富山県
 最大手の「立山」が糖類添加を止めた現在、普通酒の質の高さにおいては全国屈指の県になった感もある。佳撰クラスの酒はアルコール分を下げているものが多いが、冷やでは薄さが感じられるものの温めるとふくよかに燗上がりする傾向が強い印象を受けた。
 県内蔵元数は少ないが、全国的知名度の低い蔵に思わぬ逸品が隠れている可能性も高そうだ。最近「勝駒」ばかりが注目を集めているが、他の小さな蔵の酒も是非飲んでみてください。

皇国晴 特上生一本
 昨今のカップ酒ブームによって、スーパーマーケットなどで地域外の思わぬカップと出会う機会も増えた。私が仕事場にしている小田原市のアパートからいちばん近いところにあるスーパー・相鉄ローゼンで最近扱うようになったのが黒部市生地・皇国晴酒造の「生一本」カップ。富山県外では「幻の瀧」銘でよく知られる蔵元であるが、地元で愛飲されている銘柄はあくまで「生一本」。なのに、蔵元公式サイトの商品案内ページでは「生一本」ブランドの紹介は一切無し。ちと残念である。
 さて、スーパーには2種類の「生一本」が置かれていた。ここで紹介するのが「特上」(230円)、もうひとつがたしか「特別本醸造」と表示されていたと思う(260円)。値段から考えて「特上」のほうも本醸造であろう。私数年前の暮れ、冷たい雨の中生地周辺を徘徊してここの蔵元のカップ酒を捜すも、ついに発見することができなかった。おそらく捜し方が下手だったのに違いないが、こうしてあっさりご近所のスーパーで発見できてしまったのも、やや拍子抜けではある。
 海沿いの蔵元の酒ゆえ、淡麗タイプの味を想像していたが大はずれ、結構な濃醇タイプであった。ただし非常にキレがよく、すいすい喉を通っていった。(2005.12.18記)



銀盤
 県内(少なくとも富山市周辺)ではどこの酒屋にもデパートにもスーパーにもコンビニにもキオスクにも必ず置いてある超マストアイテム。へたすりゃ県外でもみかけることがある。銀盤といえば生産量が多いうえに値段が安いときているが、早くから低価格高品質の品を出しているという点は大いに評価されるべきだろう。
 とにかく200ml入りで本醸造でアルコール分を下げてなくて値段が194円(税抜き)というのは安すぎる。この下にマイルドカップとかいう、アルコール分を下げた普通酒があるのだが、これなんか200ml入りで170円(160円だったかもしれぬ)である。他県では紙カップの三増酒に付ける値段である。
 こんなに安いんだから味のことをとやかくいうのもなんだが、まあ平均的な本醸造の味、といったところか。(2000.1.6記)




銀盤本醸造 富山湾の深層水仕込み
 2004年7月に富山駅併設のコンビニで発見した商品。本醸造でアルコール度数下げてないということは、↑の後継商品なのだろうか。ラベルには「深層水使用率50%以上」と書かれている。全国的にも海洋深層水を使用した日本酒というのが散見されるけれど、「銀盤」といえば名水の里・黒部市の酒である。深層水に頼らなくてはならないほど水が不足しているのか、はたまた“深層水仕込み”で他社との差別化を図ろうというのだろうか。
 とにかく、飲んでみる。うーん、苦い。本醸造クラスの酒に時折みられることなのだが、旨味よりも苦味が勝ってしまっている感がある。それが深層水仕込みのせいなのかは無論わからないのだけれど。
 正直、飲み手の勝手な気持ちからすると、別に水の純度などそんな高くなくてもいい、極論すると“深層水仕込み”よりも“蔵元の裏山の川の水仕込み”のほうにはるかに魅力を感じてしまうものである。(2004.7.10記)







米焼酎 銀
 その「銀盤」の米焼酎。地元でなく我が地元、平塚市内の酒屋の自販機でゲット(180円)。ちなみにその酒屋は「銀盤」がお気に入りで、他にも缶入りの大吟醸だとか紙パックとかのレアものも自販機で売っている。実はこの店、以前は4合瓶のとんでもない商品を自販機でがんがん売りまくっていて―思い出しただけでも「鷹勇」の純米、「るみ子の酒」、「神亀」の冷やおろし、「三井の寿」の純米など―個人的にたいへんお世話になったのだが最近これはやめてしまった。残念至極である。
 さて、米焼酎は割らずに燗つけて飲め、というのを個人的に決まりごととしているのでそうして飲んでみたんだが…うーん、なんか物足りねえ。米の旨みとアルコールが分離してしまっているというか、やはり球磨焼酎の出来のいいやつなんかと比べるとちょっといまいちかな。これはたぶん冷やして飲む方が旨い。(2000.1.6記)
※2003年現在、カップのデザインが一新されている(「焼酎」と大書されていた)。中身はたぶん以前の「銀」と同一だろう。



