智恵袋
―(資)相田酒造店―

※2004年現在、休造中


■城下町には日本酒が似合う
 本ページでトップを飾るのは当然、我が家からいちばん近いところにある蔵元と決めていた。で、これまでは大井町の「曽我の誉」だとばかり思いこんでたのだが、うーん、どうもこちら小田原の「智恵袋」の方が微妙に近そうだ。そこでJRの営業キロを調べてみると我が最寄駅の二宮から「曽我の誉」の最寄駅である上大井まで11.1kmで小田原までが10.8km、よって300メートル差でトップは「智恵袋」に決定!
 さて、小田原である。一応国民誰でも知ってる有名城下町&宿場町。やはり城下町には日本酒の蔵元が1つくらいないと格好つかない。幸い、ひとつだけある。相田酒造店。正式な創業は明治22年だが、江戸時代より酒造りは行っていたようだ。蔵元の持論酒はたのしむべし=B

■木久蔵錦絵吟醸&横浜の星
 さて、4年近く前になるが、こんな酒を飲んだ。「智恵袋 木久蔵錦絵吟醸」生貯蔵酒。誰かからのもらいものだった。ラベル裏にはこんなことが書いてある。

 ええ、そうなんです。この色あざやかな錦絵は、あのNTV「笑点」でお馴染みの人気落語家、林家木久蔵師匠が描かれたものなんです。この絵のあまりの綺麗さ楽しさに、「酒はたのしむべし」と常日頃「楽酒」を求める私にとって、もはや迷うことなく「是非に師匠の錦絵をこの酒に・・・」と無理を承知でお願いしましたところ、快諾を得ることができました。
 どうぞ、とことん楽しい「林家木久蔵流錦絵」をご覧いただきながら楽酒智恵袋をお召し上がりくださいませ。


 てなわけで、ラベルは楽しい。では味は楽しかったかといえば―これはあくまで4年前のインプレッションなので現在のここの吟醸酒がどうかはわからないが―これよりおいしい本醸造がたくさんありんすてな感じであった。
 その翌年、ここの酒が全国的に脚光を浴びることになる。かの横浜ベイスターズがセ・リーグ制覇、さらには日本一となってしまったとき、祝勝会場に置かれていた「横浜の星」という銘柄の酒樽を覚えておられる方も多いと思う。あれを出していたのがこの相田酒造店である。といっても別にベイスターズブームに便乗して発売した品ではない。もともとここの蔵元は横浜地区の酒販組合の手印酒を担当しているのである。正直横浜という場所、観光客がこぞって日本酒を買っていくというシチュエーションではないから日頃は苦戦していると想像できる。したがって、平成10年はここの蔵元にとって全国的に脚光を浴びた、栄光の年といえただろう。
 ここまで書いてきて、相田酒造店はどちらかといえばノベルティ酒に主力を置いていると思われる向きもあるだろう。それは一面正しい。もうひとついえば、ここは神奈川県西部の三増酒市場を中心で担っているともいえる。この2,3年、周辺の同志―「丹沢山」「曽我の誉」「箱根山」など―が高級酒志向に走り、三増酒の製造量を明らかに減らしている。しかし三増酒の需要は決して減っていない。ならばと男気=i?)を見せて、三増マーケットの維持に精を出している(?)ということか。
 もちろん高級酒造りにも邁進している。平成10年度(たしか)全国新酒鑑評会金賞受賞。





■飲んでみました
 さて、小田原駅の近くに「智恵袋」の三増カップ酒を売っているコンビニがあるのは以前から知っていた。ならば何か他のアイテム置いてないかな、と思い訪ねてみたところ、ありました。

小田原ちょうちん酒 本醸造原酒
 いかにも小田原の酒らしい、これもまたノベルティ商品である。小田原ちょうちん型の陶器入り。720ml入りで税抜き2,233円(その気になれば大吟醸が買える値段)というのは当ページの主旨からはやや外れている気もするが、まあ本醸造ということで許しておくれ。
 さっそく常温で飲んでみる。
 あの、一応白状しておきますが、最初全然期待していなかったのよ。原酒というのもなんだか胡散臭い印象持っていたし。ところが。
 これがなかなかいけるんである。
 まず色がいい。きれいな薄い山吹色。もし出荷時点からこの色だったのならたいしたものだが、おそらく違うだろう。出荷後3か月ほど常温(というか暖房のきいた店内)に置かれたことにより色がついたのではないだろうか。
 口に含んだ瞬間の甘味がいい。これが原酒のなせる業なんだろうか。一般に本醸造は味がきれい過ぎて面白みに欠けると感じられるケースがしばしばあるが、この品はアルコール分が高いことによりコクが上手く出ているようだ。
 喉越しはやや雑味が感じられるかな。常温に置かれていた影響かもしれない。いや、常温保管はこの酒にとって必ずしもマイナスであったとは言えない気もするぞ。出荷当時は荒かった酒質が適度(3か月というのはちょうどいいかもしれぬ)の常温保管により丸くなった可能性もある。従来日本酒は冷蔵管理するのが当然という考え方がされてきて、実際僕も常温で置かれている酒は(カップ酒は除いて)手を出さないようにしてきたのだが、吟醸酒や生酒は別として、そういう考えは改めたほうがいいのかもしれない。
 日を改め、燗をつけて飲んでみる。
 燗をつける場合は1.2倍に薄めることを蔵元は推奨していたのだが、まあ普段25度の米焼酎をそのまま燗つけて飲んでるのでそのままいってしまえ、と思ったのだが・・・うーん、匂いがきついし味も今ひとつかな(飲み進むうちに気にならなくなるが)。ここは蔵元の忠告にしたがったほうがいいかも。
 個人的には燗より常温向きと思った。いずれにせよ、昔ながらの飲み応えのある酒を好む人にはおすすめのアイテムです。おみそれしました。

