『The カップ酒 ベストセレクション900』について
2006年3月10日発売された標記ムック(発行:三推社/講談社)に、依頼を受けてコラムを執筆した。私としては比較的軽い気持ちで受けたものなのだが、なぜか巻末にEDITORIAL
CONTRIBUTOR≠ニクレジットされてしまっている。これでは責任の一端を負わねばなるまいと思う次第で、本書について簡単にご説明しておきたい。
全国のカップ酒がスーパーやコンビニで容易に入手可能になった今、カップ酒のカタログ本は是非必要であると、個人的には思っていた。ただし、雑誌等でよくあるように、掲載銘柄の取捨に何らかの思惑がはたらいている場合、そのカタログはかえって眉唾ものになりかねない。
昨年暮れに本ムックの編集氏から執筆依頼を受けた際に私がまず確認したのは、この点だった。編集氏の回答は、「カップ酒を出しているすべての蔵元のものを掲載することを目標としている」。とりあえずこれで私は安心して引き受けることにした。実際に出来上がった本を見ると掲載されていない蔵元も相当数あるようだが、まあ相手のあることだしやむを得まい。とにかくすべてのカップ酒を公平に扱っている(ただし、広告主の商品についてはそれなりに配慮されているようだ。私のコラムのページにも『新政』の写真がドンと載っていて一瞬「???」と思ったが、まあそういうことだろう)ことはご理解いただきたい。
本書のカップ酒カタログページには、大きな特徴が2点ある。
各商品についてスペックと簡単なレビューが書かれているわけだが、特筆すべきはすべての商品の「原材料名」が記載されていることである。つまり、当該商品の糖添の有無がわかるということだ。これまで幾多の日本酒カタログ本が世に出てきたが、普通酒における糖添の有無が確認できるものはほとんどなかったのではないだろうか。それをカップ酒本で実現したというのは、素晴らしいことと思う。
(誤解のないよう申し添えるが、私は決して「糖類添加のカップは買うな」などと申し上げるつもりはない。己の主義として糖添酒は極力口にしないようにしているし拙サイトのカップ酒ギャラリーでもその主義に則って商品掲載をしているが、それは個人のウェブサイトだから許されることであり、広く流通される出版物では可能な限りあらゆるアイテムを採り上げるべきだろう。むしろ、昨今のカップ酒ブームの背景にいろいろな銘柄を、少しずつ試したい≠ニいう要素が大きいことを鑑みるに、糖添による味の違いを比較するために少量安価なカップ酒を購入することは理にかなっていよう。)
ポイントをもう1点。各蔵元の商品レビューにおいて簡単な香り・味の評価がされているが、これは蔵元のコメントの受け売りではなく、ある方々がすべての商品を実際に試飲したうえで書かれている、ということだ(実は私も依頼を受けたのだが、的確なコメントをする自信がなかったので辞退申し上げた)。もちろん評価は絶対的なものではないから、自分が飲んで感じた評価と本書のレビューを比べてみるのも愉しいだろう。
全体的には当初意図されていた企画で実現できなかったものもあるようだし、突貫工事ゆえか一部酒銘にタイプミスも散見される。その点は残念であるが、上に挙げた特徴だけをとっても十分画期的であるし、なにより編集氏のカップ酒への愛着が感じられる、好ムックであると思う。
私自身、これだけ全国のカップ酒が広く流通されるようになり拙『ギャラリー』をどう展開させて行こうか悩んでいたところなのだが、今後は当ムックに載っていないアイテムを中心に採り上げて行けばいいかな、なんて考えている。
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