鷹泉
 富山市から私鉄(富山地方鉄道の郊外線)に乗って20分ほど、上市駅で下車して駅のすぐ近くにある酒店で発見したカップ酒。200円で三増でないということは、恐らく三増酒は造ってないと推測される。
 鷹泉の看板を掲げた酒屋が富山市街のど真ん中にあったので地元ではそれなりに知れた銘柄なのかも知れないが、全国的にはまったく無名である。
 このカップ酒だけですべてを判断するのは危険だが、やはりちょっと泥臭いというか、県内の有名な蔵元に伍すにはもう一息かな、という印象は受ける。(2000.1.7記)











銀嶺立山 普通酒
 富山県最大のメーカーかつ銘酒の誉れ高き蔵元。が、これまで酉印(いわゆる佳撰クラスの富山県独特の呼称。ステキ)に糖類が添加されてたため個人的に手を出すことはなかった。それがついに糖類添加を廃止の報を耳にし、今夏(2002年)駆けつけた次第。ま、駆けつけるまでもなく富山県内では最も入手しやすいカップ酒である。
 カップ酒は200ml入り、酉印ではなく普通酒と表記されている。たしかほとんど同じデザインの本醸造もあるはずで、ラベルをよーく見ないと区別がつかないというのは改善の余地があろう。値段は容量考えてもちょっとお高めの235円(くらい)。
 さて、では値段に見合った旨さかというと、これがなあ・・・最近糖類添加を止めた銘柄、例えば高知の「司牡丹」や「土佐鶴」の最安価アイテムを飲んだ時にも感じたのだが、糖類添加は止めたもののまだこのクラスの酒造りの技術が確立されていないのではないかとの思いがした。つまりもう一息の印象。(2002.9.7記)









シルバー若鶴 玄
 こちらもかなりの大手。手に入りやすさでは「立山」「銀盤」に引けをとらない。
 今回紹介する辛口「玄」はその手に入りやすいアイテムだが、実はここのカップ酒にはもうひとつ、甘口のやつが存在する。ただし一般の店には置いてない。売ってるのは高岡駅構内の、例の「ますのすし」でお馴染みの駅弁屋。僕が店のおばちゃんに『若鶴のカップ酒ください』と言ったら『甘口と辛口、どちらにしますかぁ?』と訊かれた。どうやら甘口の方はこの駅弁屋のPBらしい。で、ハードボイルドなカップ酒飲みを目指す僕は(嘘)迷わず辛口をチョイスしてしまった、が後でちょっと後悔。
 この「玄」、これまた200ml入りで税込210円。値段は悪くないがアルコール分14〜15度。若干不安がよぎる。
 不安的中。薄い。ポイントは辛口ってとこだろう。薄くて辛いって、バランス悪くなるんだよね。今度は甘口飲んでみよう。(2002.9.7記)
※2003年現在、本醸造規格となっている。






若鶴蔵仕込 富山ますのすし
 2003年暮れ、前年未飲に終わった「若鶴」の甘口の方を飲んでみた。購入はもちろん駅弁屋「源」、富山駅の売店で。余談だが名駅弁屋の誉れ高い「源」は全国の他の大手駅弁屋同様、総合外食産業兼土産店の様相を呈しており、富山駅の立ち食い「立山そば」はやたら評判が高いし、おみやげに買って帰った、ぶりのかまを甘く煮つけたやつは絶品であった。
 さて、ラベルをご覧いただければおわかりのとおり、これは完全に「源」のオリジナル商品。「蔵仕込」は「若鶴」の佳撰クラスの普通酒の銘柄なので、内容は同一と考えていいだろう。200ml入りでアルコール度数はもちろん?14〜15度。
 さて、これも上記「玄」同様、常温で飲むと薄さが感じられた。しかし燗をつけるとなかなかいい感じに甘味が乗ってくる。何かつまみながら、燗で飲むのがベストと思う。
 またまた余談だけど、「源」で売られている駅弁「居酒屋弁当」は1000円を切る価格で豊富な肴を楽しめ、小さいけどますのすしもついてくる。酒飲みにはお高いますのすし・ぶりのすしよりも絶対こっちがおすすめである。(2004.1.6記)





