岡山県
 兵庫と広島という量産県に挟まれていながら独自のキャラを確立していると思う。
 なお、カップ酒も含めた岡山県の日本酒事情については、このblogを常時チェックすることによりほぼ把握することができる。私も頼りにしております。


諸白
 旧津山藩の御用酒屋も務めた、超老舗蔵元のカップ酒。津山市内では現在「加茂五葉」が幅をきかせているがこちらのカップ酒は糖類入り。この「諸白」のカップ酒の所在が確認できたのはこちらも老舗スーパー『マルイ』店内のみ。実はマニアが2年前(1998年)、出張で津山を訪れた際このカップ酒の存在を確認していたのだがその時は仕事だったので買わず、今回改めて買おうと思ったものの店の場所を忘れてしまって相当歩き回った末ようやく発見した。やれやれ。
 さて、こちらで特筆すべきはその値段。紙カップなのだがそれでも驚きの150円(税抜き)! 僕は全国でカップ酒を買ってるのでその相場はよくわかってるが、糖類の入ってないカップ酒にこんな値段ついているのをついぞ見たことがない。たとえ紙カップであっても180円くらいが妥当だろう。なんたる良心。津山という、中央の論理からほんの少し離れた場所で、かつ老舗の余裕から設定された価格なのだろうか。もちろん「加茂五葉」の糖添カップはもっと高い。
 味は濃醇。これは蔵元も認めていて、津山は山の幸中心の食生活なので酒の味も濃いものが好まれるそうだ。燗をつけると飲みやすくなる。いずれにせよ恐るべきコストパフォーマンスだ。

※このカップ酒、もう売ってないかも。2004年10月、津山市を再訪し(関東から日帰り、滞在時間57分・・・)件の「マルイ」をチェックしたところ、置いていなかった。ちなみに1升壜も佳撰は売ってなく、上撰に「レギュラー」と書かれた肩ラベルが貼られて売られていた。ということは、もしかしたら佳撰自体を廃止した可能性もあるかと。
ちなみに、上撰カップ(ガラス入り)は天満屋にあった。




御前酒
 勝山町の名門・辻本店の「御前酒」、かねてよりカップ酒の存在が気になっていた。
 津山市あたりをバスに乗っていて、小集落にポツンとある酒屋の店先に「御前酒」のカップ酒自販機を車窓から発見したもののバスはあっという間に通り過ぎ、指をくわえて見送った経験もあった。
 今回(2004年10月)津山駅近くのスーパー「イズミ」を物色していたら、佳撰のカップ酒を発見。岡山酒らしくこれも紙カップ、値段が、これもビックリ、165円(税込)! いやぁ、岡山のカップ酒は安い。中には糖類添加ものもあるけれど、「おつかれさん」とか「諸白」とか、錚々たる名蔵元が無糖加の旨いカップ酒を造るのだからたまらない。
 新幹線の中で、おにぎりを肴に飲む。
 蔵元の公式コメントによると、「御前酒」は瀬戸内の蔵元にみられる濃醇甘口でなく、すっきりとした辛口だそうだ。しかし、どうなのだろう。私にはここの酒も十分、甘く濃くきけるのだが。もちろん嫌な甘さではなく、とても飲み応えがある。酒に若干荒さを感じなくもないがそれもまた良し、165円という値段を考えれば文句なしに合格点である。
 よく、レギュラー酒に糖類を添加している蔵元の言い分として「地元の人の嗜好に合わせて濃醇甘口に」というのがあるが、岡山県には糖添せずに、なおかつこの値段でそういう酒を造る蔵元がたくさんあるのだ。他県の蔵元にとって、岡山酒から学ぶべきところは大きいのではないだろうか。