智恵袋 純米
 小田原市内には「智恵袋」のアイテムを扱う店は多い。が普通の純米酒が案外置いてないんである。純米吟醸は結構あるのだけれど、もちろん常温保管で・・・。この、普通の酒より吟醸酒の方が市場で目立つのって地酒のあり方としては十分危険な状態である。
 そこで仕方ない、かつて訪れた際その中途半端さでもう二度と行くもんか≠ニ憤ったはずのロビンソン百貨店まで足を運ぶことにした。以前日記にも書いたがここの酒売場『ワールドリカーショップ』(もらったレシート見て初めてわかったのだが、ここはロビンソンの経営ではなくイトーヨーカドー系列の店であった。そういえばこの酒売場も入っているロビンソンの『食品館』の中にはヨーカドー系のファストフード店『ポッポ』もあるし、全体がヨーカドーの経営なのかも)県西部4銘柄「智恵袋」「箱根山」「曽我の誉」「白笹鼓」の廉価アイテムをよく揃えている。ただしすべて常温管理で。各アイテムとも他の店ではあまり見かけないボトルやラベルなので、この店の特注品かもしれない。500ml入りで税抜き570円。どうも日頃500ml入りボトルに馴染んでいないので、この値段が安いのか高いのか、もひとつピンとこない。でもたぶん安いのだろう。スペックはどこにも表示されていないが、たしか店のプライスカードには日本酒度+2と書かれていたと記憶する。
 さて、飲んでみました。常温・燗の両方で。まず相対的にいって、純米教信者のみなさんの舌を満足させるレベルには今一歩達していないかなと。常温だと最初の一口が雑味を感じるというか、もう一つ好印象を抱かない。でも飲み進めていくうちにほとんど気にならなくなるんだけれど。逆に燗をつけると最初の一口は雑味が隠れて飲みやすいのだが温度が下がるにつれてそれが頭をもたげるという感じかな。デリケートな純米ゆえ管理状態にも左右されるのだろうが、全体的にいまひとつといった印象。でも値段が安いし仕方ないかな。燗より常温向き。

 ロビンソン百貨店へはJR鴨宮駅からバスで(170円)。周辺道路はいつも大渋滞なので時間には余裕をもってね。




 本稿を書いて3年、小田原界隈の酒販事情もかなり変わってきた。
 小田原駅の橋上駅舎が完成し、改札口の外にそこそこ立派な土産店とオダキューOX(コンビニ)が並んでおり、どちらでも地域のお酒が買える。土産屋のほうは一応冷蔵庫内で、「智恵袋」「曽我の誉」「箱根山」をメインに3デシ〜4合瓶が置いてある。一方コンビニには(むしろこちらのほうが土産ぽいが)なんと「舞姿」や「酒田錦」の陶器入り商品、そして↓で紹介する「酒匂川」カップを扱っている。こちらは常温販売。
 鴨宮のロビンソン百貨店にはまともな酒売場ができた。思い返すに「ワールドリカーショップ」時代は日本酒の正式な免許がおりてなくて500mlのリサイクル瓶のみの扱いだったということなのだろう。こちらロビンソンの酒売場もかなりまともな日本酒が置かれるようになったが、季節毎の企画販売を常時行っているのは結構だが常温でポンと置かれているのが気になる。
 日本酒・ビールや蒸留酒類の売場のお隣には、かの静岡の「ヴィノスやまざき」の支店が君臨。ただし日本酒に関しては知らんぷりを決め込んでいる。
 あと全般的に、小田原あたりでは「丹沢山」を扱う街の酒屋が急増している感がある。ただし品揃えの中心は「丹沢の酒」と書かれた化粧箱に入った本醸造で、常温販売が多いのは気になるところだ。
 しかしとにもかくにも、この辺ではスーパーあたりでも神奈川の酒を結構扱うようになっているみたいで、めでたい話である。