成政 IOX−AROSA
 高岡から五箇山方面に向かう。途中砺波市までは完全に「立山」「若鶴」の天下である(お膝元だから当然といえば当然)。ところが福光までくると様相が一変、あれほど県内に勢力を誇る両者の影は薄くなる。かわって酒屋の棚を飾る日本酒はほぼ「成政」一色となる、というのはちと大袈裟だろうが、地域密着度という点においては県内でも屈指の蔵元であることは間違いない。無論全国的にも成政トラスト%凾フ取り組みで有名、ホームページもとても素敵です。
 そんな「成政」だから、カップ酒も簡単に手に入る。JR福光駅前のスーパー(Aコープ系)にも置いてあるし、町内のコンビニにもあった。ちなみに僕は駅から30分ほど歩いたところにある道の駅「なんと一福茶屋」で購入。冷やして売られていて税込200円。これも県内の普通酒カップ酒の主流と同様、アルコール分14〜15度で200ml入りである。
 それにしてもこのラベル、デザインがポップで素晴らしい。そもそも「IOX−AROSA」で何のことだか最初わからなかったのだが、これ地元のスキー場なのですね。なるほど、IOXてのは医王山のことか。なおこのカップ酒、別にスキー場や観光施設限定で売られているわけでなく、スーパーやコンビニで売ってるカップ酒もこれである。
 さて、「成政」は基本的に山の酒だから、肴も山のものがいいと思う。たまたまお隣福野町産のどじょうの蒲焼が手に入ったので合わせてみたが、どじょうの臭みを酒の味がうまく消してくれて結構だった。冷やでもいいが、燗をつけるとなおいい。(2004.1.6記)




若駒
 木彫りの里≠ニして知られる井波町は鉄道が通わないためか(以前は加越能鉄道加越線が石動―福野―庄川町を結んでいた。昭和47年廃止)落ち着いた佇まいを今も残している。僕が訪ねた日はかなりの量の雪が降っていたが、しんとした静けさを一層際立たせ、実にいい雰囲気だった。
 そんな井波町の目抜き通り、八日町通りに風格のある店を構えるのが(名)若駒酒造場。ここの蔵元さんの苗字は清都さんというのだけれど、清都といえば高岡の「勝駒」の蔵元さんも清都、あと同じ高岡市の「勝鬨」も清都さんである。珍しい姓だが親戚筋なのだろうか?若駒―勝駒―勝鬨と銘柄も似通ってるし。
 さて、このカップ酒も道の駅「木彫りの里」で購入。税込250円。ラベルに何の表示もなかったので普通酒かと思っていたのだが、改めて蔵元のホームページ拝見したら本醸造のようだ。250円ということはたぶん上撰だろう。ちなみにHPによると酉印も本醸造規格のようである。廉価できちんとした酒を出している知られざる蔵元がまだまだあるんだなぁ。
 そして、アルコール1度の差は大きいようだ。これまで飲んできた富山のカップ酒に比べて明らかに濃厚さを感じる。これなら無理に燗つけなくても常温でもいい感じである。これもどじょうとの相性はバッチリであった。(2004.1.6記)



有磯 曙
 キトキトの魚でおなじみの氷見市にも地酒がある。高沢酒造場、会社組織になっていないようだ。
 さて、これも道の駅でゲットです。漁港・氷見の道の駅は福光や井波とは格が違い、観光客がひっきりなしに車で乗りつけて寒ブリやらズワイガニやらを買い求めていた。僕はといえば氷見うどんとカップ酒を購入したのだが、レシートもらわなかったのでその時は値段わからず。後で計算してみたら270円くらいだぞ。みやげ物屋でも道の駅系はプレミアつけないのが一般的なんだけどね。まぁ繁盛店は往々にしてこういうことになる。
 このカップ酒、これまで飲んできた富山のカップ酒とはちょっと違う。まずキャップの表記が佳撰≠ニなっている。富山だと酉印≠ェ一般的なんだけどね。あと、アルコール度数14〜15度は他と同じだがサイズが180ml。ちょっと割高感あり。
 しかし、味は抜群であった。この度数だと薄さを感じることが多いのだがこれは非常に旨味が乗っており、冷やでもたいへん旨い。「若鶴」「成政」「若駒」等の山の酒≠ニはタイプが異なるように感じるのは気のせいか。(2004.1.6記)










カップ酒ギャラリーに戻る