インターネットと紙メディアが
これからも共存共栄して行くために・・・




 先日の「dancyu」誌・カップ酒特集について自分なりの意見を書くつもりであったが、掲示板上で皆様に数々の励ましの言葉をかけていただき、なんだかその気も失せてしまった。
 そこで、ここではあくまでも一般論として、ネットと紙メディアの関係≠ノついて思うところを述べたい。
 
 改めていうまでもなく、インターネットの最大の魅力は、(1)誰でも自由に情報発信できること (2)今見聞した情報を即時に発信できること の2点に尽きるであろう。逆に雑誌や単行本等の紙メディアの場合、(たとえ紙面に名の出ることのない下請けフリーライターであっても)書き手は版元によって選別≠ウれるし、情報が実際に紙上に載るには一定の日数が必要となる。
 それではインターネットのほうがすべてにおいて優位に立っているかといえばさにあらず、よくライターの方の所感として耳にするのがいつ消されるかわからないネット上のテキストは味気ない=Bたしかにホームページ上の情報が自由・即時にアップできるということは同時に改変・削除も自由・即時にできることを意味しており、拙サイトなどはまさにその典型なのだが(全然自慢にはならぬ)、個人が運営しているサイトはともかく、団体が運営する情報サイトなどにおける署名記事の場合等、運営者の判断一つでいつでも抹消できるわけだから、書き手からすると味気なさ≠感じるのは当然かもしれない。
 逆に紙媒体の場合、一度流通に乗った書籍・雑誌はよほどのことがない限り強制的に回収されることはないし、一定期間後書店の在庫が返品されたとえ品切れ・絶版となっても、それ以降も古書店等では流通されて場合によってはプレミアがつくことさえある。おそらくこれが、紙メディアのインターネットに対する優位性であり、紙媒体に執筆することのステイタス≠ネのだろうと考える。
 だから、インターネットと紙メディア、それぞれの長所を尊重した形で情報は発信されるべきなのだ。たとえば作家・ライターの方が個人でサイトを営まれている場合、紙媒体用の文章≠ニホームページ上の文章≠フ使い分けはきちんと心得ておられるように見受けられる(拙サイトがリンクさせていただいている「エンテツ」氏のHPはその典型かと)。
 そして、インターネットと紙メディア、お互いに敬意を払いつつ情報が発信されて行くことこそが重要なのだが・・・。

 これは殊に新聞・雑誌において顕著だと思うのだが、近年記事のソースをインターネットに求めるケースが非常に多くなっているようである。某巨大匿名掲示板で話題になっていたネタを某週刊誌で記事にして、その記事を更に某夕刊紙でネタにする・・・なんて現象は結構あると感じるし、雑誌のグルメ特集にしたって、実際に取材するのは記者なりライターなりがするにせよ、どの店を採り上げるかという判断においてはネットの情報を相当参考にしているに違いない。
 僕はこういう風潮自体を否定するつもりはまったくない。先述のとおりインターネットと紙媒体との間では即時性≠ナ大きな差があり、なおかつこれだけネットが国民に浸透した現在、今、何が流行っているか≠知るにはネットを参照することが最良であるはずからだ。
 問題は、ネットと紙メディアにおける情報発信者との相互間に敬意≠ェ成り立っているか、そこに尽きると思う。
 出版物の世界において他の活字情報等を参考にして文章を執筆した場合、参考文献≠ニして巻末にまとめて紹介するのはごく当然のしきたりといえよう。また、ネットの世界においても、少なくとも心ある作者が紙媒体や他サイトの内容を引用もしくは参考としてコンテンツを作成した場合、出典について言及するのはマナーとして定着している(まだまだ心ない″者も存在するけれど)。しかし、書籍や雑誌の執筆者(ならびに編集者)が特定のホームページを参考として文章を作成した(と、思われる)時、そのサイト名やURLをきちんと紹介するケースがどれだけあるだろうか? そこまできちんと対応しているのはまだ少数派であるといわざるを得ない。ホームページの無断引用、もしそれがインターネットなんて所詮その場の書き殴り≠ニの思想によるもだとすれば、ネットと紙メディアの情報発信者相互間の敬意≠ヘ成立するわけもなく、多くの優れた個人サイトの情報は知らぬ間に紙媒体に取り込まれて別人格の情報として一人歩きを始めてしまい、結局我が国が誇るべきインターネット文化は個人の日記と匿名掲示板での罵り合い以外には生き残らない(それらはそれらでたしかに素敵だけど)のでは・・・そんな懸念を持っている。
※紙媒体でネットの引用がきちんとなされない原因、タテ書き文化とヨコ書き文化の違いから来ている気もする。横文字であるURLアドレスを縦書き中心の紙メディアで表記するのは体裁が崩れて格好悪いのは事実である。

 もうひとつ、強調しておきたいことがある。
 大部分の個人サイトにおけるお店や食べ物の紹介は、地道なフィールドワークにより成り立っている。誰も取材費用など出してくれないから、当然自腹である。それら時間とお金の積み重ねによって築き上げられた情報を、いとも簡単にいただかれてしまったら・・・実は多くの寛容なホームページ作者たちはそれくらいのことは仕方ないと思っているに違いない。僕は礼儀作法に意地汚い人間なので気にし過ぎなのかもしれないが、あるサイトを参考にして文章を作成した場合、事情があって紙上でサイト名を紹介できないならばせめて作者にメール1本入れるなり、掲示板に書き込むくらいのことはして欲しい。そういう慣習が定着することでホームページ作者の執筆意欲が向上してより豊穣な情報が生み出され、同時に紙メディアへの信頼が増すことによってそちら方面での活動を目指す有能な人材も増えるに違いない。
 インターネット文化と出版文化、共に栄えるためには何が必要か、僕も含め執筆活動に携わるすべての者はもう一度自らの足元を見つめ直す時機にきているといえないだろうか。




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