酒匂川 上撰カップ
 小田原酒販協同組合の手印である「酒匂川」、最近上撰のカップ酒をスーパーやコンビニで見かけるようになった。醸造元は佳撰カップと同じく相田酒造店、こちらは無糖加である。私は小田原駅改札外のコンビニ「オダキューOX」で購入(1ヶ月前に出荷のもの)、225円だった。(ちなみに「酒匂川」の上撰1升瓶は現在も大井町の井上酒造が担当している)
 さて、まず常温でいただく。これは・・・ちょっと・・・泥臭いというか、かなりつらい。
 そこでちょっと熱めに燗つけてみたら、かなり良くなった。切れに欠けるのが難ではあるが、甘味が乗ってなかなかよろしい。淡麗タイプの好きな人にはお奨めできないが、冬の夜おでん屋台で熱燗・・・なんてシチュエーションには向くと思うよ。










■小田原観光案内
 小田原といえば箱根を前面に控えた観光都市。いうまでもなく江戸時代は旅人が箱根越えを前にして躰を休める一大宿場町であったわけだが、最近の旅人は箱根まで行って泊まるので宿泊施設はビジネスホテルが数件あるだけ。そのビジネスホテルも門限がどこも午前0時で、それを過ぎるとフロントも閉まってしまう。そこで0時を回るとベッドを確保できなかった人たちは一夜のねぐらとして小田原城址公園を目指す、それを狙ったオカマのみなさんも小田原城址公園を目指す、という話を以前地元タクシーの運ちゃんから聞いたことがある(観光地だからか、小田原の運ちゃんはよくしゃべるしみな親切である)。
 その小田原城址公園はまさに市民の憩いの場、お城マニア(天守閣は再建だが)はもちろん、動物マニアには人●しゾウとして一部でおなじみの梅子さんのいる動物園、テーマパークマニアにはすべての乗物が待ち時間なしの遊園地と、家族みなが満足できるスポットである。
 そしてギャンブルおやじには小田原競輪場がある。僕も元気だった数年前までは自宅から自転車でここの競輪場まで出陣したものだ。ただし丘の上にあるので最後の登りは結構こたえる。余談だが、前述の小田原城遊園地にはつい最近まで街を見上げる観覧車との異名をとる、ギネス級の小さな観覧車(カップルが乗っても何もできずに終わってしまう)があったのだが、ちょうど競輪場からこの観覧車がよく見え、競輪で熱くなってるところへ観覧車に乗った子供と目が合って気まずい思いをした、なんてこともある(大嘘)。もっとも今でも小田原城天守閣の望遠鏡から競輪客を覗く、不埒な連中がいるが。
 いずれにせよ、ここの競輪場は客の入りも結構いいし(選手に声援送る女性客の多さでは日本一かも)、食いものも旨いし(アジの天ぷらが好き)、お盆期間に毎年開催される記念競輪の時は入場時に団扇をくれるし(職場で愛用している。競輪とはどこにも書かれていないクールなデザインゆえ、仕事中にあおいでも安心なのさ)素敵なスポットである。競輪初心者にも好適。

 僕はそんな小田原市で2歳から4歳まで暮らし、市外に引っ越した後もなにかにつけ小田原には立ち寄っているので、この街のことはそれなりに知っている。観光都市ではあるが、生活するにも一応ひととおりのものはそろっているので不自由しない。もっとも、この街にもドーナツ化現象の波は押し寄せ、この1〜2年をとっても僕にとって子供の頃からずっと馴染みであった(屋上でよく遊んだ)志澤デパートがつぶれて温泉のデパートとでもいうべき『万葉の湯』に生まれ変わり(まったくの余談で恐縮ですが、市内いちばんの飲み屋街、宮小路にはマン用の湯があります・・・失礼しました)、ニチイ―ビブレもつぶれてアプリという名の複合ビルに生まれ変わり(タワレコやヴィレッジバンガードが入った)郊外にはロビンソン百貨店ができ・・・と動きは激しい。
 街に歴史があり、かつ漁港を擁するため、旨い食い物には事欠かない。老舗の「だるま」、大繁盛魚屋の2階で旨い魚が食える「魚国」、喫茶店なら「豆の樹」が風格ある。昨年あたり駅前通りにできたドトールはよく賑わっているが、店員の良し悪しの差が大きい。いい店員がいる日に行くと気分良く過ごせる。

 さて、観光ポイントとして飯泉観音こと、勝福寺を紹介しておこう。全国的には年末のだるま市の時だけ話題になるが、普段は境内でお母さんが子供を遊ばせている、きわめてほのぼのとしたスポットである。考えてみたらこのお寺、石段がないんですよね。すなわちバリアフリー。このあたりが地元の老若男女から愛されるゆえんだろう。タダで見れる文化財も多数あり。市街地からはちょっと離れているが、周囲の雰囲気はなかなか良いので、是非行ってみて。

いつみても仁王様の表情がいい、仁王門。小さいが歴史のある銅鐘。後ろの
石仏様もグッド。
USJもビックリ、素敵なデザインの
手水鉢。
本堂に向かって手を合わせているのは、
地元が生んだスーパーキッド、二宮金次郎。
何故か本堂横にベンツが停まっているのも
このお寺のきさくなところ。

※勝福寺:小田原駅から富士急バス新松田または下曽我駅行きで「飯泉観音前」下車





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