丸真正宗(まるしんまさむね)
―小山酒造(株)―
■"23区唯一の蔵元"が赤羽にある必然性
たとえ飲んだことはなくとも、"東京23区内唯一の蔵元"としての認知度はきわめて高い、「丸真正宗」の小山酒造。
それが赤羽にあることもなぜかよく知られているのだが(正確な住居表示は『北区岩淵町』だが、近年地下鉄に『赤羽岩淵』駅ができて実にわかりやすくなった)、"23区唯一の蔵元"が赤羽にあるという現実が妙にしっくりいってると思うのは僕だけであろうか?
これは、現代の赤羽が酒呑み天国であることと無関係ではないだろう。
"聖地"「まるます家」「いこい」をはじめとした有名無名の昼酒スポット(いちばんの穴場はダイエー前のベンチかな)、夜は夜で怪しげなネオンと呼び込みのお兄さんたちの街となる。別にこれらすべての場所で「丸真正宗」を飲めるわけではないのだけれど、やはり酒飲みの集う場所には酒蔵があって欲しい。
さて、小山酒造のことである。
かつて蔵元前の道路に面したところに、仕込みに使用している井戸水を供する古風な水飲み場があった。「一口飲んで元気をつけて」とこれまた古風な張り紙があり、水はちょろちょろとしか出ないので汲んで帰るには根性が必要であった。僕も14年前に一度だけそこで水を飲み、根性入れてペットボトルに汲んで帰ったことがある。ついでに隣の直営酒屋の自販機で「丸真正宗」のカップ酒を買ったはずである。そして、もし僕の記憶に誤りがないならば、それが生涯初めて飲んだ"ガラス入り"カップ酒であったはずなのである(その1か月くらい前に高知・佐川駅前で「司牡丹」のアルミ缶カップ酒を買ったのがカップ酒初体験)。
そんな思い出の残る小山酒造の水飲み場も今はない。隣の酒屋もずいぶんと小奇麗な店に変わり、当然の如くカップ酒自販機もなくなった。
■オンリーワンの苦悩?
小山酒造が23区唯一の蔵元として課せられた使命は半端じゃないだろう。つまり、そう簡単に暖簾を下ろすことができないという意味で。
マスコミの取材や観光客への対応も日々こなさなくてはならないだろうし。
だから、多少のことには目をつぶりたいのだけれど、真実は真実として書かねばならない。
「丸真正宗」の佳撰クラスの価格の酒は無糖加であるが、さらにその下に糖類・酸味料入りの商品群が多数あった。よって、拙「ギャラリー」からは削除・・・。
あと、吟醸酒のアイテムが豊富なのは結構なのだが、それらが常温で販売されてるケースが非常に多いのも気になる、というか気の毒である。
全般に商品体系がオーソドックス過ぎて冒険心が不足していると感じられるのは(入浴用のお酒なんかはユニークだが、やはり飲むお酒がいいです)同じく都心の蔵元・土屋酒造と共通したものがあると思う。多摩地区の蔵元とは明らかに異なる雰囲気が。それもまた魅力なのかもしれないが。
■飲んでみました
丸真正宗 マルカップ(普通酒)
以前「カップ酒ギャラリー」で紹介していた商品。当時(4年)購入したものはカップ本体に「MaruCUP」とありながらキャップには「TOKYO
CUP」とあり、どっちが正式名称なんだよ〜と紹介文にも書いた。その後、拙掲示板で“キャップの表記もMaruCUPになった”と教えてくださった方もいらしたりして、いつからかはわからないが正式に「マルカップ」になったようである。
カップ本体は前のままだな、と思ってよく見たら、“江戸の地酒”の書体が勘亭体に、丸真正宗の真の時が旧字になっていた。“江戸の地酒”のイメージを前面に押し出したようである。
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| 4年前に買ったやつ。 よくよく見たら、カップの形も違う。 |
さすがに地元のオンリーワン銘柄だけに、一般の酒屋はもちろんのことスーパーでも入手可能である。なぜかダイエーより西友の方が10円ほど安いのは掲示板でも紹介いただいたとおり。自販機等内税のところで買うと200円が相場である。
さてこのカップ酒、通常商品に置き換えると「本格辛口」(4合800円)に該当するはずである。日本酒度+6だからたしかに辛口といえる。今回改めて飲み直してみて、印象は4年前とまったく同じといってよく、味にブレがないことには感心した。
すなわち、辛さは感じるけれどキレがよいので気分良く飲める、ということである。なんだかビールの宣伝みたいだが。
なお、燗つけても味に大きな変化はないので、冬場以外は無理に燗つける必然性は感じられない。冷やが一番とみた。
