこれまでずいぶんとカップ酒を飲んできたけれど、久々に感動した。本当に旨いんである。実はこのカップ酒を飲む前に同じく「東北泉」の大吟醸なぞ飲んでいたのだが(これも旨い)味が全然負けない。ほどよい甘味が心地よく、後口もとてもいい。本醸造であることを考えてもこれは旨すぎる。
「東北泉」の本醸造自体は首都圏でも飲める機会はあるのでこの味は体験できるだろうが、それをカップ酒で味わえるというのが旅の醍醐味だろう。
☆「東北泉」4態(地元の酒屋の看板+蔵元前の側溝をまたぐ橋(酒銘入り)
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