千寿
 瀬戸内のナポリと呼ばれている(らしい)牛窓の地に蔵を構える。清酒ベースのリキュールを造ったり、なかなか精力的な蔵元である。

←これだけカップ酒をフィーチャーした看板も珍しい。

充実したラインアップの自販機。→






 それにしてもこのカップのデザイン、古き良き時代を偲ばせるなあ。いまどき『日本酒で乾杯』なんてコピーを臆面もなく使ってくるのは凄い。
 味に関しては地味であったと記憶している。冷やでピンとこなかったので燗つけてみたが印象はあまり変わらなかった。決して不味いわけではないのだが。



燦然
 倉敷の美観地区をぶらついていて、商品が雑然と並べられている豪快な酒屋さんで売られていたカップ酒。ご覧のとおり旅情をかきたてられるデザインである。
 味については本醸造ゆえそれなりの味であった。普通酒も飲んでみたい。











賀茂緑
 品川の都バス車庫近くにある酒屋に「賀茂緑」の自販機があるのは前から気になっていた。以前純米酒を飲んで結構旨かった記憶があるので、紙カップなのが少し残念だったが期待して買ってみた(200円)。もともと三増酒は造っていないようで、このカップ酒にも『糖類、グルタミン酸等は一切使用しておりませんので心ゆくばかり日本酒本来の味と香りがご賞味頂けます』とあった。その心意気やよし、である。
 地元岡山で出版されている『岡山の酒』というムックでは「賀茂緑」の別撰(いわゆる佳撰クラス)のスペックが日本酒度−4、常温かぬる燗がお薦めとあったのでこれもぬる燗をつけてみたところ、燗つけている時からいい匂いがプーンと漂ってきた。口をつけてまたびっくり、これは本当に旨いです。辛口好みの方にはお薦めしませんが(といってもべたべたした甘さではないので辛口派の人でも案外いけるかも)よくできた甘口酒はかくも旨いものかと感動する。
※件の自販機は既に撤去されている。



嘉美心 おかやまカップ
 「嘉美心」といえば『私たちはお酒を作ることではメーカーですが・・・』の名コピーがラベルに書かれていることでおなじみ。なにせ紙パックにすら書かれている。当然三増酒など造っていない。
 ところが、このカップ酒には上記コピーは書かれていない。だからといって雑な造りではないのだがちょっと残念。
 このカップ酒自体は岡山市周辺ではそこそ出回ってるみたい。さしあたり岡山会館地下のスーパーが入手しやすい。200ml(アルコール分14〜15度)で税抜き190円
 ここの蔵元はどちらかというと低アルコール主義である。低アルコール商品には時折味わいのうすいものがあるので個人的にはあまり積極的には手を出したくない。本品を飲む前も少し危惧したのだが、いらぬ心配だった。とにかく旨い。蔵元は旨口を標榜しているがやはり甘口だな。でもべたべたせず本当にいい気分になる。名品です。














歓の泉 おつかれさん
 岡山酒の中でも銘酒の誉れ高い銘柄であるが、2年くらい前までカップ酒は糖類添加だった。前回現地チェックしたのがたしか1999年の秋だったと思う。玉野競輪場への途中、JR茶屋町駅前の酒屋の自販機で売られていたものがそうだった。ところがこのたび、「歓の泉」は三増酒造っていないとの情報をメールでいただき、改めて前回と同じ場所でのチェックを試みたところ、自販機から出てきたカップ酒はたしかに無糖加だった。こんな世知辛い世の中だけど、日本酒の世界だけは着実に品質向上が図られているのかも知れない。
 さて、この「おつかれさん」、紙カップで値段が170円、アルコール分14〜15度、そしてそのネーミング・・・どうにも旨いと思える要素がなかったので期待もせずに飲んでみたのだが・・・旨い! アルコール分下げても上手く造ればこんなに旨い酒ができるのか。ちょっと感激である。恐らく岡山酒の特長であるふくよかな甘口がいい方向に導いているのだろうが(辛口で低アルコールではなかなか上手く造れないと思う)、やはり蔵元の技術力によるところが大だろう。さすが「歓の泉」、である。きっと燗つけてもとても旨いと思ったが、気がついたら常温で1本飲み終えてしまっていた。







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