宮城県
 仙台という大消費地を抱えているので味にうるさいということなのか、三増酒があまり幅を利かせていないのは好感を持てる。おそらく仙台の老舗2社がお互いをライバル視しつつ切磋琢磨している賜物なのだろう。

仙台の飲み屋街にて。他人のような気がしません。



勝山
 上述のとおり、仙台市では伊達藩以来の名門である「勝山」と「天賞」の蔵元が現在も覇を競っている、といったら当事者は怒られるだろうか。しかし傍から見るとライバル関係にあるとしか思えない両者、おかげで酒質向上に邁進してくれて嬉しい限りである。
 こちら「勝山」は早くより全量特定名称酒であることを高らかに宣言している。蔵元のメディア露出も多く、近年評価の高い宮城酒の牽引役といえよう。ここは酒造りだけでなく多角的な企業経営をしているが、いろいろなことに手出してても本気でやれば旨い酒は造れるという好例だろう。
 ところで、仙台駅には『こばやし』という名駅弁屋があるが、ここの売店で扱っているカップ酒がこの「勝山」。もちろん本醸造。値段は240円、本醸造、かつ駅売り価格であることを考えればあながち高いともいえない。旨い駅弁をつまみながら旨いカップ酒を飲む、旅の中での至福のひとときだろう。
 さて、心ある蔵元の造る本醸造酒には二通りのタイプがあるとマニアは常々考えている。一つは限りなく吟醸酒に近い、華やかな芳香を放つタイプ、もう一つは喉越しと味を重視したタイプ。ちなみにそのどちらでもないと面白みのない味になってしまうケースが往々にしてある、と思う。でこの「勝山」の本醸造は後者のタイプだね。喉越し良し(甘辛いというか、舌に触れた瞬間は甘味を感じるのに喉を通って行くときはそれが心地よい辛さに変わるといった感じ)切れ味良し。いくらでも飲めそう。
 写真左、紙ケース(これの正式名称なんていうの?)には『本醸造酒専門メーカー』とある。確かにお手本にされるべき、本醸造の名品です。



天賞
 こちらライバルの「天賞」も全量特定名称酒。にごり酒も特別純米規格で出しているのは立派のひとことである。
 で、こちらもカップ酒は本醸造なのだが、「勝山」の本醸造と差別化を図っているところは(1)アルコール分を14〜15度に抑えていること(2)意識的に甘口に仕上げていること(『Tastes of 1635 日本酒ガイドブック』によれば日本酒度は−1とのこと)。
 松崎晴雄氏も燗を奨めているので早速つけてみました。うん、適度な甘味がありなかなかいける、んだけど、何か焦点がもう一つ定まっていないような印象を受けるんだよなあ。これはアルコール分を下げているからじゃないだろうか。もし一般的な15〜16度であれば本当に旨くなるような気がするんですけど。
 ところで「天賞」の酒にはすべてラベルに蔵元のおすすめ料理≠ェ書かれている。カップ酒にすら書かれてるのは本当に偉い。でこのカップ酒のおすすめ料理は和=天ぷら・牛肉のごぼう巻き、中=ニンニクの茎と牛肉細切りの炒めもの中華風、はいいんだが洋=カリフラワーのオーブン焼きアンチョビ風だってさ。そんな料理あるのか?

 



於茂多加男山 グリーンカップ
 仙台出張の折、仙台駅地下の観光酒屋で買ってきた品。が、恥ずかしながら気仙沼の「伏見男山」だと思って買ってみてあとでよく見たら「於茂多加男山」だった次第。面目ない。
 とはいえ、こちらも最近蔵元の名をそのまま使った「阿部勘」で評価を高めている蔵元。他に「四季の松島」という銘柄もあるが、蔵元所在地の塩竃市はなにせ「浦霞」のホームグランド、地元よりも仙台あたりでのシェアの方が大きいような気もする。
 こちらグリーンカップ(税抜194円)は本醸造、精米歩合65%とキャップに明示されているのは心強い。他にも60%精米の特別本醸造カップもあるらしい。
 さて、いろいろな温度帯で試してみたのだが、いずれにせよグイグイ飲めるタイプではない。スッキリタイプをお好みの方にはお薦めできないかも。飲むには冷やが上燗くらいが良さそう。中途半端なぬる燗はいまひとつ。





新関 一合
 石巻駅前のJRがやってるコンビニで購入。
 石巻ってのはなかなか素敵なところで、町としてはさびれつつあるのだろうがなんともいえない雰囲気を持っている。日本酒に関しても「日高見」や「墨廻江」は質的に有名だし、これらの酒が市内のスーパーで簡単に手に入るのも良い。ちなみに「波の音」という銘柄を造っている蔵元にはご覧のようなレトロ自販機があった(残念ながら現在稼動していない)。
 さて、「日高見」の元の銘柄が「新関」で、普通酒は現在でもこの名称が使われている。僕が石巻を訪ねたときはカップ酒を求めて徘徊したが見つからず、仕方なく宿泊地の仙台に戻るまでの電車待ちの時間に入ったJR直営コンビニで発見し、狂喜乱舞したものだ(大げさ)。
 値段は215円だったと記憶している。きれいな味だった。ネーミングも色使いもグッド。最近はやりの200ml入りカップ酒に対するアンチテーゼのようで素敵だ。










←蔵元の前にあった素敵な琺瑯看板。フラッシュ焚いたため失敗してしまった。





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