| 蔵元隣の酒屋の自販機は撤去されたが、徒歩5分くらいのところにある酒屋にまだあった。 いろいろ自販機に書き込みしてあって楽しい。 |
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丸真正宗 吟醸辛口(生詰)
「丸真正宗」のアル添中吟商品は2つある(もっとあったらごめんなさい)。今回紹介する「吟醸辛口」と、例の国税局共通銘柄「ぎんから」。「吟醸辛口」のほうが高い(税抜1456円くらい)。
僕これまで散々書いてきてたいへん心苦しいのだが、もうこの国税局共通銘柄(「吟の舞」「ぎんから」「やわくち」等)は、その役割をそろそろ終えていいのではないかと思うのです。たしかに蔵元の力量を測る指標として、共通の製法により造られたお酒で相対的に比較するのは便利であろう。しかし、今ではどこの蔵元でも一定のレベルに達した優れた酒を出すに至っている。もし今後もこういう企画(?)を続けるのなら、吟醸規格でなく無糖加普通酒とかでやっていただくほうが、経済酒の品質底上げに寄与するのではないだろうか。同じ国税局に属する東京千葉神奈川山梨の蔵元の商品戦略にユニークなものが比較的少ないと感じるのも、“国税局銘柄”とあながち無関係ではないように感じるのだが。
本題に戻る。「吟醸辛口」、中吟にしてはかなり高い。無論それに見合った造りをしているのだろうけれど、ラベルに造りに関する説明がまったくないので飲む側にはわからない。改善の余地あり、か。ちなみに一般に流通しているのは火入れで窓開き化粧箱にいれて常温で売られているものが多いが、今回購入したのは生詰で化粧箱なしでダイエー赤羽店で冷蔵して売られていた。“生”詰であるだけでこれだけ扱いが違う。
さて、これを飲んで初めて抱いた印象は“地味だなぁ”というところだった。僕なんかは日頃吟醸酒を飲む機会が少なく、吟醸のプロトタイプがどんなものかよくわかっていないので“こんなもんかなぁ”とも思うが、実は中吟ではレベル高いほうなのかもしれないし、他に何を食べながら飲んでるかとかその日の体調とかによっても印象は変わるだろうからつくづくお酒の評価は難しい。
ところが、例の松崎さんの名著「Taste of
1635 日本酒ガイドブック」をパラパラとめくっていたらこの「吟醸辛口」が採り上げられていて、なんと燗向きマークがついている。生詰ということもあったが燗をつけようとは全然考えていなかった。しかしここはやらねばなるまい。燗つけた結果・・・ありゃ、これは旨い。辛口には違いないのだが口に含んだ瞬間に感じるのはむしろ甘味に近いものであり、味のバランスがいいのだろう。最初甘くて後に辛いというのは「インデアンカレー」を思わせる(知らない人すみません)。1口目より2口目、2口目より3口目が旨い酒。
丸真正宗 特別純米酒(生詰)
そういえば「丸真正宗」の特別じゃない純米酒ってみかけないな。つまり、いちばん安い純米系アイテムを買い求めようとすると、必然的にこの特別純米になる。
これも一般的には火入れのものが窓開き化粧箱入りで売られているが、ダイエー赤羽店には生詰のものがあった。冷して置いてあるし、買うなら当然こちらがいい。
これ、開栓直後はフレッシュな香りと味が楽しめるがそれは最初だけ、日を経ると味が落ち着きすぎて冷やではもうひとつ物足りなくなる。そこでぬる燗をつけてみたら、これが良かった。しんみりとした味わいが楽しめて非常によろしい。ただし温度上がり過ぎると味が飛んでしまって×。あくまでぬる燗、ごくぬる燗で。
■ラヲタ御用達バス路線
ま、赤羽にもいろいろ見所あるのだろうが、なんとなく都会すぎて歩き回る元気が出ない(調査日が暑かったこともあり)。
ふと見たら、路線バスが走っていたのだが。
え?高円寺行き?しかも関東バス?
関東バスといえば中央線沿線にちょっとだけ路線網を広げる、しかし「新宿西口」という独特の表記の方向幕(「新宿駅西口」でないとこがミソ)でマニア人気の(俺だけか?)バス会社である。それがどうして国際興業が縄張りとする赤羽に乗り入れているのは如何に?
ということで乗ってみました、〔赤31〕系統、高円寺行き。
で、謎はすぐに解けた。
赤羽も高円寺も、環7の線上にあるのね。
つまり、環7上をひた走る路線だということ。
ところで、環7といえば、ラーメン激戦区ですね。
つまり、この〔赤31〕を駆使すれば、ラーメン屋めぐりもカ〜ンタンということだ。
僕はやりませんが。
| 高円寺駅にて。 |